企業の法務人材不足という課題に応える「法務クラウド」、そしてSNS時代に急増する「誹謗中傷」。現代社会が抱える問題の最前線で、解決のために奔走する中冨 怜弁護士。
妥協せず、スピードとクオリティを追求したい、と語る中冨弁護士の思いを聞いた。
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1.
人生に関わるやりがいに惹かれ弁護士へ
先生が弁護士を目指されたきっかけをお聞かせください。
私が弁護士を目指したきっかけは中学生の頃に見た『リーガルハイ』というドラマでした。依頼者の権利実現のため奔走する弁護士の仕事に大きな魅力を感じ、面白そうだと惹かれました。
同じく中学3年生くらいの頃、父に連れられて刑事裁判所の傍聴に行ったことも大きな契機となりました。
それまで、刑事裁判は「罪を犯した人に刑罰を科すもの」で淡々と進むのだろうというイメージを持っていましたが、その裁判では、弁護士と検察官が被告人に対して様々な質問を投げかけ、更生について議論しており、非常に新鮮でした。
一人の人間にこれだけの人的資源をかける仕事は、非常にやりがいがあるのだろうと感じたことを今で覚えています。
人生に関わるやりがいに惹かれたのですね。司法試験合格後、司法修習時代の印象深い出来事はありますか?
司法研修所での座学をはじめ、裁判所・検察庁・弁護士事務所での実務修習、いずれも大変勉強になりましたが、最も印象に残っているのは弁護士事務所での修習です。
依頼者の方と接する指導担当の先生の姿勢や、事件処理の進め方を間近で見ることができ、その経験が今も役立っています。
具体的に、依頼者の方にどのように接し、事件をどのように進められていたのでしょうか。
弁護修習中の指導担当の先生は、依頼者と接する際のアイスブレイクがとても上手でした。依頼者の心情に寄り添いつつ、法的見解を含めた事件の見通しを的確に伝えて信頼関係を築いており、依頼者との距離を縮める方法を多く学びました。
また、事件処理においては、限られた時間の中でいかに効率的に進めるかを非常に意識されていました。
例えば、裁判所に提出する書類も、依頼者から話を聞いた時点で作成し、後は細部を修正するだけで良い段階まで進められていました。メモの取り方も非常に巧みでしたね。
最近はあまりお会いしていませんが、Authenseに入所した際には、入所の報告を兼ねて一緒に食事に行くなど、交流がありました。
2.
スタートアップから大企業まで、対話を通じて対応の方針を決める
キャリアのスタートにAuthenseを選ばれた理由をお聞かせいただけますでしょうか。
私は個人を依頼者とする案件から企業を依頼者とする案件まで、幅広い案件に携わりたいと考えていました。
Authenseは家事事件や一般民事といった個人がクライアントの事件から、企業向けの案件まで幅広く扱っており、私のニーズに合致していたのです。
また、事務所が『伝統と革新』という理念を掲げ、弁護士ドットコムのサービスとの連携なども進めており、時代の先を読む力に長けた事務所だと感じたこともAuthenseを志望した理由の1つです。
今、事務所で力を入れている「法務クラウド」は、時代の先を読む典型例です。企業の法務部における人手不足という課題がなかなか解消されない点に着目しています。
「法務クラウド」は入所後すぐに担当されるようになったのでしょうか?
入所5ヶ月目から現在まで継続して取り組んでいます。ご依頼いただく会社も徐々に増え、現在は4社ほど担当しています。
各企業をどのように支援されているのでしょうか。
支援内容は会社様ごとに異なりますが、基本的に契約書のレビュー業務や法律相談業務の支援をさせていただいています。
法律相談の内容としては、広告で使用できる文言やキャンペーンの適法性といった景品表示法に関するご質問が多い印象です。
事業法に関連する法解釈など、より専門的な法律相談のご依頼もありますね。
企業の規模や業種も多岐にわたるのでしょうか。
ベンチャー企業から大手企業まで、幅広く担当しています。業種も様々で事業法など業界特有の法律もあります。
質問の種類や業務の進め方もかなり異なると推察されます。先生が特に留意されているポイントはありますか。
企業様によっては法務に相談する経験が少ない事業部の方もいるため、質問の意図が不明瞭なこともあります。
その場合、私の方からコミュニケーションを密に取り、質問と回答に齟齬が生じないよう心がけています。
また、ベンチャーの企業様ですとは大手の企業様に比べてスピード感を重視する傾向があるため、迅速なレスポンスを心がけています。
一方、法務担当者が多く在籍する大手企業様の場合、ベンチャー企業様と比較して、スピード感もさることながら正確性を重視していると感じます。
いただくご相談内容によっては、大手企業様の場合、検討に検討を重ねて、数日かけて回答しなければならないこともあります。そのような慎重さが大手企業様では求められていると感じます。
その慎重さやスピードの「温度感」は、企業とのすり合わせを通じて決定されているのでしょうか。
はい、必要に応じて対話して決めています。
ベンチャー企業様の場合は、私以外に法務担当がいないケースもあるので、事業部の方と密にコミュニケーションを取り、どれくらいの期間で回答が必要なのか把握するよう心がけています。
大手企業様では法務担当の方と事業部とのやり取りを参考にし、回答までの期間や回答のレベル感を把握しています。
「法務クラウド」における契約書レビューの業務で心がけていることはありますか。
会社の利益を守るため、不利な条項の場合、1回は修正の提案をしています。
ただ、ビジネスは相手方あってのものです。自社に有利な条項にしすぎると、相手方に受け入れられない可能性があるので、自社の利益を重視しつつ、相手方にも受け入れてもらえるような提案を心がけています。
3.
SNS上の誹謗中傷には早期の相談が重要
先生は誹謗中傷案件にも注力して取り組まれているそうですね。案件にはどのような特徴がありますか?
SNS上の誹謗中傷案件は、スピードが非常に重要です。
誹謗中傷を行った投稿者のログの保存期間には限りがあるため、その期間内に手続きを進める必要があります。
対応が少しでも遅れると致命的です。常に各案件の進捗状況を把握し、スケジュールを確認することを心がけています。
どのようなタイミングで相談するべきか、アドバイスをいただけますか。
ご相談いただいた時点でログ保存期間を過ぎており、開示請求を行っても失敗に終わる可能性が高いケースも散見されます。
迷ったり悩んだりしたら、とにかくすぐに弁護士に相談すること、できる限り早めに証拠を保全しておくことが重要です。時間との戦いになることが多いので、できる限り早く相談していただきたいですね。
4.
妥協せず、スピードとクオリティを追求する
先生が業務を行う上で大切にしていることを伺えますか?
スピードとクオリティの両立を大切にしています。そのためには、動き出しを早くすることが重要だと最近感じており、ご相談をいただいた段階で、質問内容を丁寧に確認するようにしています。
相談内容が不明瞭であれば、意図の確認をなるべく早く行います。
相談内容が明確なものについては、回答までの道筋、大まかな根拠を先に自分の中で考えます。その上で、ガイドラインや関連書籍などを綿密にリサーチします。
初動で誤った方向に進まないよう、不明な点があればすぐに確認することが非常に重要なポイントなのですね。
はい、その通りです。
先生がこれまでお仕事される中で、特にやりがいを感じた案件や印象に残っているエピソードがあればお聞かせいただけますでしょうか。
弁護士になってまだ1年半ほどなので、どの案件も学びの連続です。「特にこの案件」というものはありません。それぞれの案件を振り返り、相談者とのメールや裁判所に提出した書面を見るたびに、「この案件ではここで悩んだな」とか、「ここで大きなやりがいを感じたな」といったことを思い出します。
依頼者から「本当にありがとうございました」という感謝の言葉をいただいた時は、やはり最もやりがいを感じる瞬間ですね。
また、誹謗中傷案件などで自分の作成した書面が裁判所に認められ、最終的に開示請求が通ったときもやりがいを感じます。
素晴らしいです。それでは、最後に先生の今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。
元々抱いていた、個人案件から企業案件まで幅広く携わることはは、今後も継続していきたいと考えています。
加えて、弁護士として自身の専門分野を持つべきだと感じています。現在お付き合いのある企業様が扱っている業法をはじめ、例えば消費者法といった相談件数が多い分野で専門性を深めていきたいと考えています。
専門性を持った方が仕事の幅も広がりますし、事務所としてもその分野を強みとして打ち出せる可能性があると考えています。Authenseでこの分野といえば中冨と認知されるよう、自身の専門性を深めていきたいと考えています。
弁護士になってまだ1年半ということもあり、日々新たな案件が舞い込んできます。毎日が勉強です。
そのような中で、スピード感を重視する一方で、クオリティが下がることは避けたいと考えています。妥協せず、綿密なリサーチを重視し、これからも力を入れていきたいですね。
Professional Voice

中冨 怜
(千葉県弁護士会)千葉県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、一橋大学法科大学院修了。法的トラブル解決の方針決定において、綿密なリサーチのうえで弁護士として確信を持ったアドバイスを提供することを心がけている。スピード感とクオリティの両立を常に意識し、依頼者の不安を丁寧に傾聴したうえでベストな解決策を提案する。
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