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INNOVATORS
公開 2026.02.16

世界最速の 「ガラスの天井」を打ち破れ!若き天才ドライバーが追い求める「夢」と背負う「覚悟」
レーシングドライバー Juju(こと野田樹潤)氏 インタビュー(前編)

Juju 氏

次々と「史上初」を塗り替える若き女性レーシングドライバーのJuju。
誰もが「不可能だ」と言う道に果敢に挑み、結果を出し続けてきた。
体格、年齢、そして性別。あらゆる「不利」を自身の力に変え、「無理だ」「無謀だ」の声を跳ね返して戦い続けるJujuは、何を考え、どのようにレースに挑んでいるのか。
その思いについて話を聞いた。

取材・文/山口和史 Kazushi Yamaguchi 写真/西田周平 Shuhei Nishida

前人未到の道を突き進む若き挑戦者の「覚悟」

― 前人未到の道を歩み続けている若き挑戦者がいる。2026年に20歳を迎えるJujuは、日本人初の女性F1ドライバーになり、チャンピオンを獲得することを目標に、日々世界各地を転戦している。この目標は決して恐れを知らない若者による荒唐無稽な夢物語ではなく、日に日に現実味を帯びてきている。

現在、彼女は日本最高峰のレースである「スーパーフォーミュラ」で活躍している。史上最年少(18歳)、かつ日本人女性がこの大舞台でハンドルを握るのは史上初めてのことだった。

Juju(こと野田樹潤)氏 (以下 Juju氏):これまで、「女がF1ドライバーになるなんて無理」「できるわけがない」、そういったご意見をいただくこともありました。でも、一度もその夢がブレたことはありません。9歳でマシンに挑戦しました。11歳の時に「UNDER17シリーズ」に出場し、12歳には、F3マシンに格上げして出場した「U-17」で年間チャンピオンにもなりました。2020年に14歳でヨーロッパに渡り、デンマークでのデビュー戦ではポール・トゥ・ウインを達成できました。16歳で「Wシリーズ」のドライバーオブザイヤーを獲得できたりと、これまで積み重ねてきた結果が自信に繋がっています。
だからこそ、自分と同じ結果を成し遂げていない外部の方から否定的な意見をいただいても自信を失うことはありませんし、そもそもその程度でブレるほど弱い覚悟で日々過ごしていないんです。

― これまで誰も成し遂げたことのない荒れ地をひとり切り拓き進んでいく。その苦労は並大抵のものではない。先人がいないということは、すなわちベンチマークするべきモデルケースもいないということになる。

Juju氏 :前例がないので、正解もまたないんですよね。ですので、時にはこの道、この進み方で合っているのだろうかと考えることもあります。ただ、私はこれまで負けても諦めない気持ちを大事にしているので、悩んだときも強い思いで新たに歩を進めています。
あと、私は計画を立てないんです。たとえば1年ごとに、来年はこうなって、再来年はこうなって……といった計画は立てていなくて、自分自身が現在置かれている環境でベストを尽くすことを重視しています。ベストを積み重ねていくことで、自分の進むべき道も見えてくると思っています。

前例なき道を切り拓くJujuの「流儀」

Juju 氏

― 現在の状況下でベストを尽くす、目標は立てない。その発想の裏にはこれまで思いもかけない出来事が次から次へと押し寄せてきた経験がある。中長期的な計画を立てても、予想外の出来事でひっくり返ってしまう。だからこそ、今この時点でベストを尽くすことを重視する。

Juju氏 :ユーロフォーミュラでの優勝や、ZinoxF2000での年間チャンピオンも(ともに2023年)、想定していませんでした。ユーロフォーミュラに参戦した当初、私たちは小規模な「ファミリーチーム」でしかありませんでした。そんなチームで強豪チームに挑戦するなんて無謀だとも言われました。

当時、1年目で経験を積み、表彰台を狙うのは2年目という2ヵ年計画で考えていたんです。そのうえで一戦一戦を大切にする、置かれている環境下でのベストを尽くしていました。ベストな結果の定義も、その時々で変わります。その「ベスト」を、常に全員で追い求めた結果、1年目で優勝することができ、翌年(2024年)にはスーパーフォーミュラに乗れることになりました。そんなこと当時は想像もしていませんでしたから。「将来はスーパーフォーミュラに出るぞ」という気持ちでユーロフォーミュラを走っていたわけではないんです。一戦一戦でベストを尽くした結果、現在に繋がった。ですので、目標を立ててそこに向かっていくというよりも、今この時点でのベストを尽くすことを大切にしています。

― 余談ではあるが、ZinoxF2000で女性ドライバーが年間チャンピオンに輝いたのは、50年以上の歴史を持つ同大会において史上初の快挙だった。

<中編に続きます>

Profile

Juju 氏

2006年生まれ。3歳でカートを始め、9歳でFIA-F4マシンでの最年少デビューを果たすと、11歳で「U-17大会」に出場するなど早くから経験を積む。2018年にF3マシンへ挑戦、2020年にはデンマークF4でデビューウィンを飾った。2022年には「Wシリーズ」ドライバーオブザイヤーを獲得。2023年はユーロフォーミュラのウィナー、Zinox F2000のチャンピオンといずれも女性初の快挙を成し遂げた。2024年には、日本最高峰のスーパーフォーミュラに史上最年少かつ日本人女性として初デビュー。同年8月にはFORBES JAPAN 30 UNDER 30 2024「世界を変える30歳未満」にも選出された。
「日本人初の女性F1/フォーミュラEのドライバーになって、チャンピオンになること」を目標に掲げ、挑戦を続けている。