コラム

公開 2021.09.28 更新 2024.03.31

死後離婚とは?相続・年金の手続きやメリットについて解説!

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夫が亡くなり、相続が発生したが、夫側の親族とはもう関わりたくないというケースもあるのではないでしょうか?

夫が亡くなった後に、夫側の親族との関係を終了させたい場合、姻族関係を終了させる手続き「死後離婚」を取ることができます。

今回は、死後離婚に関する手続き、相続権や年金の受給権について、死後離婚のメリットなどについて、詳しく解説いたします

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死後離婚とは

配偶者が亡くなった後に、配偶者側の親族との関係を終了させたい場合、姻族関係を終了させる手続きを取ることができます。
これは俗に「死後離婚」といわれています。

配偶者が亡くなった場合、亡くなった配偶者本人との関係である婚姻関係は解消されますが、亡くなった配偶者の血族との姻族関係は当然には終了せず、継続している状態となります。
この継続している姻族関係を終了させるための手続きが「死後離婚」といわれる手続きであり、そのために必要な届出の名称を、「姻族関係終了届」といいます。

「死後離婚」の手続きをとる人の数は、年々増加しており、ここ10年では届出数は約2倍となっております。

それでは、「死後離婚」の手続きは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
ここでは、「死後離婚」を選択することによるメリット・デメリット、相続権や年金受給権がどう取り扱われるのかについて解説いたします。

死後離婚の手続き

死後離婚の手続き

姻族関係終了届の手続きは、婚姻届や離婚届と同様、市区町村役場に届出を提出する必要があります。

具体的な提出書類、提出先などは、以下のとおりです。

提出書類

  • 姻族関係終了届
  • 亡くなった配偶者の死亡事項が記載されている戸籍(除籍)謄本1通
  • 届出人の現在の戸籍謄本1通(提出先が本籍地の場合は不要)

提出先

  • 届出人の本籍地又は住所地のある市区町村役場
    ※届出時には、届出人の印鑑(シャチハタ以外)、本人確認書類(運転免許証、旅券、マイナンバーカードなど)が必要となります。

提出者

  • 遺された配偶者
    ※以上は、一般的な提出書類となりますので、実際に届出をする場合は、各市区町村のHPや窓口にて、提出書類を確認してください。

なお、婚姻前の苗字(いわゆる旧姓)に戻りたい場合は、姻族関係終了届の他に、復氏届の提出も必要となりますので、注意してください。
(姻族関係終了届を出さず、復氏届のみを提出することもできます。)

死後離婚については、手続き自体はそれほど難しくありません。
しかしながら、姻族関係終了届は一度届出が受理されると、原則として取消しなどはできませんので、弁護士などの専門家に事前に相談した上で、提出するようにしましょう。

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死後離婚のメリット

死後離婚の主なメリットは、以下のとおりです。

  1. 亡くなった配偶者の両親や兄弟の扶養義務を負わなくて済む
    民法877条には、扶養義務についての定めがあり、3親等内の親族であれば、扶養義務が生じる場合があります。
    そのため、亡くなった配偶者の両親や兄弟の介護や金銭的支援などの扶養の義務から解放されるため、死後離婚の手続きをとる方も少なくありません。
  2. 亡くなった配偶者の親族との姻族関係が終了する
    姻族関係が終了すると、一般的には亡くなった配偶者の親族のお墓の管理や法事への出席などからも解放されます。
  3. 相続権や年金受給権には、影響はない
    死後離婚の手続きをとった場合においても、「死後離婚」は配偶者の血族との関係の手続きであるため、亡くなった配偶者の遺産を相続する権利や遺族年金の受給権は無くなりません。
    そのため、「死後離婚」の手続きを選択しても、亡くなった配偶者の財産を相続し、遺族年金を受給した上で、姻族関係を終了させることが可能となります。

以上より、多くのケースでは、亡き配偶者の両親や兄弟との関係性を絶つために、「死後離婚」の手続きが選択されます。

法定相続人の範囲についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

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死後離婚の注意点

死後離婚の注意点

それでは、死後離婚を選択する場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

まずは、死後離婚の手続きをとったとしても、子どもらは姻族との関係を断ち切れないということです。

例えば、配偶者が亡くなったA子さんには、子どもが二人いるとします。
A子さんは、死後離婚をすると、配偶者の両親や兄弟姉妹の扶養義務を免れますが、A子さんの子どもが扶養義務を免れることにはなりません。
なぜなら、A子さんの子どもは、亡くなった配偶者やその血族と血縁関係があるため、親族関係は継続することになるからです。
また、A子さんが死後離婚の手続きをとった場合でも、A子さんの子どもは、亡くなった配偶者の両親の代襲相続人にもなります。

また、義理の両親や兄弟との関係が疎遠になる可能性が考えられます。
もし、義理の両親や兄弟との関係を継続したい場合は、死後離婚という手続きを選択すべきか否か、慎重に検討するとよいでしょう。

死後離婚を選択する場合、断ち切ることができるのは、あくまで「姻族関係」であり、血縁関係は断ち切ることはできませんので、注意してください。
また、死後離婚を選択することで、予想外に義理の両親や兄弟が反応してしまい、今までの関係が壊れてしまうという可能性もありますので、選択時には専門家に相談し、十分に検討した上で、手続きをとるようにしましょう。

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まとめ

死後離婚の手続きは、亡くなった配偶者の相続権や遺族年金受給権に影響を与えるものではありませんので、手続きのメリットを享受したい場合は、検討するとよいでしょう。
しかしながら、いったん手続きをとってしまうと、容易に取消しはできないため、可能な限り、専門家に相談をした上で、死後離婚の手続きをとるか否か判断されることをお勧めします。

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記事を監修した弁護士
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弁護士 
(神奈川県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学法学部法務研究科を修了。これまで離婚、相続など個人の法律問題に関する案件を数多く取り扱い、依頼者の気持ちに寄り添った解決を目指すことを信条としている。複数当事者の利益が関わる調整や交渉を得意とする。現在は不動産法務に注力。
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