新規事業の立ち上げ時、法務部門がイノベーションの障壁となってしまう。そんな課題感を抱きながら、多様なキャリアを積み重ねてきた秋枝克実氏。
SIerから外資系コンサルティングファーム、新規事業支援を経てたどり着いたのがAuthense Consultingだった。
法務人材の不足、非効率な業務プロセス、テクノロジー活用の遅れ。法務部門が抱える構造的な課題に対して、コンサルティングとアウトソーシングの両面から支援を行う同社の取り組みとは。日本企業のイノベーション加速を目指すそのビジョンに迫る。
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1.
コンサルティングの現場で実感した法務の課題
まず、これまでのご経歴について伺ってもよろしいでしょうか。
私のキャリアは大きく3つのパートに分かれます。
ファーストキャリアは、国内大手ITベンダーグループのシステム開発子会社です。7年ほどシステム開発や導入、運用改善といった業務に携わっていました。
次に、外資系のコンサルティングファームに移り、お客様の業務改善を徹底的に行いました。お客様の現場に入り込み、コンサルの思考法や行動様式といった、いわゆる「コンサルの作法」を叩き込まれた時期です。
直近は国内最大手広告代理店グループのデジタル専門会社とコンサルティングファームに在籍し、新規事業の立ち上げやその後のサービスグロースを支援してきました。ビジネスやクリエイティブといった要素が強い業務でしたね。
ありがとうございます。システム開発、業務改善、新規事業開発と着実に領域を広げてこられたのですね。その中で、法務関連の課題解決の必要性を感じられた出来事はありますか?
はい、特に広告代理店グループ時代に感じました。新規事業を立ち上げる際、サービスをリリースする前に、「ビジネス側では気づいていない潜在リスクも含めて総点検してほしい」という意図でクライアントのプロジェクトメンバと一緒にクライアントの法務部門にチェックをお願いしていました。
ところが法務部は「ビジネス側ですでにリスクを特定している」という前提で対応されることが多く、リスクの探索フェーズには踏み込んでもらえない印象でした。実際には
「具体的にどこが問題だと考えていますか?」、「弁護士に確認するので、論点を明確に示してください」といった反応が返ってくることが多く、ビジネス全体を俯瞰しながら前向きに協力してくれる姿勢は感じられませんでした。
そのたびに、内心では「これは御社の新しいビジネスのための取り組みなのに、なぜそんなに後ろ向きなのですか?」ともどかしく感じることが多々ありましたね。
この事象が発生する原因として、クライアント側の法務部にヒアリングを重ねると契約レビューやコンプライアンス対応など、日常業務だけで手いっぱいという逼迫した実情が見えてきました。新規事業のように要件が曖昧で論点の洗い出しから伴走を求められる案件は、工数の見積もりすら難しく、リソース不足ゆえに“探索型の支援”へ踏み出せないのです。
このような経験が複数の企業でありましたので、「これは個別の問題ではなく、業界全体の課題ではないか」と感じるようになりました。
2.
法務の変革を目指すAuthense Consulting
そういった課題意識をお持ちの中で、Authense Consultingを選ばれた理由についてお聞かせいただけますか。
はい。先ほどのような苦い経験から、日本企業がもっと活発にイノベーションを起こせるように、法務のあり方を変えたいという思いがありました。
その点、Authense Consultingは法律事務所が母体であり、代表の元榮も弁護士ドットコムを立ち上げた経験からビジネスマインドを持っています。法律事務所というバックボーンを持ちながら、弁護士と対等に話せる環境、そしてリーガルマインドとビジネスマインドの両方を持って会話できる環境は他にはないと考え、入社を決めました。
入社前の面接で元榮に自分の目指す世界観をプレゼンテーションしたことを覚えています。
素晴らしいですね。熱量が伝わってきます。Authense Consultingでは具体的にどのような事業を展開されているのでしょうか。
事業は大きく2つあります。一つは「コンサルティング」、もう一つは「アウトソーシング」です。
コンサルティング事業では、契約書審査業務の改善やリーガルテックの導入支援、法務組織の構想策定支援などを行っています。特に、法務部門の方々が目指すべき理想の姿を描き、その実現を支援することに力を入れています。
アウトソーシング事業では、法務部門の日常業務を支援しています。例えば、社内規程の作成支援や株主総会の準備、内部通報窓口の対応など、士業の資格がなくても対応できる業務を、法務経験3年以上の経験者が担当します。
これにより、法務部門の方々の負担を軽減し、より戦略的な業務に集中できる環境を作ることを目指しています。
3.
法務部門が抱える3つの課題と解決策
秋枝様から見て、現在の法務部門が抱える現状の課題はどのような点にあるとお考えですか。
企業の皆様からお話を伺う中で共通して感じる課題は大きく3つあります。
1つ目は「人材不足」です。法務部門は人が少なく、業務が属人化しやすい。担当者が退職してしまうと、後任への引き継ぎが困難で、業務のドキュメントも残っていないというケースが頻繁にあります。
2つ目は「プロセスの非効率性」です。業務が属人化しているため、プロセスが統一されておらず、非効率になっていることが多いです。案件が来るたびにアドホックな対応に追われている状況です。
3つ目は「テクノロジー活用の遅れ」です。法務部門はコストセンターと見なされがちで、経営層から投資対効果が見えにくいと判断され、新しいツールへの投資が進まないことが多いです。その結果、紙文化が根強く残っている企業も少なくありません。
なるほど。それらの課題に対して、御社はどのように解決策を提示するのでしょうか。
まず、コンサルティングファームでありながら法律事務所が母体であることを価値としてご提示できます。弁護士との緊密なネットワークとリーガルマインド、ビジネスマインドを併せ持ってお客様と会話できます。
次に、バックオフィス全体の視点を持っていることです。法務だけでなく、会計も含めたバックオフィス全体の支援や、システム間の連携提案が可能です。
加えて、Authense Professional Groupという、弁護士、税理士、弁理士、社労士、司法書士とうい各士業のプロフェッショナル集団と連携して、お客様の価値を最大化できる点も強みです。守りと攻めの両面から課題解決が可能です。
4.
日本企業のイノベーションを加速させるために
最後に、Authense Consultingの展望、秋枝様の展望についてお聞かせください。
会社としては「Authense Consultingに頼めば、守りと攻めのあらゆる課題を解決し、事業成長を支援してくれる」と認知される存在になりたいと考えています。
個人としては、
「イノベーションが当たり前に生まれる日本をつくりたい」。たとえば、面倒な契約や規制の壁にぶつかってアイデアが止まってしまう、そんな場面をなくしたい。法務部が“ブレーキ役”ではなく“アクセル役”になることで、面白いサービスやプロダクトが次々と世に出てくる。
結果として、私たちの暮らしはどんどん便利になり、一人ひとりが本当にやりたいことに最大限の時間を使える世界を実現したい。
その未来を少しでも早く実現できるように、法務部門を始めとする新規事業に関わるビジネスパーソンを支援する、そんな役割を担い続けたいと思っています。
Professional Voice

秋枝 克実
Authense Consulting株式会社執行役員。大手SIerでシステム開発や業務プロセス再構築に従事。そ の後、外資系コンサルティングファームを経て大手広告代理店グループに参画し、新規事業やデジタルサービスの企画立案からリリース後の成長支援まで全フェーズを一貫して担当してきた。特に、新規事業やデジタルサービスの実現に伴う法務課題が企業価値に及ぼす影響を強く認識。現在は同社で法務領域の課題解決を統括し、企業価値の毀損防止と向上を追求するコンサルティングサービス部門を牽引している。
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