コラム

公開 2021.06.16 更新 2024.04.08

成年後見制度と財産管理委任契約の内容と相違点について解説!

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成年後見制度と財産管理委任契約の内容や相違点とは?
いつ、どのような場合において、どちらの制度・契約を活用すべきか、相続に詳しい弁護士が解説いたします。

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成年後見制度とは

成年後見制度とは、判断能力が不十分であり法律行為などを行うことが難しい人(以下、「被後見人等」といいます。)のために、後見人、保佐人、補助人(以下、「後見人等」といいます。)が、必要な法律行為や財産管理、身上保護などを行うことによって、被後見人等の保護を図る制度です。
どの程度の保護を図るべきかという点に関して、被後見人等の判断能力の程度により、後見、保佐、補助という3つの種類があります。

  • 後見→判断能力が欠けているのが通常の状態の方
  • 保佐→判断能力が著しく不十分な方
  • 補助→判断能力が不十分な方

成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所への申立てが必要となります。
申立てができるのは、本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長など、法律で決められた人に限られています。
一般的には、本人の親族が申立てを行うことが多いです。

成年後見制度は、判断能力の低下により、預貯金の管理や不動産の処分などの契約行為や相続手続きなどを本人が遂行することができない場合に利用されることが多く、一度後見人等が就任すると、被後見人等の判断能力が回復するか、被後見人等が亡くなるまで、後見人等が後見人としての職務を行うことになります。
家庭裁判所への申立てには、

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 戸籍など
  • 親族の意見書
  • 本人の診断書
  • 候補者事情説明書
  • 財産目録
  • 収支予定表

などの資料が必要となります。

(参照:裁判所

後見人等については、後見人等になって欲しい候補者を推薦することは可能です。
ですが、その候補者が後見人等として適切かどうかについては、最終的には裁判所の判断になります。
そのため、必ずしも候補者が後見人等に就任するわけではなく、場合によっては、弁護士や司法書士などの専門家が後見人等に就任することもあります。
専門家が就任する場合は、被後見人等の財産額に応じて、月2~10万円程度の報酬を被後見人等の財産から支払うことになります。

さらに、成年後見制度は、成年後見の登記もなされます。
詳細は、法務省のHPをご参照下さい。

財産管理委任契約とは

財産管理委任契約とは

財産管理委任契約とは、他人に自己の財産の管理を委任する契約のことです。
財産の管理を委任する人を委任者、財産の管理を任される人を受任者といいます。

財産管理委任契約は、契約行為となりますので、委任者・受任者の双方に判断能力が必要となります。
財産管理委任契約は、契約書が無くても成立しますが、後々トラブルになることを防止するためにも、契約書を作成することが多いです。
また、公証役場で、契約書の内容を公正証書にすることもあります。

この財産管理委任契約は、まだ判断能力はあるのだけれども、財産の管理が不安な場合などに利用されます。
しかしながら、あくまで、当事者間の契約に過ぎません。
そのため、この財産管理委任契約があるからといって、金融機関などが委任者の財産を受任者が管理することを認めることは少なく、個別の委任状を要求されることも多いといえます。

最近は、高齢者を狙う詐欺事件も非常に多いため、相続などで多額の財産を承継した高齢の女性が、信頼のできる親族に財産管理を委任するケースなどもあります。

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成年後見制度と財産管理委任契約との比較

成年後見制度と財産管理委任契約の主な相違点は、以下のとおりです。

まず、成年後見制度は、本人の判断能力が低下してはじめて利用できる制度です。
これに対し、財産管理委任契約は当事者間での契約が必要になりますので、委任者・受任者双方の判断能力が必要となります。

また、成年後見制度は家庭裁判所への申立てが必要で、裁判所または成年後見監督人による監督があります。
これに対し、財産管理委任契約は、あくまで当事者間の契約となるため、裁判所への申立てなどは不要ですし、受任者を監督する立場の人も定められません。

成年後見制度は民法で定められた制度であり、ご本人の財産の管理方法などに柔軟性がない点に注意が必要です。
財産管理委任契約の場合は、当事者間で条件などを決めることができますので、様々なことを柔軟に決めることができます。

そして、成年後見制度は裁判所に申し立てるものであり、後見登記などもされるため、金融機関なども成年後見人の管理に対応してくれます。
財産管理委任契約は、あくまで私人間の契約であるため、金融機関が受任者の管理に対応してくれない場合もあります(個別の取引に委任状を請求されるなど)。

以上のように、成年後見制度と財産管理委任契約では、判断能力の有無により適用される場面が異なります。
判断能力が低下するまでは財産管理委任契約を締結しておき、判断能力が低下したら成年後見制度を活用するということも可能です。

任意後見契約について

任意後見契約について

財産管理委任契約は、「任意後見契約」と一緒に締結されることもあります。
任意後見契約とは、将来判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人に身上保護や財産管理に関する事務について代理権を与えることを決めておく契約です。
契約行為になるので、成年後見制度と異なり、本人の判断能力が必要になります。
また、この契約は、公証人の作成した公正証書による必要があり、契約締結後、公証人からの嘱託により法務局に登記されます。

任意後見契約は、成年後見制度と異なり、本人の判断能力があるときに、当事者が契約することになりますので、任意後見人を誰に依頼するかをご本人が選ぶことができます。
また、任意後見契約の内容(代理できる事項等)も契約当事者間で決めることが可能なため、成年後見制度に比べ、本人の意思を反映させることが可能となります。

まとめ

近年、高齢の方を狙った詐欺事件も多発しており、「財産管理」の重要性は高まっていると考えられます。
成年後見制度や財産管理委任契約について、一度話を聞いてみたいと思われた方は、ぜひ弁護士に相談してみて下さい。

・判断能力に問題がある方が身近にいらっしゃって、財産管理などにお悩みがある方は、一度ご相談ください。成年後見人等の選任が必要かどうかの判断だけでなく、お客様の状況に応じた適切なアドバイスをさせていただきます。

・ご自身もしくはご親族の財産の管理でお困りの方も、一度ご相談ください。財産管理委任契約や、任意後見契約の締結など、お客様にとって最適な対策方法を提案させていただきます。

・相続が発生し、相続人の中に判断能力に問題がある方がいらっしゃるような場合にも、一度ご相談ください。遺産分割のための成年後見人等の選任だけでなく、遺産分割に関するアドバイスなど、様々な角度で最適なサポートをさせていただきます。

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記事を監修した弁護士
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弁護士 
(大阪弁護士会)
同志社大学法学部法律学科卒業、立命館大学法科大学院修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事から企業法務まで幅広い分野を取り扱う。なかでも遺産分割協議や遺言書作成などの相続案件を得意とする。
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