SNSネイティブ世代であるJujuは、多忙なレーススケジュールの合間を縫い、自らの言葉でファンとの絆を紡いでいる。
海外転戦時の孤独を支えた温かな声援や、自然体な発信に込めた思いなど、デジタルとアナログを自在に操り、前例のない道を切り拓く彼女の進化の現在地を探る。飽くなき情熱で「史上初」を塗り替え続ける若き挑戦者が、見据える未来の景色とは。
取材・文/山口和史 Kazushi Yamaguchi 写真/西田周平 Shuhei Nishida
応援を力に変える自然体の発信術
― 2026年に20歳を迎えるJujuは物心が付いた時期からスマートフォンとSNSがあった「SNSネイティブ第1世代」だ。ブログ、インスタグラム、フェイスブック、X、ユーチューブと、さまざまなSNSを駆使して自ら情報発信を行っている。
Juju(こと野田樹潤)氏 (以下 Juju氏): 投稿は私のありのまま、自然体で書いていることが多いですね。特に、スーパーフォーミュラのスケジュールはとてもタイトなので、なかなか来場してくれているお客さんと直接コミュニケーションを取る時間を確保できないんです。毎回、本当にたくさんのファンの方が集まってくださっているのですが、一人ひとりと会話をしたり、写真を撮ったりといったことが今のスケジュールだと難しい。なので、SNSで、レースの振り返りや私の思いなどを発信することで、ファンの皆さんとのコミュニケーションを取る場を作りたいと考えて続けています。
― SNSを通じたファンからのメッセージは、Jujuに大きな勇気を与えているという。
Juju氏:2024年から2025年にかけては日本のレースに出ていますので、時間が少ないとはいえ現地で皆さんの顔を見られたり、声をかけていただいたりする機会があります。以前はヨーロッパを転戦していましたので、そうなるとなかなか日本から現地に来ていただくことは難しいですよね。そういった際に、SNSに届くファンの方々からの応援コメントが本当に助けになりました。
こんなこともあります。ヨーロッパのレースはインターネットでライブ配信されることが多いんです。イタリアでのレースの時だったのですが、実況しているアナウンサーは当然イタリア語で実況しているのですが、ライブ配信に書き込まれるコメントが全部日本語で(笑)。実況しているアナウンサーは日本語が読めませんから、何が書かれているのかは分からないのですが、どうやらJujuを応援しているコメントのようだ、ということは分かる。このときも本当に嬉しかったですね。
Jujuが挑む前人未到の夢と史上初の「更新」

― パソコンやスマートフォン、インターネットやAIの発展はレースにも影響を及ぼしている。レースを重ねることで積み重ねられるデータを、Jujuは取り入れ、活かして次の戦いへと挑んでいく。
Juju氏 : データは一回取ったら終わりではなく、蓄えていく必要があります。2025年はチームとして1年目で 全くデータがない状態から始まりました。私のチームは車が一台体制なので、私ひとりのデータしか取れません。まずはそのデータを蓄積していくところから始めました。データは短期間でどうなるものではなく、蓄積したものを私やエンジニアが見て参考にしていきます。ですので、データは見るのも大切ですが、データを作ることがまずは重要になるんです。
2025年はレースで一度ぶつかってしまったことがあります。メンバーが頑張って直してくれたのですが、レースとしては完走扱いにはなりませんでした。でも、直してくれた結果走ることができた、これも一つのデータを蓄積できたということになります。そうやって一つひとつ蓄積して、次へとつなげています。
― 一方で、レースはフィジカルの要素も大きい。データだけではなく身体感覚も研ぎ澄ませて戦っている。
Juju氏 : 昔に比べてデータで見られる要素が増えてはいますが、ドライバーにしか感じられないこともたくさんあります。たとえば運転時の微妙な音の違い、匂い、気温の変化、天気や路面のコンディションなど、データでは見られないこともあります。
また、レース中にもデータを分析する必要がありますが、一瞬で判断しなければなりません。その際にはドライバーの直感も重要になってきます。ですので、ドライバーが感じている感覚とデータの組み合わせが重要になる。うまく両方とも使っていくことが大切ですね。
― これまで多くの「史上初」を塗り替えてきた若きレーシングドライバー、Juju。その目指す道は一つしかない。
Juju氏 :小さい時から私の夢は世界選手権で活躍するドライバーになることです。今もその夢は変わっていません。
― 前人未到の道を切り拓き続けてきたJujuが次に塗り替える「史上初」は何か。その活躍から目が離せない。
Profile
Juju 氏
2006年生まれ。3歳でカートを始め、9歳でFIA-F4マシンでの最年少デビューを果たすと、11歳で「U-17大会」に出場するなど早くから経験を積む。2018年にF3マシンへ挑戦、2020年にはデンマークF4でデビューウィンを飾った。2022年には「Wシリーズ」ドライバーオブザイヤーを獲得。2023年はユーロフォーミュラのウィナー、Zinox F2000のチャンピオンといずれも女性初の快挙を成し遂げた。2024年には、日本最高峰のスーパーフォーミュラに史上最年少かつ日本人女性として初デビュー。同年8月にはFORBES JAPAN 30 UNDER 30 2024「世界を変える30歳未満」にも選出された。
「日本人初の女性F1/フォーミュラEのドライバーになって、チャンピオンになること」を目標に掲げ、挑戦を続けている。
