労働問題のよくある質問

残業代請求や未払い賃金請求のよくある質問

残業代請求をしていることを就職活動先や転職先に知られたくありません。

残業代請求は、弁護士と前職在籍の会社との間で、交渉や裁判をすることになりますので、転職先に知られることはほとんどないでしょう。

一方で、前職在籍の会社へ、在籍中の勤務態度や勤務状況について問い合わせをする企業は、それほど多くはないものの実際にあるようです。しかしながら、人事は守秘義務が道義的にありますので、残業代請求をしていることが、就職活動先や転職先に知られる可能性はほとんどないでしょう。

ご心配であれば、かつての同僚や関係者にはできるだけ転職先を教えないようにするなど予防的対策をとっていただくとよろしいでしょう。

「就業時間1時間前に出社するように」と、会社から言われています。

就業規則や契約内容によりますが、給料にその時間が含まれていないのであれば、会社はその時間について給料を支払わなければなりません。

違法の可能性があり、残業代を請求することができます。

在職中(就業中)の会社に、残業代を請求することはできますか?

職中(就業中)の会社に、残業代を請求することはできます。退職後よりも、在職中(就業中)のほうが残業代の請求に必要な証拠を集めやすいでしょう。残業代の請求は、労働者の正当な権利ですので、あきらめずにご相談ください。

しかしながら、就業中に残業代請求を行うことで、会社との関係性を心配される方もいらっしゃいますし、退職後の方が、遠慮なく会社に残業代を請求できるという方もいらっしゃいます。

残業代請求の時効は、3年間とされているため、退職日からすぐに請求を行いたいということで、「会社を退職することが決まったとき」、「最終出勤日から退職日までの有給休暇消化中」などにご相談にいらっしゃる方がほとんどです。※

2020年4月1日以降に支払われる賃金については、時効期間が2年から3年に変更されました。
ただし、2020年4月1日より前に発生した賃金については、時効期間が2年のままとなりますのでお早めにご相談ください。

「残業申請(命令)は30分単位だから」と言われました。

毎日の残業時間(時間外労働時間数)は本来1分単位で計算されるべきものです。四捨五入や切り捨ては認められません。そのため、残業時間の端数処理で15分や30分単位で残業時間を切り捨てることは違法となります。

ただし、1ヶ月の時間外労働、 休日労働、 および深夜労働時間数の合計に、 1時間未満の端数がある場合は、「1時間単位でする便宜的事務処理」として、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げることが例外として認められています。

未払いの残業代を自分で計算することはできますか?

未払いの残業代を自分で計算することはできますが、必要な資料が不足している場合は、正確な残業代を計算することは難しいでしょう。

インターネットで無料提供されているシミュレーションツールなどで概算を把握したら、弁護士に委任して、正確な残業代を算出した上で、残業代請求をされることをおすすめします。

会社の経営が思わしくないと聞きました。このような経営状況でも残業代を請求することはできますか?

残業代請求は、労働者の正当な権利です。会社の経営状況によるところもありますが、未払いの残業代をしっかり取り戻せるように、できるだけ早く、弁護士にご相談されることをおすすめします。

止むを得ず、残業をするしかありませんでした。上司の承認を得ずに行った残業に対して、残業代は請求できますか?

判例(大阪地判平成18年10月6日)では、残業代の請求権は失われないとされています。

裁判例(大阪地判平成18年10月6日):
就業規則に、事前の所属長の承認を得て就労した場合の就業についてのみ時間外労働とする定めがあっても、こうした規定は、不当な時間外手当が支給されないようにするための工夫を定めたものにすぎず、所属長の承認なしの時間外労働の賃金請求権は失わない。

ただし、この判断が妥当するか否かは、業務の性質などそれぞれの事情によるところが実際です。ご不安であれば、弁護士へご相談されることをおすすめします。

会社から「残業した場合も残業代を受領しない」と、覚書のようなものを書かされました。私は残業代を請求することができないのでしょうか?

残業代を請求することができます。たとえ、会社(使用者)と労働者との合意の上であっても、会社(使用者)は労働者に対して、残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。

取引先との商談や接待などで帰宅が深夜になることが多いです。営業手当はもらっていますが、残業代は支払われたことがありません。私の場合、残業代を請求することはできますか?

業職に「営業手当(みなし手当)」が支払われていることが多く見受けられます。本来、時間外労働時間や深夜労働時間に応じた割増料金が支払わなければなりませんが、これを固定制にして、給与に含めるのが営業手当(みなし手当)としています。

営業手当(みなし手当)が、実際の割増賃金に相当していれば問題ありませんが、時間外労働がみなし手当に対応する残業時間を超えている場合には、それについて残業代を請求することができます。

「君は管理職だから、残業代は出ないよ」と言われました。

厚生労働省は「肩書きを盾に安い賃金で長時間労働を強いることがあってはならない」と通達を出しています。
これは、会社(使用者)が、「管理職」という肩書きを与えることによって残業代の支払いを免れようとする所謂「名ばかり管理職」問題に対するものです。

「店長」や「課長」などの肩書きだけではなく、管理職(管理監督者)として、実質的な要素を考慮して判断されるべきとされています。

管理職(管理監督者)にあたるか否かの判断要素

職務内容
決裁権、人事権、採用権など経営者と一体的な立場か
自己の勤務時間に対する裁量権
役職手当など賃金などの待遇
なお、管理職(管理監督者)であっても、深夜労働については割増賃金を支払わなければなりませんので、この部分については管理職(管理監督者)であっても、残業代を請求することができます。

午前中は自宅から取引先(営業先)に直行し、午後4時以降に帰社後、内勤業務を行うことがほとんどですが、私の場合、みなし労働時間制が採用されるのでしょうか?

後4時までは所定時間労働したものとみなされ、それ以後は実労働時間で計算して、両者の合計を1日の労働時間とされます。よって、残業代は請求できます。

※みなし制の適用要件

第一の要件:事業場の外で労働がなされること。
労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし計算がなされます(昭63.3.14基発150号)。

第二の要件:労働時間を算定しがたいこと。
労働時間を算定しがたいかどうかは、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより判断されます。

みなし制により処理を行う場合は、所定労働時間によるのが原則ですが、業務を行うのに所定時間を越えて労働することが通常必要である場合には、その通常必要な時間につき、みなしが行われます。
「通常必要な」時間は、判断が難しいため、過半数組合、組合がない場合は過半数代表者との労使協定により「通常必要な」時間を定めることができます。
例えば、その業務を遂行するために、「通常5時間かかる」と考えられる場合は、所定労働時間の3時間でみなすのではなく、5時間働いたとみなさなくてはならないということです。
ただし、当該業務の遂行に通常必要とされる時間は時とともに変化することが考えられるので、協定には有効期間の定めをしなければなりません(労働基準法施行規則24条の2第2項)。また、この協定は届出が必要です(労基法38条の2第3項)。

営業職をしています。外回りが多く、社外では携帯電話やモバイル端末で上司からの指示を受けながら働いています。私の場合、みなし労働時間制が採用されるのでしょうか?

みなし制の適用要件の一つに、「労働時間を算定しがたいこと」があります。
労働時間を算定しがたいかどうかは、会社(使用者)の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより判断されますが、携帯電話などにより随時、会社(使用者)の指示を受ける場合は、この要件を充たさないとされています。
したがって、本件のケースでは、右要件を満たさないため、みなし労働時間制が適用されません。

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