コラム

公開 2022.03.01

売主向けに解説!不動産売買でよくあるトラブル事例とは

売主向けに解説!不動産売買でよくあるトラブル事例とは

不動産売買に関してよくあるトラブル事例を類型別に紹介します。
不動産売買をする際には、トラブルに注意しなければなりません。
どのようなトラブルが起きうるかを事前に知っておくことで避けることが可能となります。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。明治大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院を修了(法務博士)。最高裁判所司法研修所修了後、Authense法律事務所へ入所。 相続分野を中心に多くの案件を取り扱うほか、離婚や刑事事件など、様々な案件に意欲的に対応している。

土地に関する不動産売買トラブル

不動産売買に関するトラブルの中で、土地に関するトラブルには、主に境界に関するものと地下埋設物に関するものの2つがあります。

隣地との境界が確定していないことによるトラブル

土地の売買で生じやすいトラブルの一つに、隣地との境界が定まっていないことや、あいまいであることによるものがあります。
境界とは、その土地と隣の土地との境目のことです。

原則として、すべての土地は法務局へ登録(「登記」といいます)されており、それぞれの土地について面積も記載されています。
そのため、以前は測量され、どこからどこまでがその土地であるのか区分されていたはずです。

しかし、前回の測量から長い期間が経過したことなどにより、どこがその土地の境界なのかよくわからなくなってしまっている場合が存在します。
隣地の所有者が勝手に越境をして、塀や建物を建築してしまっているような場合もゼロではありません。

そもそも、売主には目的物引渡義務の履行の一環として、境界明示義務があるとされています。
境界明示義務とは、「ここからここまでが売却対象の土地です」ということを、明確に示すことです。
そのため、売却の前には土地をきちんと確認し、事前に境界に関する問題を解消したうえで売却するようにしましょう。

当然ながら、境界に関してトラブルを抱えているにも関わらず、何ら説明することなく土地を売却してしまうと、後から損害賠償を請求されるなどトラブルに発展する可能性が高くなります。

境界の確定には費用や時間がかかることも少なくありません。
また、隣地所有者が協力的ではないなど、状況によっては非常に骨が折れる手続きとなる場合もあるでしょう。
だからといって、境界トラブルを隠したまま売却することなどは言語道断です。

地下埋設物によるトラブル

土地に関するトラブルとして、地下に埋設物があるケースが考えられます。
埋設されているものは、たとえば解体工事で生じた廃材であったり、以前その地で操業していた工場から出た産業廃棄物であったりさまざまです。

売主として地下埋設物があることを知っているのであれば、そのことを隠して売却することは絶対に避けましょう。
遅かれ早かれ建設工事の過程などで判明することであり、仮に埋設物の存在を隠して売却したとなれば責任を問われる可能性が高いためです。

地下埋設物の存在を知っている場合はもちろん、埋設物が埋まっている可能性があると考えているのであれば、
売主としては可能な限り地下埋設物の有無を調査し、万が一埋設物があった場合には撤去をしてから売却するようにしましょう。

仮に買主も納得してくれるのであれば、埋設物を撤去しないまま売却する代わりに、撤去に要する費用分を値引いた金額で土地を売却することも選択肢の一つです。

建物に関する不動産売買トラブル

不動産売買トラブルのうち建物に関するものには、主に契約不適合に関するものと心理的瑕疵に関するものがあります。
それぞれ見ていきましょう。

契約不適合によるトラブル

売主は買主に対して、契約したとおりの状態で建物を引き渡すことが必要です。
実際に引き渡した建物が仮に契約に適合していない場合には、損害賠償責任を負ったり修繕を求められたりすることとなります。
そのため、仮に建物内の設備が故障している場合や雨漏りがある場合、シロアリの被害がある場合などには、問題の解消に必要なリフォームを行ったうえで売却するようにしましょう。

また、仮にそのままの状態で売却する場合には、問題の内容を買主にあらかじめ説明をしたうえで、その旨を契約書に明記しておくことが必要です。

特に雨漏りやシロアリなどは建物の主要な構造部に影響を与えるものであり、応急措置をしたのみで解決できるものではありません。
表面だけを隠してもすぐに発覚して問題になる可能性が高いため、買主に告げないまま売却することはしないようにしましょう。

心理的な瑕疵(かし)に関するトラブル

「瑕疵(かし)」とは、不動産売買の際によく使われる用語であり、傷や欠点を意味します。
中でも心理的な瑕疵とは、たとえ物件の機能自体には支障がなかったとしても、買主が心理的に抵抗を感じる事柄のことです。

たとえば、過去にその物件内で亡くなった方がいる場合などのいわゆる「事故物件」である場合や、周囲にお墓があったり暴力団関係施設があったりする場合などがこれに該当すると考えられます。

こうした心理的な瑕疵について、どこまで告知が必要なのかについては、国土交通省が公表している「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」などを参考にすると良いでしょう。
これによれば、たとえば次の場合には告知しなくてもよいとされています。

  1. 対象不動産で発生した自然死や日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)
  2. 対象不動産の隣接住戸又は日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した1以外の死や、特殊清掃等が行われた1の死

ただし、ガイドラインでは「買主・借主の意向を事前に十分把握し、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識した場合には特に慎重に対応することが望ましい」とも記載されています。

ガイドラインは、あくまでも一つの基準でしかありません。
たとえば、買主がその物件での死亡事案の有無を特に気にしている場合、ガイドライン上では告知しなくてもよいとされたものであったとしても、後のトラブルを防ぐためには丁寧に告知をすべきでしょう。

マンションに関する不動産売買トラブル

マンションに関する不動産売買トラブル
マンション特有のトラブルとしては、管理規約の説明不足や管理費滞納に関するものが考えられます。

管理規約の説明不足によるトラブル

管理規約とは、そのマンション全体に適用されるルールです。
この管理規約の内容はマンションによってさまざまで、たとえば民泊の禁止やペット飼育の禁止、事務所利用の禁止などが定められている場合があります。

当然ながら、買主が購入前に規約を知らなかったからといって、こうした規定が適用除外になるわけではありません。
そのため、マンションを売却する場合には、管理規約について丁寧に説明をしておくことが必要です。

たとえば、ペットを飼育している人にペット禁止を告げないままペット禁止の規約があるマンションの1室を販売してしまった場合には、大きなトラブルとなりかねないでしょう。

滞納管理費がある場合のトラブル

マンションを購入すると、管理費や修繕積立金を毎月支払わなければならないことが一般的です。

仮に管理費や修繕積立金を滞納した場合、その滞納した分の支払義務者は、その滞納者のみであると考えることが通常かと思います。
しかし、区分所有法の規定によれば、管理費や修繕積立金が滞納された部屋が売却され持ち主が変わった場合には、前の所有者が滞納していた管理費や修繕積立金について、
その部屋の新しい所有者へ請求することができるのです(もっとも、管理費にどのような費目が含まれるか、修繕積立金が請求できるかは管理規約の内容によって異なります)。

そのため、前の所有者が管理費や修繕積立金を滞納していたかどうか、売買時によく情報を共有しておく必要があるといえます。

契約に関する不動産売買トラブル

契約に関する不動産売買トラブル
不動産売買の契約についてのトラブルとしては、主に仲介手数料に関するものと、契約解除に関するものが挙げられます。
それぞれ確認していきましょう。

仲介手数料に関するトラブル

仲介手数料とは、不動産の売却や購入の仲介を依頼した場合に、不動産仲介会社に対して支払うべき料金です。
仲介会社に不動産の売買を依頼する際には、仲介手数料など支払う必要のある料金の総額をあらかじめよく確認しておきましょう。

仲介手数料の上限額は、その不動産の売却価格ごとに、法令で次のように定められています。

  • 200万円以下:売却価格(消費税額除外)×5%+消費税
  • 200万円超え、400万円以下:売却価格(消費税額除外)×4%+消費税
  • 400万円超え:売却価格(消費税額除外)×3%+消費税

なお、これはあくまでも上限であり、必ずしもこの報酬額を支払わなければならないわけではありません。
しかし、あたかもこれを上限ではなく、法律で決まった報酬額であるかのように説明をする仲介業者も存在するため注意が必要です。

また、「コンサルタント料」など仲介手数料とは別の名目で、これとは別途の報酬を請求する不動産仲介会社もあるようです。
しかし、名目がどうであれ、その実態が仲介についてのものである以上、上限額を超えた報酬を請求することはできません。

後からトラブルにならないよう、報酬に関しても書面できちんと取り決めをし、確認をしておきましょう。

契約解除に関するトラブル

契約解除に関するトラブルも、不動産売買ではよくあるトラブルの一つです。
中でも、売買契約をする予定で話を進めていた買主が住宅ローンの審査に通らず、やむなく解除になる場合が存在します。

売買契約書には、ローンに関する特約を付すことが一般的です。
ローンに関する特約とは、たとえば「ローン審査が通らなかった場合には、売買契約が白紙となる」といった内容のものを指します。

不動産取引を専門とする不動産仲介会社のサポートを受ける場合にはこのような条項が入っていることが一般的ですが、
個人間で行う売買などでは条項に漏れがある場合もありますので、事前に弁護士へ相談してよく確認しておきましょう。

不動産売買でのトラブルを予防するためにできること

不動産売買でのトラブルを避けるため、不動産の売却を検討する際には、次の予防策を講じることをおすすめします。

きちんと契約書を交わす

1つめは、きちんと契約書を交わすことです。
まったくの第三者との取引であれば、契約書はきちんと交わすことが一般的でしょう。

一方で、親しい相手などとの売買の場合には、契約書を交わさなかったり、よく内容を確認することなく契約を交わしてしまったりする場合もあるかと思います。

不動産売買では動く金額が大きいうえ、トラブルが起きる可能性はゼロではありません。
たとえ親しい間柄であったとしても、必要な事項はきちんと取り決め、契約書を交わしておきましょう。

不動産仲介業者に丸投げしない

不動産を売却する際には、仲介業者へ依頼する場合が大半です。
しかし、仲介業者へ丸投げしたままという姿勢はおすすめできません。

大事な不動産の売却ですから、自分でも相場を調べるほか、定期的に現地を確認したり仲介業者へ進捗状況を確認したりして、積極的に関わっていくと良いでしょう。

不動産トラブル事例データベースでよくあるトラブル事例を知っておく

不動産に関するよくあるトラブルについては、国土交通省が制作している「不動産トラブル事例データベース」で公表されています。
こちらをよく確認のうえ、売却しようとしている物件ではどのようなトラブルが起きうるのか想定し、万が一の際の解決法をシミュレーションしておくと良いでしょう。

早期に弁護士へ相談する

不動産売買がトラブルに発展しそうな場合には、早期に弁護士へ相談してください。
トラブルの解決には、早期の対応が重要となるケースが少なくないためです。

無理に自分で対応をしてトラブルを広げてしまわないためにも、早期に不動産トラブルに詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

まとめ

不動産は、買い手にとって一生に一度の買い物であることが少なくありません。
また、非常に大きなお金が動くものです。
こうした特性から、仮に物件に何らかの問題があった場合には、トラブルとなる可能性が高いといえます。

不動産の売り手となる場合には、買い手の想いを汲み、必要な情報は正しく告知するなど、誠実な対応が求められるといえるでしょう。

それでも万が一トラブルに発展してしまった場合には、お早めにAuthense法律事務所までご相談ください。
Authense法律事務所には、不動産法務に詳しい弁護士が多数在籍しており、トラブルの早期解決をサポートいたします。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

・契約不適合への該当性や該当する場合の対処方法について、ご相談を踏まえてアドバイスします。
・売買契約書の内容として十分な内容かどうか確認するなど、適切な売買契約の締結をサポートします。
・相手方や不動産会社とトラブルになった際、代理人として交渉や裁判の対応を引き受け、あなたの利益を守りつつ、早期解決を目指します。

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