「司法書士はお客様の伝書鳩ではない」そう語るのは、Authense司法書士法人の佐久原 綾子司法書士。
弁護士だった祖父の影響で法律の世界に興味を持ちながらも、「人と争うことは向いていない」と感じた彼女が選んだのは司法書士という道だった。
登記という手続そのものにとらわれることなく、「お客様が本当に実現したいこと」に向き合い続ける背景には、「法務局の言いなりにならない」というプロフェッショナルとしての矜持と、常に学び続ける姿勢がある。
司法書士の新しい可能性を切り拓く佐久原氏に、これまでのキャリアと、今後目指す「プロフェッショナルな事務所」の姿を聞いた。
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1.
お客様が実現したい本来の目的をヒアリングし、本質を見極める
まずは先生が司法書士を目指したきっかけから教えてください。
祖父が弁護士だったので私も学生時代は弁護士の道を考えていたのですが、弁護士として人と争うこと、主張をすることが自分の性に合わないと感じていました。
そんな時に司法書士の存在を知りました。司法書士は当事者にとって中立的な立場で仕事ができることが面白そうだなと思って目指しました。
法律は弁護士のものであり、裁判のために法律があると思っていたのですが、色々なことにルールがあって、法律に定められた手続によって世の中が動いている、ということは勉強中に初めて知った世界でしたね。
司法書士になる前と後で印象は変わりましたか?
司法書士はお客様に言われたことに忠実に対応して手続を行う仕事と捉えていましたが、商業登記は法務局の方の知識もまちまちです。
法務局の方に「この申請は通らない」と言われても、本当に通らないのか先例を調べたり、理論的に問題ない旨を伝えたりすると結論が覆ることもあります。
これが司法書士の重要な役割だと考えています。お客様と法務局の伝書鳩ではないんです。
そのような考えに至ったエピソードがあれば教えてください。
司法書士になって最初の3年くらいは自分で独立してやっていたのですが、同期がやっていた事務所に合流して考えが変わりました。
「法務局の言いなりにはならない」という考えを持っている人で、面白いなって思ったんです。
そこから派生して、登記の本来の目的、本質を捉えることが大切だと思うようになりました。よくお客様にヒアリングをして、本質を見極めないと手続が足りていないこともよくあるんです。
先生はお客様との対話を大切にされているのですね。
そうですね。お客様が本当にやりたいことは何か、目的をきちんと聞くことが大切です。お客様は登記することが目的ではなく、やりたい事があるから登記するはずです。
お客様が実現したい事を伺った上でサポートをしています。

2.
ボーダレスなサービス提供を目指してAuthenseグループに
Authenseグループに加入されたねらいについて教えてください。
2022年に独立して、小さい規模でやっていければいいかなと思っていたのですが、お客様から求められるものも多くなっていました。
司法書士の領域にとどまらず、横断的なご依頼も増えていたのです。
そんな中、Authenseの方からお声がけがあり、ボーダレスにサービスを提供したいと考えてグループに加入しました。
具体的に、どのような声がお客様からあったのでしょうか?
例えば、会社設立のご依頼をいただくと、税理士、社労士への手続も発生します。
また、相談に来ていただいたお客様の中には、トラブルやどうしても解決できない問題を抱えているケースもあるのですが、弁護士の力を借りれば裁判という手段も取れます。
行方不明の方にアプローチしなければならないようなケースでも、このグループだったら誰かに相談できる安心感もあるし、お客様にも安心感を持ってもらえます。
司法書士はどうしても中立的な目線での回答になってしまいますが、弁護士の方から意見を聞いてみると、新たな視点を得られて面白いですね。
視点が違うものなのですね。
そうですね、全然違うなと思います。
どちらかと言えば、私たちは「トラブルを避けるようにしよう」と考えるんですが、弁護士の方は「事前にトラブルを避けることは重要だけど、訴訟になった場合も想定して考えることも大事。」と考えるんですよね。

3.
司法書士がスタートアップのプレイヤーとして認知されることを目指して
Authenseではどのような案件に注力されるのでしょうか?
スタートアップからIPOを準備している会社向けの支援を積極的に増やしています。初期の出資を受けた段階の方からのご相談も増えていますね。
なぜスタートアップの案件を増やしているのですか?
下北沢で開業した時に、スタートアップの会社から同じようなご相談を立て続けに受けました。
スタートアップはお金がないので、自分たちで登記するんですが、同様のポイントでつまずいて手戻りが発生するんですよね。
スタートアップの会社はどの段階でつまずくものなのでしょうか?
J-KISSですね。登記の量がかなりあるため、やりきれなくなってしまう上に、資料を提出した際、法務局から過去の登記の誤りを指摘されるケースが散見されます。
最初から司法書士に頼んでいれば手戻りは発生しません。司法書士が初期段階からスタートアップに寄り添っていけるような仕組みを作りたいと考えています。
司法書士はまだまだ認知度が低くて、スタートアップのプレイヤーになりきれていません。スタートアップ内での認知度を向上していきたいという思いもあります。

4.
商業登記、不動産登記、相続登記に精通したプロフェッショナルな事務所を目指す
今後の展望について教えてください。
司法書士法人としては商業登記、不動産登記、相続登記の3本柱をきっちり育てたいです。3つの分野に精通しているプロフェッショナルな事務所にしたいですね。
法務局の言いなりになるような事務所にはしたくありません。
人材の育成についてはどのようにお考えですか?
前職が不動産登記中心の事務所だったのですが、同じような案件を繰り返しても成長しづらい部分があります。
資格者には各分野を経験してもらい、自分に合った分野に特化してほしいですね。
先生個人としてはどのような展望を描かれていますか?
スタートアップの方々と関わっていると終わりがないんですよね。常に新しい学びがあります。
国としても制度やスタートアップ支援のあり方も変わっています。新しい動きに付いていきながら勉強していきたいです。
司法書士は新しい産業を生み出すわけではないので、支援している人たちが新聞に載ったり、ニュースになったりしているのを見ると、ちょっと自分も誇らしくなります。
スタートアップの方々にとって司法書士は非常に重要な存在ですが、その活用方法がわからない方も多いと思います。
なんでも相談できる存在だと思ってコンタクトを取ってくれたら嬉しいですね。

Professional Voice

佐久原 綾子
Authense司法書士法人は、不動産・商業登記、相続手続き、スタートアップ支援を強みとする司法書士法人です。2024年9月にAuthenseグループに参画し、さらなるサービス拡充を図っています。新築登記、区分所有登記、信託登記など、大規模案件にも柔軟に対応します。業務効率を最大化するデジタルツールを活用し、登記手続きをスピーディに進行。弁護士・税理士との連携により、法務・税務の観点から最適なソリューションを提供します。
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