Authense Consulting株式会社(東京都港区)では、2024年12月に全国およそ500社(※有効回答数:488社)にリーガルテックツールの活用状況に関する一斉調査を行った。
どの程度リーガルテックツールは活用されているのか、どのツールが使われているのか、導入後の満足度はどの程度なのかなど、導入後の状況と合わせて、導入していない企業はなぜ導入しないのかまで、数字と合わせてお届けする。
年商規模の大きい企業ほど導入傾向
アンケート回答企業のうち50.4%がなんらかの契約書作成・レビューツールを社内に導入していると回答している。リーガルテックサービスがもはやキャズムを超え、広く社会に浸透していることがうかがえる。(図:※1)
導入にあたっては「価格(コスト)」が最大の懸案事項になる(後述)こともあり、導入企業の割合は年商規模が大きいほど高まっていく。規模が大きな企業ほど売上は大きく、取引先企業の数も増加する。必然、契約書周りの作業も増え、法務パーソンへの負荷も大きくなっていく。
導入していると回答している企業の年商規模を見てみると「年商100億円以上」が72.0%。導入企業の7割以上が年商100億円を超えている。「AIツールを活用して、社員の効率化を図る」という一種の理想からは離れ、社員数、予算ともに余裕がある企業ほどツールを活用している図式が見て取れる。
Legal Forceが圧倒的なシェア
もっともよく利用されている契約書作成・レビューツールは「Legal Force」が圧倒的なシェアを誇る。ツールを導入していると回答した企業の半数以上となる55.3%がLegal Forceを利用している。(図:※2)
売上規模別に見てみると、今回のアンケート回答企業においてはとの前提付きではあるが、年商規模100億円以上の企業がLegal Forceを導入している割合が69.1%であるのに対し、100億円以下では75.5%に割合が高まる。年商規模の大きな企業のほうがスタッフ数に余裕があり、他社サービスの情報をより広く収集でき、かつ検討できているということなのかもしれない。Legal Force一択で考えるのではなく、自社に適したサービスを丁寧に探して導入しているという見方もできる。
7割以上が「満足している」と回答
契約書作成・レビューツールを導入して活用している企業の72.8%が「非常に満足している」「やや満足している」と回答している。(図:※3)
リーガルツールが法務部に業務の効率化やコスト削減、業務過多の緩和といったなんらかのメリットをもたらしていることが分かる。
サービスで圧倒的なシェアを持つLegal Forceを軸に満足度についてより詳細に確認してみた。Legal Forceに対して「非常に満足している」との回答は15.4%である一方で、Legal Force以外のサービスを活用している企業では32.7%と倍増する。リーガルテックツールを効果的に活用するためには、自社に適したサービスをいかに丁寧に探すかが重要ということかもしれない。
とはいえ半数の企業が「未導入」
今回のアンケート回答企業の49.6%が「契約書作成・レビューツール」を使っていないと答えている。(図:※1)では、これまでリーガルテックサービスの導入を検討したことがあるのかを聞いた。「導入を検討したことがある」と答えた企業が55.8%。現在、導入していない企業の半数が検討はしたものの導入を見送っている。(図:※4)
一方、これまで「契約書作成・レビューツールを導入していないし、導入を検討したこともない」と回答した企業は21.9%。リーガルテックサービスを導入しない(検討しない)企業が少数派になりつつあることが分かる。
導入しない理由は「価格」と「機能」
導入を検討したものの見送ったツールについても聞いてみた。Legal Forceが大きな割合となっているが、導入済み企業シェアが圧倒的であることからも営業力が強いため、多くの企業にアプローチできていることがその理由と考えるべきだろう。(図:※5)
導入を見送った理由(複数回答)を聞くと、「価格」が大きな票を集めている。リーガルテックツールの場合、効率化することでどれほどのコスト削減ができたのか可視化しづらい、そのため決済を取りにくいという側面から「価格」が原因となりやすいのかもしれない。また、直接的に売上を獲得するツールでもない。現場のスタッフは導入を望んでも、なかなか上層部の承認を得られず導入を諦めている企業も一定数存在するのかもしれない。
次号、10月発行号では「契約書管理ツール」の活用実績についてお届けする。

