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親族内事業承継の方法と成功のポイントを解説!

そろそろ親族内事業承継をしたいけれど、方法がいまいち分からない。
事業承継での失敗とかも聞くので、どうすれば成功するのかのポイントも知りたい。
そのような方のために、親族内事業承継の方法やポイントを弁護士が分かりやすく解説いたします。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
日本大学法学部卒業、日本大学大学院法務研究科修了。個人法務及び企業法務の民事事件から刑事事件まで、幅広い分野で実績を持つ。離婚や相続などの家事事件、不動産法務を中心に取り扱う一方、新規分野についても、これまでの実践経験を活かし、柔軟な早期解決を目指す。弁護士会では、人権擁護委員会と司法修習委員会で活動している。

親族内事業承継のメリット・デメリット

後継者候補の親族がいる場合、当該親族に対して事業を承継させること(以下「親族内事業承継」といいます。)を検討することが多いと思います。

親族以外に対して事業を承継するということも考えられますが、今回は、親族内事業承継のメリットとデメリットをみていきます。

親族内事業承継のメリットは、「相続」や「贈与」を活用することにより、財産や株式を承継させることができるということです。
親族内事業承継以外の事業承継では、株式などの譲渡金額、譲渡金の工面などが問題となることも多いですが、親族内事業承継では、譲渡だけでなく「相続」や「贈与」という方法で後継者に株式を移動させることができます。
また、親族内事業承継は、周囲からの理解が得られやすい場合も多く、早めに準備を行うことができるため、早いうちから、経営者としての育成をすることも可能です。

デメリットとしては、まず、長男と二男のふたり兄弟など、後継者の候補が複数いる場合、後継者になれなかった方からの恨みを買うことなどによって、トラブルが発生してしまうことがあるため、後継者以外の親族に対する配慮が必要となる点が挙げられます。
また、後継者でない親族であっても、後継者に承継させる株式の評価額や事業に関連する財産の評価額などを巡って、トラブルに発展することがある点もデメリットです。
その他にも、後継者候補の親族が経営者としての資質を持ち合わせていない場合や、そもそも後継者候補がいない場合もあり、そういった場合には、親族内事業承継とは別の手段を考える必要があります。

親族の中に後継者候補がいる場合は、ぜひ親族内事業承継を検討し、後継者教育などを含めて早めに準備をすると良いでしょう。

親族内事業承継のポイント~準備が大事!~

親族内事業承継のポイント~準備が大事!~

親族内事業承継を成功させるためには、「準備」が非常に大事になります。
必要な準備をしていなかったために、親族内事業承継に失敗するケースは少なくありません。

ここでは、具体的な準備として、①親族が事業を承継することについて周囲の理解を得ること、②経営者の相続対策や、③事業を承継する親族の後継者教育の3点について説明します。

①親族が事業を承継することについて周囲の理解を得ること

親族内事業承継でのよくある失敗は、経営者の退任とともに、従業員や取引先が離れていってしまうということです。
このような失敗がおきないようにするためにも、経営者が、社内の役員や従業員に対して後継者となる親族を紹介して、理解を得ておくようにしましょう。
また、積極的に取引先や金融機関との打合せにも後継者となる親族を同席させ、社外にも後継者として認識させておくと良いでしょう。

経営者が、関係者に対して後継者を紹介し、理解を得ておくことで、いざ後継者が会社の経営を行うときに、周囲が離れたりすることを防ぐことができます。

②経営者の相続対策

後継者以外の親族がいる場合は、経営者の相続対策も非常に重要になります。

例えば、以下のようなケースで、経営者の相続対策を全く行っていない場合には、後継者が事業に必要な財産を承継できないリスクがあります。

経営者の相続対策

経営者の財産
自社株200株(発行済株式100%) 評価額 1億円
会社の工場(土地・建物) 同 5000万円
自宅 同 3000万円
預貯金 2000万円
合計 2億円
  • 相続人:長男(後継者)・次男・三男・長女の4名

法定相続分は各5000万円となるため、長男以外の相続人が法定相続分を主張すると、長男は、自社株と会社の工場(計1億5000万円)を相続するためには、代償金1億円を準備しなければなりません。

そのため、親族内事業承継を検討する場合は、経営者の相続対策も一緒に検討することとし、後継者となる親族に大きな負担を強いることなく、事業に必要な財産を取得できるようにしておく必要があります。

相続税がいくら位かかるか把握したい、揉めないような相続対策をたてたいという場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

③事業を承継する親族の後継者教育

①にも関連しますが、後継者となる親族に経営者としての資質が無ければ、せっかく事業を承継したとしても、事業が難航して廃業してしまうということにもなりかねません。
そのため、後継者としての教育も早めに行っておく必要があります。
後継者教育のために、取引先に出向をさせたり、現場を回らせたりして、自社の事業をより深く理解させるようにする工夫も良いかもしれません。

親族内事業承継のポイント~「現状把握からはじめよう」~

親族内事業承継を検討したら、まずは現状把握からはじめましょう。

【会社関係】

  • ・株主は誰か、保有割合
  • ・会社の財務状況(保有資産や負債の状況など)
  • ・会社の株価
  • ・会社の契約関係(社内・社外)

【個人の財産関係】

  • ・経営者の財産状況
  • ・経営者の親族関係

会社の株主については、株券発行会社なのに株券を発行していない、株式譲渡に必要な手続を経ていない、株主名簿に既に亡くなっている方の名前があるといったことにより、確定が困難な場合があります。
このような場合には、早めに専門家に相談をして、株主の確定や場合によっては少数株主からの株式の買取りなども検討するようにしましょう。

また、会社の財務状況や契約関係を把握することも重要です。
後継者に承継させるまでに、会社の財務状況を改善しておくと、承継後の経営がスムーズです。

契約関係についても、後継者に引き継ぐときにトラブルにならないように、契約書や社内規程の有無や内容の見直しを行っておくと良いでしょう。

親族内事業承継のポイント~事業承継計画書の作成~

親族内事業承継のポイント~事業承継計画書の作成~

経営者も、後継者候補の親族も、本業を優先させてしまい、事業承継の準備がなかなか進まないという状況はよくあります。
そのため、親族内事業承継にあたっては、事業承継計画書を作成することもポイントです。
いつまでに承継を完了させるのか、そのためにはいつまでに何の準備をしておくのかということをしっかりと計画書に落とし込んでいきます。
必要であれば、専門家からアドバイスを受けながら、計画書を作成していくと良いでしょう。

事業承継の一連の流れを「計画書」として書面にまとめておくと、経営者も後継者候補の親族もやるべきことが明確になり、スムーズに親族内事業承継を進めることができます。

親族内事業承継は誰に相談すべきか

以上のように、親族内事業承継を成功させるためには、準備や計画書の作成、正確な現状把握が必要となってきます。
それでは、これらの手続を行うにあたっては、誰に対して相談すべきでしょうか。

親族内事業承継の場合、企業と個人の相続が関わってくるので、両方に長けている税理士や弁護士に相談をされることをお勧めいたします。
また、親族内事業承継の準備は、年単位で掛かることもありますので、経営者や後継者候補とコミュニケーションをしっかりと取ることができる専門家を選ぶことも大事です。
税務や法務については専門家に任せつつ、経営者は、会社の理念や経営者としての心構えを後継者に伝えていくことに専念すると、良い親族内事業承継が実現できるでしょう。

まとめ

以上のとおり、親族内事業承継は、準備や現状把握が重要なので、早めに着手することをお勧めします。
また、税務や法務の知識も必要となりますので、専門家のアドバイスを受けながら進めていきましょう。

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