金融商品の勧誘の際の説明義務違反による損害賠償請求が認められた
相談までの経緯・背景
A男さんは、企業を定年退職し、定年後は趣味の囲碁を楽しんでいました。
ある日、A男さんは、証券会社より米ドル建ての仕組債の勧誘を受けました。ところが、A男さんは、証券取引の知識や経験が豊富というわけではなく、説明を受けても仕組債の構造を理解することができませんでした。
しかし、証券会社より言葉巧みに仕組債の購入を強く勧められたため、購入してしまいました。
その後、初回の配当があったものの、その後は一切配当がなかったため、満期が来る前に、証券会社に買い取ってもらいました。
その結果、A男さんは多額の損害を負うことになったため、証券会社に対して損害賠償請求をするため裁判をすることになりました。
解決までの流れ
A男さんが購入した仕組債は円安が進めば配当を得ることができ、満期になれば一定額の金額が米ドルで得られる構造でした。
しかし、A男さんが証券会社から貰った説明書では、仕組債の概要のみが記載されておりそれだけでは十分に理解することはできませんでした。また、A男さんは仕組債のパンフレットも貰っていましたが、数十ページのものであるうえ、具体的な説明はなされていませんでした。
裁判に向けて、証券会社からどのような説明がなされたのかを整理するとともに、仕組債の構造を十分に理解することに注力しました。
裁判では、どのような説明がなされたのかが大きな争点となりました。そこで、A男さん及び仕組債の勧誘にかかわった証券会社の従業員ら数人を尋問することになりました。
証券会社の従業員らに対する尋問では、仕組債の資料をもとにどのような説明をしたのかを聞くとともに、従業言らが仕組債の構造を十分に理解しているのかを確認しました。
この尋問の中で、窓口となっていた従業員が仕組債の構造を十分に理解していないことが明らかになりました。
裁判の結果、証券会社に説明義務違反が認められ、A男さんが負った損害の一部につき請求が認められました。
結果・解決ポイント
ご相談に来られた際、A男さんは老後のために蓄えていた貯金が大きく減ったことに落胆していました。
裁判の結果、一部の請求でしたがA男さんの請求が認められたことに、A男さんは大変満足しておられました。
金融商品の勧誘の説明義務違反の主張においては、仕組債の構造を理解し、どのような説明が必要なのか、その説明がなされたのかが重要になってきます。
仕組債はその構造が複雑であり、構造を理解するためにじっくり時間をかける必要があります。この点につき、私の場合、証券会社での経験を活かすことができました。
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