コラム

公開 2021.05.10 更新 2024.03.31

住んでいる家を生前贈与する方法と注意点を解説!

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今住んでいる家を子どもに生前贈与するときには、契約書の作成や不動産登記、税金など注意すべき点がいくつかあります。
また将来の遺産相続の際にトラブルにならないよう、配慮しなければなりません。
今回は住んでいる家を生前贈与する方法や注意点を解説します。

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1.住んでいる家を生前贈与する手順

今住んでいる家を生前贈与したい場合には、以下のような手順で手続きを行いましょう。

1-1.贈与の合意

まずは贈与者(贈与する人)と受贈者(贈与を受ける人)との間で生前贈与の合意が必要です。
生前贈与は「贈与契約」という一種の契約です。
そのため、どちらかの一方的な意思だけでは贈与できません。
子どもへ住んでいる家を贈与したいなら、まずは子どもと話し合い、贈与をすることの合意をしましょう。

1-2.贈与契約書を作成

贈与の合意ができたら「贈与契約書」を作成する必要があります。
口約束のみでも、贈与は成立しますが、口約束だけでは、生前贈与があった事実を証明できない場合があり、将来のトラブルにつながる可能性もあります。
また不動産の名義変更登記にも贈与契約書が必要となるため、契約書がないと所有名義も変更できません。
親子間であっても必ず贈与契約書を作成し、お互いに署名押印しましょう。
押印は実印で行い、印鑑登録証明書を添付するようお勧めします。

1-3.贈与の登記

贈与契約書ができたら、不動産登記の名義変更をしましょう。
親子間で住んでいる家を贈与すると、登記をせずに放置してしまうケースが少なくありません。
しかし登記をしないと、第三者からは、不動産が受贈者のものとなったことがわからないので、遺産相続が発生したときにトラブルになる可能性があります。
贈与したら、早めに贈与登記の申請をしてください。

贈与登記の必要書類

  • 登記申請書
  • 登記済権利証または登記識別情報通知
  • 贈与者の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 受贈者の住民票
  • 贈与契約書

上記をそろえて不動産を管轄する法務局へ登記申請しましょう。

1-4.贈与税の申告納税

家を生前贈与することによって「贈与税」が発生する可能性があります。
贈与税がかかる場合には、贈与した翌年の2月1日から3月15日までの間に管轄の税務署へ申告し、納税しなければなりません。
贈与税には控除制度があるので、状況に応じて適用しましょう。

2.住んでいる家を生前贈与するときの贈与税控除制度

住んでいる家を生前贈与するときの贈与税控除制度

贈与税には以下のような控除制度があります。

2-1.相続時精算課税

相続時精算課税制度とは、親や祖父母が子どもや孫へ生前贈与するときに贈与税額を控除してもらえる制度です。
基本的に2,500万円の贈与分までが控除対象となり、2,500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が課税されます。

たとえば親が子どもに1,500万円の価値のある家を贈与した場合、2,500万円以内なので贈与税はかかりません。

ただし相続時精算課税制度を適用した場合、将来相続が発生したときに贈与財産が遺産に組み入れられて、まとめて相続税が課税されます。
税額が0になる制度ではないので注意しましょう。

2-2.配偶者控除

贈与税には配偶者控除の制度もあります。
20年以上の婚姻期間のある夫婦間で居住用の家を贈与した場合、2,000万円分まで税額が控除されます。
ただし内縁の夫婦の場合には配偶者控除が適用されません。

2-3.相続開始前3年間の生前贈与には相続税がかかる

生前贈与した場合、基本的には相続税課税の対象にはなりません。
しかし相続開始前3年間に生前贈与が行われた場合には、相続税が課税されるので注意が必要です。
贈与税の控除制度を使って生前贈与を行いたいのであれば、早めに実行するのがよいでしょう。

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3.生前贈与すると特別受益になる可能性

住んでいる家を生前贈与すると「特別受益」になる可能性があるので注意しましょう。
特別受益とは、相続人が遺贈や贈与によって特別な利益を得ることです。
特別受益を得た受益者は、相続が発生した後、遺産分割を行う際に、「特別受益の持ち戻し計算」がなされることになります。
特定の相続人に対し生前贈与がなされると、将来遺産相続が発生したときに他の相続人から「特別受益である」と主張される可能性があります。

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4.生前贈与の相続トラブルを防止する方法

生前贈与の相続トラブルを防止する方法

生前贈与による特別受益に絡む遺産相続トラブルを防止するには、どのように対応すればよいのでしょうか?

この場合「特別受益の持ち戻し免除」をしましょう。

4-1.特別受益の持ち戻し免除とは

特別受益の持ち戻しは、被相続人の意思によって免除できます。
生前に免除の意思表示をしておけば、死後に相続人たちが特別受益の持ち戻し計算をすることができなくなり、トラブルを避けやすくなります。

持ち戻し免除の意思表示の方法は、特に法律で定められていません。
ただ口頭では証拠が残らないので、必ず書面化しましょう。
遺言書を作成し、その中に持ち戻し免除の意思を記載することもお勧めです。

4-2.配偶者への生前贈与では持ち戻し免除の意思が推定されることがある

20年以上の婚姻期間のある配偶者へ居住用の家を生前贈与した場合、基本的には特別受益の持ち戻し免除の意思表示が推定されます。
万一、持ち戻し免除の意思表示をするのを忘れたとしても、上記のような場合であれば、配偶者は保護されます。

まとめ

住んでいる家を生前贈与するときには、必ず契約書を作成して早めに登記の名義変更をしましょう。
贈与税が発生する際には申告と納税もしなければなりません。
贈与税の控除制度を用い、節税しながら財産を次世代に受け継がせましょう。
また生前贈与は将来の遺産相続トラブルの原因につながるリスクもあります。
遺言書などで特別受益の持ち戻しの免除の意思表示を行い、将来のトラブルを避けましょう。
遺言書作成や生前贈与を円満かつスムーズに進めたい場合には、弁護士に相談してみてください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所には、遺産相続について豊富な経験と実績を有する弁護士が数多く在籍しております。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
また、遺言書作成をはじめとする生前対策についても、ご自身の財産を遺すうえでどのような点に注意すればよいのか、様々な視点から検討したうえでアドバイスさせていただきます。

遺産に関する問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
相続に関する知識がないまま遺産分割の話し合いに臨むと、納得のできない結果を招いてしまう可能性がありますが、弁護士に依頼することで自身の権利を正当に主張できれば、公平な遺産分割に繋がります。
亡くなった被相続人の財産を調査したり、戸籍をたどって全ての相続人を調査するには大変な手間がかかりますが、煩雑な手続きを弁護士に任せることで、負担を大きく軽減できます。
また、自身の財産を誰にどのように遺したいかが決まっているのであれば、適切な内容の遺言書を作成しておくなどにより、将来の相続トラブルを予防できる可能性が高まります。

私たちは、複雑な遺産相続の問題をご相談者様にわかりやすくご説明し、ベストな解決を目指すパートナーとして供に歩んでまいります。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(大阪弁護士会)
同志社大学法学部法律学科卒業、立命館大学法科大学院修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事から企業法務まで幅広い分野を取り扱う。なかでも遺産分割協議や遺言書作成などの相続案件を得意とする。
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