コラム

公開 2022.12.22 更新 2023.01.30

著作権マークの表記は必須?付け方・使い方を弁護士がわかりやすく解説

企業法務_アイキャッチ_2803

著作物には、著作権マーク(©マーク)がしばしば付けられています。
では、著作権を主張したい著作物を創作した場合、その著作物に著作権マークを付さなければ、著作権を主張することはできないのでしょうか?

また、©マークと似たものに®マークや™マークなどが存在しますが、これらはそれぞれ何を意味しているのでしょうか?
今回は、著作権にまつわるマークについて、弁護士がくわしく解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。明治大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院修了。健全な企業活動の維持には法的知識を活用したリスクマネジメントが重要であり、それこそが働く人たちの生活を守ることに繋がるとの考えから、特に企業法務に注力。常にスピード感をもって案件に対応することを心がけている。
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著作権やその他のよくあるマークの意味

著作物などによく記載されているマークに、「©マーク」があります。
また、同様に見かけるものとして「®マーク」、「™マーク」が存在し、こちらは商標に関して使用されます。
はじめに、これらそれぞれの意味を整理しておきましょう。

®マーク

®マークは「Registered Trademark」の頭文字を取った記号であり、その標章が商標登録されていることを示しています。

ただし、あくまでも外国の商標制度における表示であり、日本の商標法などにもとづく表示ではありません。
日本における商標登録表示は「登録商標第〇〇〇〇〇〇〇号」であり、この表示方法が推奨されています。

商標登録とは、事業者が、自社の取り扱う商品やサービスを他社のものと区別するために行う登録です。※1
商標には、文字や図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものなどが存在します。
また、平成27年(2015年)4月からは、動き商標やホログラム商標、色彩のみから成る商標、音商標、位置商標が新たに商標登録できるようになりました。

商標登録をしたものには、®マークを付すことが可能です。
ただし、商標登録を受けていないものに®マークを付すと虚偽表示として罰則の対象となる可能性があります(商標法74条、80条)。

™マーク

™マークは、「Trade Mark(商標)」を意味する記号です。
上で挙げた®マークと同じく、日本の商標法による正式な記号ではありません。
また、®マークとは異なり「登録」の意味は含まれないため、商標登録を受けていないものであっても使用することができます。
実際には、出願中であるもののまだ登録には至っていない商標に付すことが多いでしょう。

©マーク

©マークは、著作権法の対象となる著作物であることを示すマークです。

著作権マークは、「Copyright」を示す「©」と、その著作物の発効年、著作権者の氏名(社名)から構成されます。
たとえば、2022年にAuthense法律事務所が発行した著作物であれば、「© 2022 Authense LPC.」のような表記になります。

また、この後ろに「All Rights Reserved.」を付けて「© 2022 Authense LPC. All Rights Reserved.」などとするケースもしばしば見受けられます。

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©マークがないと著作権は発生しない?

その著作物に対して著作権を主張する場合、必ず著作権マーク(©マーク)を付けなければならないのでしょうか?

©マークがなくても著作権は発生する

日本においては、©マークを付けなくても著作権は発生します。
なぜなら、日本の著作権法は、著作物が創作された時点で何らの手続きなどを要することなく自動的に著作権が発生する、無方式主義をとっているためです。

そのため、日本においては©マークを付すかどうかで、著作権法上の保護に差が生じるわけではありません。
また、©マークが付されていないからといって著作権が発生していないわけでもなければ、事由に使ってよいわけでもありませんので、誤解のないよう注意しましょう。

著作権マークはアメリカの方式主義の名残

著作権に関する主な国際条約には、「万国著作権条約」と「ベルヌ条約」が存在します。
このうち、ベルヌ条約は無方式主義を採用しており、ベルヌ条約に加盟している国では、日本と同じく©マークを付さなくても著作権が保護されます。

一方、万国著作権条約のみに加盟している国では方式主義をとっており、著作権法の保護を受けるには©マークが必要です。

以前は、アメリカを始め多くの国が万国著作権条約のみに加盟しており、方式主義をとっていました。
その後、アメリカが1989年にベルヌ条約に加盟して他の国も追随した結果、現在ではほとんどの国が©マークを付けなくても著作権が保護される無方式主義となっています。

しかし、アメリカが方式主義をとっていた際の名残として、今も©マークを付ける風習が一部で残っているというわけです。

著作権マークを付すメリット

日本では著作権マークを付さなくても著作権は保護されますので、著作権マークを付すことに、今や法的な意味はほとんどありません。
では、あえて著作権マークを付すことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

著作権マークを付すメリット

著作権マークを付すメリットは、主に次の2点です。

著作権侵害の抑止効果が得られる

1つ目のメリットは、著作権侵害の抑止効果が得られやすい点です。

先ほど解説したように、日本国内で著作権法の保護を受けられるかどうかに、©マークの有無は関係がありません。
しかし、このことを知らず、「©マークのあるもののみが著作権法の対象である」などと誤解をしている人も少なくないでしょう。

そのため、著作権マークを付さなければ、このような誤解をした人などによって著作権侵害行為がなされるリスクがあります。
著作権マークを付し、著作物であることや著作権者が誰であるかを示すことによって侵害の抑止力となるでしょう。

方式主義の国でも著作権を主張できる

日本やアメリカなど無方式主義をとっている国では、©マークは法的な意味がありません。
しかし、今も方式主義を採用している一部の国において、無方式主義をとっている国で発行された著作物が著作権法上の保護を受けるためには、©マークを付す必要があります。

そのため、©マークを付すことで方式主義の国でも著作権の保護が受けられる点が、メリットの1つといえるでしょう。

ただし、今も方式主義をとっている国はさほど多くありません。

著作権関連のその他のマーク

著作権に関連するその他のマークに、次のものが存在します。
あまり見かけたことがないという方も少なくないかと思いますが、知っておくとよいでしょう。※2

プリントアウト・コピー・無料配布OKマーク

プリントアウト・コピー・無料配布OKマークとは、次のマークです。
プリントアウト・コピー・無料配布OKマーク

このマークが付されている著作物は、プリントアウトやコピー、無料配布をするにあたって、利用料を支払う必要がありません。

利用者の種別は営利・非営利を問わず、利用の目的も個人の趣味や仕事のための使用、学校や大学、福祉施設などでの使用、企業や団体などの広報のための使用など、あらゆるものが対象です。

ただし、インターネットなどによる送信や、配布の際に代金を徴収すること、改変や部分利用などはできません。

障害者のための非営利目的利用OKマーク

障害者のための非営利目的利用OKマークは、次のマークです。
障害者のための非営利目的利用OKマーク

このマークが付されている著作物は、障害者のみが使うことを目的とする場合に限り、利用料を支払う必要がありません。
たとえば、障害者が見やすいように拡大コピーをすることや、障害者が読むことができるようにデータを点字化して送信することなどが可能です。

ただし、非営利目的で行うもののみが対象であり、企業などの営利を目的とした団体が行う行為は対象外となります。

学校教育のための非営利目的利用OKマーク

学校教育のための非営利目的利用OKマークは、次のマークです。
学校教育のための非営利目的利用OKマーク

このマークが付されている著作物は、学校のさまざまな活動で使うことを目的とする場合に限り、利用料を支払う必要がありません。
たとえば、学校の授業などでコピーして配布することや文化祭などのパンフレットにコピーすること、学校のホームページに掲載することなどが可能です。

ただし、非営利目的の場合に限定されます。

著作権を侵害された場合の対応

著作権マークを付していたかどうかにかかわらず、著作権を侵害された場合にとり得る法的対応をいくつか簡単にご紹介します。

刑事告訴する

1つ目の対応方法は、刑事告訴をすることです。

著作権侵害の刑事罰は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方です(119条)。
また、侵害者が法人の場合には、法人に対して別途3億円以下の罰金刑が処される可能性があります(124条)。

なお、以前は著作権侵害の大半が親告罪(被害者側からの告訴がなければ起訴できない罪)でしたが、2018年に施行された改正により、一部が非親告罪とされています。

差止請求をする

差止請求とは、著作権侵害を停止するよう相手に対して求めることです。
たとえば、著作権を侵害している作品の回収を求めたり、ホームページの公開停止を求めたりすることなどがこれに該当します。

損害賠償請求をする

著作権侵害によって生じた損害を、相手に金銭で支払ってもらうための請求です。
損害賠償請求として認められる金額は、著作権侵害の内容や態様によって異なります。

弁護士へ相談する

著作権侵害に対して法的対応をとりたい場合には、弁護士へご相談いただくことがおすすめです。
弁護士へご相談いただくことで弁護士に対応を任せることができるほか、相手へ法的責任を追及する方法などを状況に応じて検討できます。

まとめ

著作権マークの表記は、日本では必須ではありません。
著作権マークを記載しなくても、著作権法上の保護を受けることは可能です。

ただし、著作権マークを付すことで著作権侵害の抑止力となるほか、方式主義をとっている国においても保護を受けることが可能となりますので、まったく無意味ということではないでしょう。

著作権侵害でお困りの場合には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。
Authense法律事務所には著作権法にくわしい弁護士が多数在籍しており、著作権侵害への法的対応をサポートします。

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