様々な項目を確認することになりますが、以下の点は確実に確認してください。
まず、取引先の営業状況や商売の流れに大きな変更はないのか、従業員の様子や在籍者数等に大きな変更はないのかを確認しましょう。
そして次に、取引債の在庫状況をチェックし、取引先のメインの金融機関や代表者の資産状態に変更はないのかも確認してみてください。
直接取引先から情報を得ることが難しい場合は、民間の信用情報機関を利用して、企業の信用情報獲得に努めましょう。
債権回収にまつわる質問にお答えいたします。
取引先に不安を感じたら
そうなります。特に、他の債権者も債権の保全に全力を尽くしているはずです。他社の対応が従前と変わっている場合は、同様の対応を取るべきかもしれません。他社の行動の分析から得られるものもあるからです。
また、債権譲渡登記制度により、個別、または集合債権譲渡担保が利用されることが多くなってきているため、債権譲渡の登記も確実にチェックしましょう。
すでに発生している債権について、弁済を受けることが必要です。約定期限以前であっても、期限の利益喪失条項に該当する事由がすでにある場合には、その主張をして早期弁済を受けましょう。
また、金銭債権の場合に、お金以外の財産で弁済を受ける代物弁済も考えられます。
さらに、取引先と債権が対立している場合は、相殺を行うこともできます。これは意思表示1つでできる簡便な制度なので、債権回収の有効な手段になるでしょう。
与信管理上、相手方との取引を継続することが常に好ましいわけではありません。
もっとも、ただちに取引を中止することが難しい場合もあります。そのような、やむを得ず取引を継続する場合であっても、既存の債権を賄える程度の担保を取得した場合を除いて、できるだけ取引総額を既存の与信額の範囲内に抑えて信用残高を増やさないように気を付けてください。
したほうがよいです。
まずは、取引先の資産関係を開示してもらい、可能であれば、集合債権譲渡担保や集合動産譲渡担保を取得することを検討しましょう。これらについては担保提供されていないことがあるからです。
そして、また、不動産に抵当権をつけることも考えましょう。仮に、後順位抵当権者であっても、あとから抹消手続請求などで少しばかり債権を回収できるかもしれないからです。
売買契約を継続する場合は、動産売買先取特権を行使しやすいように転売先の情報を提供することを求めましょう。その際には、所有権留保特約も忘れないようにしてください。
取引先に信用不安が生じている場合、担保を取得するとそれが他の債権者にとって抜け駆け的なものになるかもしれません。その場合、担保の取得時期や取引先の状態を知っていたことによって事後的に債権者平等の原則に違反するとされてしまう可能性があります。
そのため、「新規与信向けの担保」と「既存債務向けの担保」をしっかりと明確に区別しておきましょう。なぜなら、担保取得行為が偏波行為として否認されてしまうのは「既存の債務」について担保取得行為がなされたと認められる場合だけだからです。そして、担保取得した際には、対抗要件もしっかりと具備しておく方がよいでしょう。
法定担保物権の実行準備をしておきましょう。
例えば、動産売買先取特権を行使するには、競売による方法と物上代位による方法と2つあります。
いずれの方法による場合でも、債権の履行期が到来していることは重要です。
そのため、取引基本契約の中で、期限の利益喪失約款条項を定めてあるか確認しておきましょう。
仮に、そのような条項がなくとも、個別契約の発注書に期限の利益喪失に関する定めを入れておくことで対応することができますので、ご確認してみてください。
できます。そのためには、事前の工夫も必要になるかもしれませんので、早めに準備しておきましょう。
相殺をするためには、原則、(1)債権が互いに対立していること(2)弁済期が到来していることが必要です。
そのため、債務者から商品やサービスを購入しておいたり、債務者に対する他人の債務を債務引き受けでもらっておくことで、(1)を満たすことになります。そして、(2)のためにも支払い時期を調整しておきましょう。
ただ、相殺禁止となってないかどうかチェックしなければいけない点は注意が必要です。
債権者は取引先の財産状況を常に把握しておかなければなりません。
特に、信用不安時には、取引先から直近の賃借対照表や勘定科目明細の提出を受けたりするなどして、財産状況を再確認しておきましょう。
そのうえで、責任財産が不動産を売却するなどしていた場合は、まずその内容を確認し、売却価格次第で、詐害行為取消権や否認の対象になるか等を検討しておきましょう。
その際には、「公正な市場価格」かどうか、財産処分で得た対価の使い道などしっかりと調査することが大切です。
取引先の倒産手続きが開始した場合の債権回収
取引先について、破産、民事再生、会社更生の各種倒産手続きが開始すれば、あなたの会社が従前の取引によって有していた債権は破産債権、再生債権、更生債権となり、手続きごとに債権の取り扱いも異なります。
すべからく法的倒産手続きが開始されると、原則として、取引先から通常どおりの支払いを受けることができなくなってしまいます。この場合すでに申立てをし、開始していた強制執行手続きがあったとしても、倒産手続き開始決定によって、原則として、効力がなくなってしまうので注意が必要です。
破産債権の届け出は裁判所が定め、破産手続き開始の通知に記載された届け出期間内にしなければなりません。
もっとも、何らかの事情により、期間を経過してしまっていても、破産手続きでの権利行使が認められる可能性があります。そのため、期間経過後でも、債権の届け出をしてみましょう。
例えば、債権届け出ができなかった理由が、あなたの会社の「責めに帰することができない事由」によるときは、その事由が消滅してから1か月以内に届け出することができます。破産開始決定については、官報公告により広く周知されているので、この要件が認められるケースは非常に例外的です。
したがって、なるべく届け出期間をすぎないように注意し、仮に過ぎてしまっても例外的に許容される可能性もあるので、事前に弁護士などに確認しておきましょう。
破産手続きでは、取引先の事業は原則として停止され、財産の管理処分権限はすべて破産管財人に移ります。
そして、破産管財人が取引先のすべての財産を処分し、換価した資金から配当するといった形式で破産債権者に財産が分配されることになります。
そこで、まずは破産債権の届け出をして手続きに参加することから始まります。
届け出をし、破産債権の確定が行われた後、配当を受けるのが破産手続きによる破産債権回収の唯一の方法です。
民事再生手続きでは、原則として、取引先の経営陣が引き続き財産を管理し、事業を継続します。もっとも、重要事項を決定するためには、監督委員からの同意を得る必要があります。
この場合は、再生計画案が作成され、この案が認可されることによって、この計画に沿って再生債権への弁済がなされることになります。
債権者はまず、届け出をしたのち、一定の事項に異議を述べ、申立てをすることで、可決認可された再生計画による弁済を受けるのが、再生債権の回収方法です。
更生手続きにおいては、取引先の有していた財産を管理処分し、事業の運営をする権限は、更生管財人に移ります。
更生手続きは、強力な再建型の手続きです。破産・再生手続きでは、担保権でカバーされた範囲の債権は、原則として手続きに拠らないで、担保権を実行することができます。
しかし、更生手続きでは、担保権でカバーされた範囲も手続きに従うことになります。
更生債権者は、債権を届け出ることで、手続きに参加し、更生計画案に賛同するかどうかを示し、申立てをすることになります。
そのうえで、上記計画によって変更された内容による弁済を受けるのが、更生債権の回収方法です。
取引先に原材料を販売する一方で製品を購入しているなど同じ相手方と債権債務の関係を有している場合、相手の資力が低下して債権の回収が困難となったときでも、相対立する債権と債務を相殺することによって実質的に債権を回収することができます。
しかしながら、倒産手続きではその前後において、民法上の要件を満たす限りどのような場合であっても、相殺が許されるとすれば、債権者間の公平を害するなどの弊害を生じることが多いので相殺ができる場面に制限があります。そのため、相殺ができない場面に当たらないか事案ごとにしっかりとチェックしておきましょう。
まずは、開始された倒産手続きの種類と担保権の種類ごとに対応を検討しましょう。
これによって、手続きの影響を受けずに担保権を行使できるかが大幅に変わるからです。
例えば、抵当権が設定されている場面で、破産手続が開始されている場合、この抵当権を有する者は破産管財人が進める手続きの影響を受けることがなく、抵当権を自由に行使することができるとされています。
このように、権利の種類と倒産手続きの種類で担保権の取り扱いが変わるため、破産・民事再生・会社更生の手続きのいずれか、権利はどのようなものなのか等しっかりとチェックしておきましょう。
取引先が倒産手続きに入った場合、もしくは事業が停止した場合の債権回収
取引先が倒産したかもしれないという噂が流れた場合、少しでも多く債権を回収したいと考えた債権者が殺到します。ここで、少しでも他の債権者に遅れをとらないようにするためには、まず取引先の情報収集をしましょう。
取引先が本当に倒産したのか不明ですし、取引先が倒産したといっても、倒産の形態次第では取りうる債権回収方法も変わってくるからです。そのため、取引先が倒産したかもしれないと疑念を抱いた場合は、情報収集をするチームを分けて臨機応変に対応していきましょう。
債権者の会社の規模や債権額、事業形態などによって、情報収集の方法が変わってきます。
そこで、考えられる方法としては、数人で手分けして情報収集にあたることです。
例えば、実際に、取引先へ急行し、状況を確認するチームと、自社に残り、債権債務関係を確認するチーム、情報を整理し、方針を決定して現場に指示を出すチーム等にわかれて迅速に情報を集めること等が考えられます。
この場合の役割は営業を継続しているのか等の会社の現在の状況をしっかりと把握しておくことにあります。
そのため、取引先になじみのある者が現場に急行するのがよいでしょう。
急行すべき現場には、取引先の本社・工場に加えて、倉庫・営業所も含まれます。取引先をよく知る営業担当者には、これらのうち最も取引先の状況を詳細に知ることができる場所に行ってもらうようにしましょう。
その際には、現場の状況を保全できるように、現場の写真を撮影できるデジタルカメラなどのツールを用意しておくと便利です。
さらに、現場に急行した場合、まずは、取引先が営業を継続しているか否かという点を確認しましょう。
仮に、取引先が通常通りの営業を継続している場合は、倒産手続きのうち、再建型である可能性があるため、これまでに発生した債権の回収に加えて、今後の取引条件を検討する必要があります。
また、上記営業継続の有無に加えて、法的手続申立てはすでにされたのか、その手続きは何か(再建型なのか、生産型なのか)等もしっかりと確認しておくことも大切です。
まずは、取引先との契約関係を確認しておきましょう。その際には、目的物、契約の種類、支払条件、所有権留保条項や期限の利益喪失条項の有無、契約解除条件・通知の有無などもチェックしておいてください。
次に、取引先との契約履行状況を把握し、担保権設定契約の有無・内容の確認、債権債務関係、保証契約の有無などもチェックしておきましょう。
これらを事前に確認しておくことで他の債権者より一手早く行動することができるかもしれません。
取引先へ急行した時点で、他の債権者が当社納入商品・担保目的物を引き上げようとしていたのであれば、必要に応じて警察への通報も検討しましょう。取引先の承諾なく、他の債権者がそのような行為を行っている場合は建造物侵入罪や窃盗罪に該当する可能性があるからです。
仮に、他の債権者が取引先の承諾を得て、引き上げ行為を行っている場合は取引先の承諾を撤回してもらえるように交渉してみてください。
取引先にある目的物を勝手に引き上げる行為は場合によっては窃盗罪に該当する可能性があります。
そのため、自社納入商品や自社担保権設定目的物など、自社に所有権や担保権がある場合でも、目的物を勝手に引き上げる行為は絶対にしないでください。
まずは取引責任者の方の同意を得るように交渉してみてください。仮に、取引責任者の同意をもらえた場合は、後日の紛争防止のため、書面で同意をもらうように心がけてください。
取引先が倒産したかもしれない場合、損害拡大を防ぐため、必要に応じて、相手方に対する履行の中止や、相手方・自社間契約の解除、第三者・自社間契約の解除を行うことになります。
特に、倒産した取引先に対して、売り先を失った原材料・製品などを無駄に買い付けるようなことがないように、原材料業者などとの間の仕入契約については、しっかりと解除しておきましょう。
なお、原材料業者自体に債務不履行はないことがほとんどであるため、合意解除の際に、原材料業者から 違約金の支払いを求められることがあるかもしれない点には注意してください。
未収金にならないための予防方法
契約書に入れた方がよい条項としては、期限の利益喪失約款、損害賠償額の予定に関する定め、担保保証に関する定め、相殺の予約についての規定、契約解除条件などがあります。
条項の具体的な調整方法は、是非一度弁護士に相談することをお勧めいたします。
また、もし詳細な契約書を結ばずに取引をしてしまった場合は、納品書や発注書、請求書、担当者同士の具体的なやり取りなど、取引内容や金額を裏付けることが可能になる証拠はできるだけ前もって保存しておきましょう。このような証拠は後で紛争になった際に非常に役立ちます。
取引先の信用調査には、相手方から直接情報を取得する方法と、相手方以外から間接的に情報を取得する方法があります。その際には、まず①支払能力や②支払意思について確認しましょう。
ここでは、ご質問の相手方から直接情報を取得する方法を説明します。
まず、営業担当者が相手方(法人であれば代表者や役員)から、会社の工場や支店、取引金融機関、主要な取引先等の会社の概要や相手方の主たる資産(代表者の個人名義の資産も含みます。)について聴取する方法が考えられます。信用調査をしていることが相手方にわからないよう、さりげなく調査事項を聴取しましょう。
聴取した結果は、まとめて情報を管理し、取引開始後に行う与信管理にあててください。
もっとも、この手法がうまいかないことも考えられますので、営業担当者に相手方の本社や営業所の現場を十分に観察させて、相手方に関する情報を取得する方法も考えられます。
観察のポイントとしては、本社や営業所の現場に資金繰りに窮しているような兆候が現れていないか、在庫が目立ったり従業員の離職が相次いだりしていないか等をチェックすることが挙げられます。
さらに、可能であれば、相手方に過去2~3年分の貸借対照表と損益計算書の提出を求め、これら決算書で有利子負債の額や売上高の増減等を分析することで、支払能力の有無を判断する方法も有益でしょう。
ただし、この手法は取引上、自己が相手方よりも強い立場である場合に使えるものですし、決算書に粉飾がある可能性も考えられますので、単なる数字のみから相手方の信用を判断するのはご法度です。様々な情報を考慮して、総合的に判断するようにしたほうがよいでしょう。
ここでは、相手方以外から間接的に情報を取得する方法についてご説明します。
相手方以外から①支払能力や②支払意思について間接的に情報を取得する方法として、まず、相手方の商業登記簿謄本を入手してその内容を確認することが挙げられます。
ここで確認すべきポイントとしては、会社設立の年月日や資本金の増加の有無、役員の辞任登記の有無、商号や本店所在地を頻繁に変更していないか等が挙げられます。特に、会社の設立年月日に関する情報は取引の相手方がどのくらい業界の歴が長いのかを判断する材料になります。また、本店所在地を移転しているのであれば、閉鎖登記簿謄本を入手し、現在の商業登記簿謄本と見比べて、事業目的や役員が変化していないかを調べましょう。仮に、役員等が一切変わっているのであれば、取込詐欺目的の会社である疑いがあるので注意が必要です。
さらに、取引の相手方の不動産の登記簿謄本を入手してその内容を確認することが挙げられます。
ここでのポイントとしては、不動産の登記簿謄本にある甲区という欄において、誰が所有者であるかを確認するとともに、その欄に差押・仮差押登記の記載がなされていないか、抵当権者が数多くいないか等を確認できるとよいでしょう。
最後に、間接的に情報を取得するその他の方法としては、信用調査会社から取引先の情報を取得することが挙げられます。ただし、信用調査会社の提供する情報であっても、それに頼り過ぎることなく、あくまで信用性を判断する際の一資料とするのが無難でしょう。
取引先の相手方に人的担保を求める場合、取引先の代表者に保証人や連帯保証人になってもらうよう求めることが通常です。
もっとも、人的担保は連帯保証人等の資力によって債務の支払いの確実性に違いがあるので、取引先の代表者に人的担保になることを求める場合には、事前に不動産登記簿謄本等を入手して代表者の財産状況を調査する必要があります。事前に調査してみた結果、代表者の財産状況に不安がある場合には十分に資力を有する者を人的担保として求めることも考えるべきでしょう。
具体的には、連帯保証人等になる者に実際に会社に出向いてもらい、免許証等で本人確認をしましょう。
そのうえで、問題がないと判断できた場合には、連帯保証契約書に自筆で住所・氏名を記載してもらう方法が一般的です。その際、保証の意思をよりいっそう明確化するために、実印による押印と印鑑登録証明書の提出も求めるとよいでしょう。
保証人や連帯保証人をつけていれば、その者から未収金を回収することは可能です。
また、約定担保として契約締結前に抵当権を設定していれば、債務者に対して債務を負っているものから、未収金を回収することも可能ですし、そうでなくとも法定担保から債権を回収することも可能です。
もっとも、未収金を回収する場面では、他の債権者と競合することも十分あり得るため、この点に留意しながら債権回収を図ることが大切です。
保証債務は、主債務の存在を前提とします。つまり、主債務が時効消滅すると、保証債務も消えてしまうことになりますし、他方において保証債務だけが時効にかかってしまうこともあります。
そのため、権利が消滅してしまう時効について常に気を配っておく必要があります。
消滅時効を中断させたいときは、債務者から「債務承認書」などの書類に一筆もらっておくとよいでしょう。
担保権には、抵当権・譲渡担保権・連帯保証など当事者間の合意で成立する「約定担保」と、留置権・先取特権など法律上の一定の要件を満たした場合に当然に成立する「法定担保」があります。
「法定担保」は何らかの手段を事前に講じることなく法律上の要件を満たせば当然に発生しますが、これに対して、「約定担保」の場合は事前に当事者の間で合意が必要になります。その際には、どの目的物を対象とするか、どの債権を対象にするのかなどを事前に合意することになります。なお、現実の取引社会においては、取引前に相手方から抵当権等のいわゆる物的担保の提供を受けることは困難であることが多いです。
一般的な債権回収方法
当事者同士で回収交渉をする場合、従前の人間関係が影響して過度に感情的になってしまい、脅迫行為や恐喝行為とも取られうる行為に及んでしまうといったケースも起こりえます。
まれなケースではありますが、実際に、債権回収の場面で、交渉内容が脅迫行為や恐喝行為であるとして、認定された判例もあり、債権回収の場面では、交渉の仕方に気を付けなければなりません。
また、債権回収の場面では、当事者が想像以上に感情的になってしまい、協議が思うように進まないこともあります。そのため、交渉の際には、どういったことを決めるのか事前にまとめておくとよいでしょう。
弁護士にご依頼いただいた場合、上記のようなトラブルを回避できるメリットもあります。
間違った内容の内容証明郵便を送ってしまうと、それが後の裁判で提出された際、こちらの主張について疑いを持たれかねません。譜求の根拠を書き、どのような支払いを請求するのか、相手方にどのように対応してもらいたいのか等をできるだけ簡潔に、かつ明確に書くことが大事です。そうしたうえで、相手がそれに応じなかった際に、どんな手段を取るつもりなのかなどを書きましょう。
それと忘れてならないのは、必ず配達証明を取るようにしてください。
法律的な効果を持つ文書は、それが相手方に到達したときに効力が生じます。いつ届いたのかが争いになった場合は配達証明付きで出してあれば、その文書は裁判上十分な証拠力を持つことになります。
できます。債権の回収は、何も現金で耳を揃えて返してもらう方法ばかりではありません。
よく利用される債権回収の手段の1つとして、「債権譲渡」があります。これは、債務者の所有している債権を、債務者の弁済として受け取る方法です。ただ、債権は自由に、誰に対しても譲渡できますので、追い込まれた債務者は何人もの債権者に対して、同じ債権を譲渡してしまうなんてことも考えられます。
そこで、債権譲渡の場合には、債権の譲渡人が譲り渡す債権の債務者に通知をするか、または債務者が債権譲渡の承諾をしたときに、債務者や他の債権者などに譲り受けた権利を主張できます。
なお、この通知や承諾は、確定日付のある証書によって行うことが必要です。
したがって、上記の点に気を付けつつ、債権譲渡を受ければ相殺をすることができます。
できます。企業間や私人間でトラブルが起きると、解決のために裁判の利用を検討することがありますが、トラブルが起きたからといって、必ず裁判所の裁判手続きを利用しなければならないわけではありません。
裁判によらない裁判外のトラブル解決の方法が「裁判外紛争解決手続(ADR)」とよばれるものです。
ADRには強制力がない場合もありますが、訴訟よりもコストがかからないため、紛争解決の一環として利用されています。
場面に応じて異なります。大切なのはどちらの手続きがどのように異なっているかを知っておく必要があります。
通常訴訟も少額訴訟も、どちらも裁判所で行う訴訟のことです。
まず、第1に少額訴訟には60万円までの金銭支払請求を目的とする場合に使えるという民事訴訟法上の決まりがあります。したがって、少額訴訟を使いたくても60万円以上の債権の回収には使えないということは注意が必要です。一方で、通常の訴訟には訴額の制限はありません。
第2に、同じ裁判所には1年に10回までしか提起できません。これは、貸金業者が少額訴訟を濫用することを防止するためです。
第3に、少額訴訟は反訴できないのですが、通常訴訟では反訴ができます。
第4に、少額訴訟の証拠調べはすぐに取調べができるものに限定されますが、通常訴訟にはこういった制限がありません。
最後に、少額訴訟は一期日で判決が出ますが、通常訴訟は基本的にもっと長い期日が必要になります。
このように両手続きは「訴訟」を行うものであることに変わりはありませんが、異なる点がいくつもあります。
したがって、両手続きの中で選ぶ際には、当事者の状況に応じて、慎重に検討する必要があります。
申立人は、まず支払督促申立書に必要事項を記入して、相手方の住所地の簡易裁判所に提出することになります。
申立書は裁判所で交付してもらえるほか、裁判所のHPからもダウンロードできます。
そこで、申立書を受理したあと、簡易裁判所書記官が申立書の内容を審査します。
申立ての主張から請求に理由があると認められる場合には、裁判所書記官が支払督促状を発付して、相手方に送達します。その際に、申立人には、支払督促を相手方に発付したことを通知する文書が、簡易裁判所から送られます。この場合に、相手方が支払督促について裁判所に異議申立てをしないで申立人に支払いを行えば、紛争は解決されますので、支払督促手続きはその段階で終了します。
一方、相手方が支払督促に納得がいかないと判断し異議を裁判所に申立てた場合、異議申立てが受理されると支払督促は失効し、通常の民事訴訟の手続きに移行します。
民事訴訟は、紛争の対象となる金額が140万円以下の場合は簡易裁判所で、140万円を超える場合は地方裁判所で行われることになります。そこで、通常の訴訟手続きとして、当事者の主張、証拠調手続きがなされ、勝訴・敗訴の結論が最終的に下されて裁判は終結します。
民事調停の申立ては書面、もしくは口頭で行うことができます。申立ては原則として相手方の住所を管轄する簡易裁判所となります。
まず、裁判所にある調停申立書に必要事項を記入し、裁判所の窓口に提出してこの手続きは始まります。
申立書に記載する事項は、当事者の住所・氏名、申立ての趣旨及び原因、紛争の要因またはその実情などです。
これらに記載をしたのち、収入印紙を納付し、証拠関係の書類もあわせて提出することになります。
申立てが受理されると調停委員が組織され、裁判所によって調停期日が決定されます。そして相手方に調停申立書の副本と共に裁判所へ出頭するよう呼び出しがなされることになります。
そのあと、まず第一回期日が行われます(ここまでで約1か月程度要する。)。そこでは裁判と同様、調停委員の仲介の下話し合いを中心に証拠調べ等も行われます。
話し合いの結果、双方合意の和解案が成立すれば裁判所によって「調停調書」が作成されます。
仮に、話し合いがまとまらない場合、裁判所が代わりに調停案を提示するという制度が用いられることがあります。これは、調停が成立する見込みがないときに裁判所が双方の公平を考慮しながら、民事調停委員の意見をもとに必要な決定をすることができるものです。
このようにして何らかの結論(もちろん、不調に終わったという結論も含まれます。)がでることで民事調停は終了します。
できます。当事者で話し合った結果、債務者が分割払いであれば支払うことができるのであれば、それを新たな契約書にその合意内容を明記しておきましょう。
その際に、合意内容として、何回に分けて支払うのか、期日はいつなのか、利息はどのようにするのか、支払うことができなかった場合はどのような制裁(サンクション)があるのか等しっかりと合意しておいてください。
そうしておくことで、のちの紛争リスクを最小限に抑えることができます。
この場合、公正証書を作成することも有益です。
債権回収トラブルのよくある悩み -事例で解説-
最終的には、訴訟を提起してそこで勝訴し、強制執行を行うしかありません。
そのためには、まず取引先との話し合い、経営状況、資産状況の調査が必要になります。
ただし、債権は一定期間が経過すると消滅してしまうので、時効が完成間近に迫っていた場合は、相手方に少額でも支払ってもらうか、支払い延期願いでも書いてもらうことをお勧めします。
また、内容証明郵便で金銭を請求することも効果的でしょう。
食料品や衣類を買った場合は夫にも支払い義務が生じます。なぜなら、民法上家庭で通常消費されるような物の購入代金は、夫婦が連帯して責任を負うとしているからです(日常家事債務の連帯責任)。
比較的金額の低いもので夫婦の共同生活に必要であると思われるものは夫も責任を負うのですが、不動産の購入などは日常的なものではないのが通常であるため、日常家事債務として認められないでしょう。
下請業者については、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法。)という法律が制定されています。
親会社は下請業者に製造委託、修理委託、情報成具物作成委託、役務提供委託をしたときに、この法が適用されます。ただし、親会社、下請業者については一定の要件を満たす場合に限られるため、この点は事前に調べておくことが大切です。
この法律では、親会社は納品後60日以内に支払い期日を定めた書面を交付し、この支払いが遅延したときは遅延利息を支払うことが定められています。
したがって、本件のようなケースで、下請法が適用されるのであれば、下請け代金だけでなく、遅延した利息も請求することができます。まずは公正収引委員会、中小企業庁に確認してみることをお勧めします。
会社同士の売買契約では、買主は商品を受領したときは遅滞なく検査しなければならないというのが法律に定められています(商法526条1項)。
そして、買主が遅滞なく検査した結果、受け取った商品に欠陥を発見したら直ちに売主に通知することが必要で、これを怠ると、そのことを理由に履行の追完や契約解除、損害賠償、代金滅額を請求することはできません。
なお、直ちに発見することができない契約の不適合を、6か月以内に買主が発見した場合も直ちに売主に対して通知が必要です(同条2項)。
したがって、取引先にその旨を伝え、それでも取引先が売買代金を支払わない場合には、訴訟を起こすことも検討しましょう。
手形が不渡りになるのは、振出人の当座預金の預金不足、解約済みで当座預金の口座がない(1号事由)、手形が偽造、変造、盗難などにあった場合(2号事由)です。
いずれにせよ、割引にした手形は買い取ることが必要になります。
その後は、手形の振出先に対して手形訴訟を起こし、そこで勝訴したのち、強制執行により回収を図る手段も考えられます。まずは、取引先の支払い意思や返済計画を確認してみましょう。
保証人を立てさせるのは、債権の担保の一種で、物的担保と区別して、人的担保と言われています。
もし、その保証人が連帯保証人であれば、直接に貸金返還請求をすることもできます。
保証人に金銭的余裕があれば、債権の回収は容易です。
ですが、保証人が債権の回収に応じない場合、保証人相手に貸金返還請求訴訟を起こすことになります。そこで、勝訴したら、相手の財産に強制執行をすることができます。
しかし、訴訟・強制執行には手間・費用・時間がかかるため、請求金額次第では、必ずしも最適な解決法ではありません。借主および保証人と十分に話し合い、分割払い等で回収を図るのが得策となるケースもあります。
離婚に際し、とにかく早く離れたいという一心から、相手方が離婚にともなう財産給付には応じても、離婚後には協議内容を履行しないケースはよく見受けられます。
もちろん、訴訟をすれば債権を回収できる可能性がありますが、離婚前にお互いに話し合い決めた離婚の条件を記載し、公正証書にしておくほうがよいでしょう。
相手方が条件を履行しないときは強制執行を受けてもよい旨の文言を入れておけば、相手からの支払いがない場合に、訴訟を提起しなくても、相手の財産や給与等の差押えができるようになります。
なお、調停離婚や裁判離婚では、調停調書や確定判決(債務名義)により強制執行ができます。
まずは、雇用主と賃金の支払い方法について話し合ってみてください。話し合いをしてみても、折り合いがつかない場合、最寄りの各地の労働局や労働基準監督署で相談し、個別紛争解決手続きをすることができるので利用してみましょう。
さらに、地方裁判所に労働審判を申し立てる方法もあります。労働審判では、裁判官と労働委員が話し合いを進め、双方の言い分を聞き、最終的に審判が出されます。
この場合、訴訟と異なり、3回の期日で審判が出されます。手数料が訴訟の半額である点も、この手法を用いることのメリットのひとつです。
借用書や契約書が作成されていなくとも、口約束と金銭の授受があったときに、金銭消費貸借契約は締結しています。ここで問題なのは、相手方が「借りた記憶がない」などと証言している場合です。
裁判では、実際に金銭の交付があったのか等を直接的に示す証拠がなくとも、ほかの間接的な証拠を集めて、立証することが可能です。
証拠を積み重ねていくことにより、口約束だけでお金を貸したとしても、裁判をしてお金を回収できる可能性はあります。
個人同士での金銭消費貸借契約では、利息に関する合意がなければ、支払い義務は発生しません。
仮に、利息の約束はあるが、利率の定めがない場合は、法定利率分で請求することが可能です。
また、事前に決めた返済日を過ぎても、ご友人が返済しない場合は、遅延損害金を請求することができます。
相手方が任意保険に加入していれば、相手方加入の保険会社と示談交渉することができます。相手の任意保険の加入の有無、どこに加入しているかなどを事前に聞いておきましょう。
相手方が任意保険に加入しておらず、相手方の支払いに不安がある場合は相手方との示談がまとまった際に公正証書を作成することをお勧めします。
執行認諾文言付きの公正証書があれば、加害者が金銭を支払わなかったときに直ちに強制執行ができます。
示談交渉がまとまらないのであれば不法行為に基づく損害賠償請求を相手方に提起することになります。