コラム

交通事故の休業補償について徹底解説!もらえる金額、期間は?

「不幸にも交通事故の被害に遭ってしまい、会社に行けなくなってしまった」
そんな時にもらえる休業補償というものを知っていますか?
サラリーマンだけではなく、自営業の方も対象になる休業補償。
一体どれくらいの金額がもらえるか、いつまでもらえるのか。
今回はそんな交通事故の問題で気になる休業補償について徹底解説していきます。

関連記事

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

交通事故の休業補償とは

交通事故のケガが原因で仕事を休まなければいけない。
当然のことですが、仕事を長期間休んでしまった場合は、本来得られるはずであった収入が減ってしまいますよね。
そんな時に、加害者側の保険会社等に請求できるのが、休業補償です。

休業損害と休業補償は違う

よく混同されがちですが、厳密に言うと「休業損害」と「休業補償」は違うものです。
「休業損害」とは、国土交通省が管理する自賠責保険もしくはドライバーが各々で加入している任意保険で補償されるものを言います。
一方、「休業補償」とは、厚生労働省が管理する労災保険で補償されるものを言います。

どちらも交通事故により仕事を休まざるを得なくなった場合に補償されるものです。
しかし、休業補償は労災保険のため、勤務中や通勤中の事故に限定されます。
他方休業損害は勤務時以外の交通事故の場合に適用できます。

ここで注意したいのは、休業損害と休業補償の2つを併用して請求はできないということです。
どちらも交通事故による損害を填補する仕組には変わりはないため、重複しないように調整されます。
どちらも選択できる場合は、自分の場合どちらの方がメリットが大きいかを判断する必要があります。

※先ほど2つの言葉には違いがあると説明しましたが、交通事故における「休業損害を補償すること=休業補償」と言う場合が多いのが実情です。
そのため、今回の記事では休業損害のことも便宜上「休業補償」と表現しますのでご了承ください。

補償の受け取りに必要な証明書は?

休業補償を受け取るためには「休業損害証明書」と呼ばれる書類が必要です。
相手方の保険会社から申請書類が送付されるため、必要事項を記入します。
サラリーマンのような給与所得者の場合、勤務先にお願いして記入してもらうことになります。
自営業の方は自分で記入します。
この証明書の書き方次第で、補償額が変動することも考えられるため、非常に重要な書類です。
場合によっては、過去の収入を証明するために源泉徴収票や所得証明書等の提示を求められることもあります。

交通事故でもらえる基礎収入から見る休業補償計算法

基本的に休業補償は以下の計算式で算出します。

  • 休業補償=休業した日数×1日あたりの基礎収入額

1日あたりの基礎収入額は、自賠責保険の場合で原則1日5,700円です。
5,700円以上の収入があると立証できれば上限19,000円まで増額できます。

事故によりケガをした際の、自賠責保険で決められている合計金額の上限は120万円です。
これは休業補償だけでなく、慰謝料や治療費等の全ての賠償金の合計金額である点に注意してください。

任意保険の場合は、保険会社ごとに独自の基準を設けているため一概には言えませんが、自賠責保険を多少上回る程度と考えて差し支えないと言えます。
それでは続いて職業や種類ごとの計算方法をご紹介します。

正社員、パート、アルバイト

条件・・・直近3か月の給与の合計75万、実稼働日数月25日間(※単に90日で計算される場合もあります。)、休業日数20日間の場合

  • 1日あたりの基礎収入額 75万÷75日(3か月)=1万円
  • 休業補償額 1万円×20日間=20万円

計算をする上で、税金分は差し引かれません。
また有給休暇を使用していたとしても、その分も休業日数として考えられます。

自営業

自営業の方の休業補償額は以下のように算出します。

  • 休業補償額=(前年度の収入÷実稼働日数(または365日))×休業日数

前年度の収入は、売上から経費や専従者給与等を差し引きます。
この時、固定費に含まれる家賃や減価償却費などは経費から差し引くことはしません。
休業中でも支出することが予想されるからです。
根拠資料として、確定申告書や納税証明書を添付する必要があります。

なお、前年度の収入が赤字だった場合も、収入がゼロとすることは理不尽なため、自賠責保険の基準を用いるなどの方法が取られます。

専業主婦(主夫)

専業主婦などのように家事を専門にしている人の場合は、給料はありませんが休業補償は基本的に認められています。
自賠責保険基準である1日あたり5,700円で計算されることが多いです。
もしくは厚生労働省が統計を行っている「賃金センサス」と呼ばれる指標を使うこともあります。

賃金センサスとは雇用形態や職種、性別、年齢などの労働者の属性別に賃金の実態を明らかにするために調査されています。
この賃金センサスに載っている、同じような属性の方の平均賃金を用いることで、同水準の休業補償を推定できるのです。

交通事故でもらえる休業日数の計算

交通事故_休業日数_計算

休業日数の考え方についてご紹介します。
もちろん会社を丸1日休んだのであれば1日としてカウントしますが、半日の場合や有給休暇の場合はどうでしょうか。

交通事故で半日休んだ場合の休業日数の計算

半日休んだ日の場合はシンプルに、休業日数は0.5日となります。

交通事故で有給を利用した場合の休業日数の計算

先にも述べましたが、有給休暇を利用した日もそのまま休業日数1日分としてみなします。
有給休暇そのものが価値を持っているものであり、その価値に損害が与えられたと考えることができるためです。

主婦や、自営業の休業日数はどうなる?

主婦(主夫)や自営業者の休業日数は、実際にその仕事に従事できなかった日数になります。
具体的には、病院へ通っていた日数や、これ以上治療を続けても症状は治りきらず、将来にわたって事故による症状が残る「症状固定」と診断される時までの日数です。
症状固定までの期間を休業日数とする時は、休業割合が徐々に少なく計算される時もあります。
例えば最初の1か月は通常通り100%ですが、2か月目は75%といったように徐々に小さく計算することがあるのです。

休業補償はいつもらえるのか?

支払ってもらえるのはどれくらいの期間なのか?
休業補償はいつもらえるのか?
そんな疑問を解消します。

もらえる期間はいつまで?

休業補償をもらえる期間は、休業の必要があったと認められる相当の期間です。
具体的には以下のとおりです。

  • ・ケガの場合・・・治療が終わるまで、もしくは症状固定まで
  • ・後遺障害が残った場合・・・症状固定と診断される時まで
  • ・死亡の場合・・・事故発生から死亡した日まで

休業補償は毎月もらえる?

通常はその他の賠償金と同じタイミングで一括支払いされることが多い休業補償ですが、休業損害証明書等の必要書類を毎月提出することで毎月受け取ることもできます。

先払いしてもらえる?

自賠責保険の仮渡金という制度を利用すれば、損害の一部を先払いしてもらうこともできます。
ケガの治療が長引いている場合などで、治療が終わり損害額が確定するまでに保険金が入ってこないと、当面の生活費や治療費に困ってしまうこともありますよね。
そのような場合に、全損害が確定する前でも、当面の必要分として一時的なお金を請求することを仮渡金の請求と言います。
あくまでも仮の支払いなので上限額もあり、全損害が確定した後は精算することになります。

任意保険の場合は、保険会社により対応が異なりますが、交渉次第では先払いを認めてくれることもあります。

休業補償を打ち切られた、その対策

休業補償を受け取っていると、途中で補償を打ち切られたという話も聞きます。
一体どういったケースで打ち切りにあうのでしょうか。
対策方法と一緒にご紹介します。

休業補償期間中に調査がある?

休業補償期間中に、保険調査員と呼ばれる人物による調査が入ることがあります。
会社勤めの人であれば、勤務先に調査員が訪問し休業の実態があるのかどうか調べます。
保険会社にとっては、休業期間が長引く分だけ出費が増えますので、正確に実態を把握したいためです。

補償を打ち切られた

症状によって異なりますが、以下の期間が経過すると保険会社から打ち切りを打診される事が多いです。

  • ・打撲の場合・・・1か月程度
  • ・むちうちの場合・・・3か月程度
  • ・骨折の場合・・・半年程度

むちうちは交通事故によるケガで最も多いタイプです。
そのためおよそ3か月程で休業補償期間は終わると考えておいて良いでしょう。

打ち切られそうになった場合は弁護士に相談

まだ、治療が終わっておらず仕事復帰が厳しいのに保険会社から打ち切りを打診された時は、示談交渉にも強い弁護士に今後の方針を相談しましょう。

交通事故被害のご相談はAuthense法律事務所

交通事故被害による後遺障害等級認定、示談交渉・裁判、損害賠償請求(慰謝料請求)などのご相談をお受けしています。
ご相談者の痛みやお気持ちをお相手にしっかりとお伝えできるよう、法的観点から冷静に分析し、最良の解決に導くための弁護方針をご提案いたします。お気軽にご相談ください。

損害賠償金額の無料診断サービス

保険会社から提示された損害賠償金額が適正かどうか※1を無料で診断します。
※1 弁護士基準(裁判基準)での算定損害賠償

後遺障害等級認定サポート

交通事故の被害者に寄り添い、交通事故問題を積極的に解決してきた弁護士とパラリーガルが中心となり、後遺障害等級認定申請、初回請求認定率・異議申立て認定率を誇る提携パートナーとともに、後遺障害等級認定をサポートします。

法律相談は基本的に何度でも無料(お電話相談も承ります※2

交通事故被害に関するご相談は基本的に何度でも無料(お電話相談も承ります)。着手金0円。
※2 遠方の方、おケガをされている方を優先させていただきます。

こんな記事も読まれています

弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00

CONTACT

法律相談ご予約のお客様
弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00
弁護士へのご相談予約で、初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
弁護士との初回面談相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます