コラム

ネットに会社の誹謗中傷を書き込まれた…風評被害が企業に与える影響と対処の仕方

ネットに会社の誹謗中傷を書き込まれた…風評被害が企業に与える影響と対処の仕方

先ごろ、ネット上の誹謗中傷について、懲役刑も視野に入れた厳罰化の方針が示されましたが、ネット上で誹謗中傷を書き込まれると、長期にわたり風評被害がおよぶ可能性があります。
今回は、近頃の風評被害の事例を紹介するとともに、万が一風評被害にあってしまった場合に企業が取るべき対処法などについてわかりやすく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(東京弁護士会)
東北大学法学部卒業。旧司法試験第59期。上場会社のインハウス経験を活かし、企業法務に関するアドバイス、法務部立ち上げや運営のコンサルティング、上場に向けたコンプライアンス体制構築や運営の支援等を行う。IT・情報関連法務、著作権など知的財産権法務、知的財産権を活用した企業運営・管理等のコンサルティングを行う。

風評被害とは?最近の事例を紹介

風評被害とは、企業や店舗、商品などについて、根拠のないうわさや誤った情報が拡散されることにより受ける被害です。
風評被害自体はかねてから存在するものの、SNSの普及によりうわさやデマが拡散されるスピードが格段に上がり、深刻な被害が生じてしまうケースも少なくありません。

はじめに、最近話題となった風評被害に関するニュースを紹介します。

「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」に参加したとのデマ

令和3年8月頃、新型コロナウイルスのワクチンが混入されたトマトが市場に出回るとのうわさが、短文投稿サイトであるTwitterなどのインターネット上で拡散されました。※1
出回った情報には、ワクチン入りトマトの開発や流通に関わったとして、いくつかの大手企業名も掲載されていたようです。
これにより、関連しているとされた企業の不買運動へと発展する騒ぎとなりました。

ワクチン入りトマトの製造に関連したとして名指しされた複数の企業が共同で会社を設立したこと自体は事実であるものの、この設立された企業がホームページに掲載した情報が曲解され、誤った情報が拡散されてしまったようです。※2

コンビニやスーパーマーケットなどでコロナ陽性者が確認されたとのデマ

コロナ禍においては、全国各地のコンビニやスーパーマーケット、飲食店などで新型コロナの陽性者が確認されたとのデマが相次ぎました。※3
インターネット上で拡散されたものの他、地域コミュニティ内での口コミなどで広まったケースも含めると相当の数があるものと思われます。

中には実際に陽性者が出ていたケースもあるかと思われますが、陽性者がいなかったにもかかわらず拡散されてしまったケースも少なくないでしょう。

このような感染症関連の情報が流れてしまうと、業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。
情報の真偽が不明であっても、念のために店舗の利用を控える行動をとる顧客も少なくないためです。

ネット上に会社の誹謗中傷やデマを書き込まれてしまった場合の影響とは?

インターネットやSNSの発達によって、誤った情報やデマがより短期間で広範に拡散されるようになりました。
センセーショナルな情報であればあるほど一般のSNSユーザーの目を引きやすいためか、真偽不明な情報が拡散されてしまうケースが後を絶ちません。

インターネットに誹謗中傷やデマの情報が書き込まれてしまうと、企業にとって次のようなリスクが生じます。

顧客が離れ売り上げが減少して業績が悪化する

情報が真実かどうかに関わらず、マイナスの情報が拡散されてしまえば、顧客離れが起きて売り上げが減少し、企業の業績が悪化する懸念があります。

特に、感染症に関することや異物の混入など顧客の健康に直接の被害をおよぼす懸念のある情報が拡散されてしまうと、業績への影響が大きくなりやすいでしょう。

企業のイメージがダウンする

ひとたび情報が広まってしまうと、長期的に企業のイメージが低下してしまうおそれがあります。
一般消費者の多くは改めて情報の真偽を確かめることなく、拡散された情報で企業のイメージを固定化させてしまうことがあるためです。

たとえば、実際には撮影者が自ら大きな虫を食品に混入して撮影したにもかかわらず、その情報がインパクトの強い画像付きで拡散されてしまえば、一般消費者にとって虫の入った画像イメージが企業イメージと結びついてしまうことが考えられます。

その後撮影者が自ら虫を混入したことを認めて謝罪し企業に何ら非がなかったことが明らかになったとしても、拡散された画像が想起されてしまい、購入を避けられてしまう場合もあるでしょう。

風評被害や誹謗中傷にあった企業が取るべき対処法

風評被害にあったり誹謗中傷をされたりした場合、初動を誤ると被害が拡大してしまうおそれがあります。

それでは、風評被害につながり得る情報が拡散された場合、企業はどのように対処すれば良いのでしょうか?
順を追って見ていきましょう。

事実関係を確認する

はじめに、流れている情報についての事実関係を確認します。
経営陣としては根拠のないデマだと考えていたとしても、実際には現場で起きた事実である可能性があるためです。

企業が強く事実関係を否定したにもかかわらず後に事実であったことが判明した場合には、より企業イメージが悪化してしまうことが懸念されます。
デマに対して毅然と対応することは重要ですが、勇み足になってしまうことなく、事実関係の確認をおろそかにしないようにしましょう。

自社ホームページなどで早期に意見表明する

風評被害にあったり誹謗中傷をされたりした場合には、できるだけ早く自社ホームページのトップページなどで企業の意見を表明します。
対応が遅いと情報の拡散が続き、炎上状態になってしまう可能性があるためです。

すぐに事実関係がわからない場合は、まず事実関係の調査中であることを掲載し、その後真偽が判明した時点で改めてその真偽を掲載するなど、段階を踏むと良いでしょう。

なお、誤った情報が拡散されているSNS上で返信のコメントをすることなども、企業からの意見表明方法の一つではあります。
しかし、相手の土俵に乗ってしまうことにより泥仕合になる可能性がある他、投稿の一部が切り取られるなどしてさらに誤った情報が拡散されてしまったり、やり取りを見た一般ユーザーが企業に対して良くない印象を抱いたりする懸念があるため、原則としておすすめはできません。

書き込みの削除要請をする

ホームページでの意見表明と並行して、書き込みをした人に対して削除の要請をします。
削除に応じてくれない場合には、弁護士へ相談してください。

ただし、ユーザーに悪意があり匿名である場合には、削除要請にはいくつかのハードルが存在します。
また、既に情報が拡散されてしまったり別のサイトに転載されてしまったりした場合など、すべての情報の削除が事実上困難となる場合もあるでしょう。

削除までの期間が長期に及ぶ場合やすべての情報の削除が難しい場合があるため、削除要請に注力するよりも、出回った情報がデマであることを伝えるプレスリリースを打つなどユーザーの誤解を解く活動に尽力したほうが良い場合もあります。

法的措置を検討する

書き込まれた内容が悪質である場合には、刑法の名誉毀損罪や信用棄損罪、偽計業務妨害罪で告訴・告発することが可能です。

名誉棄損罪とは、公然と名誉が毀損された場合に適用される罪であり、書き込まれた情報が事実であるか事実無根であるかを問わず適用することが可能です。
また、嘘の情報を流すなどして信用を毀損したり業務を妨害したりした場合には、信用棄損罪や偽計業務妨害罪にあたる可能性があります。

書き込まれた内容によっては、これらの刑事罰とあわせて民事上の損害賠償請求が認められる場合もありますので、弁護士に相談すると良いでしょう。

まとめ

風評被害は、どの企業にとっても他人事ではありません。
最近では、SNSなどのインターネット上でまたたく間に情報が拡散されてしまう場合もあり、被害の長期化や深刻化が懸念されます。

万が一風評被害にあってしまった場合に初動を誤ってしまうと、火に油を注いでしまうことにもなりかねません。
風評被害でお困りの際には、ぜひ弁護士へご相談ください。

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