今回は、知財法に精通する弁護士・中村穂積が、発覚の経緯から訴訟に至るプロセス、さらには判決後のコメダ珈琲店の企業戦略までを対談形式で深掘りします。また、長年にわたり法務業務を幅広く手掛けてきた後藤氏のキャリアを振り返り、ターニングポイントや企業における法務部の重要性についてもお伺いします。
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登壇者紹介
株式会社コメダホールディングス
元 法務担当者、現 内部監査室長
後藤 健介 氏
日本マクドナルド株式会社では、本社法務部にて契約管理、知財対応、訴訟処理など多岐にわたる業務を経験。その後、コメダ珈琲店といった外食業界のリーディング企業で総務・法務部門や内部監査室のリーダー職を歴任し、組織運営、IPO準備、海外展開支援などの重要プロジェクトを成功に導く。
現場を重視しつつ、法務を経営の推進力に変える視点を大切にし、現在は内部監査室長として企業の持続的な成長に尽力している。
弁護士 中村 穂積(東京弁護士会所属)
東京弁護士会所属。東北大学法学部卒業。
一般民事事件から訴訟対応まで幅広い案件を取り扱うとともに、上場企業(IT・AI)の法務知的財産部門におけるインハウスの経験も有する。
コンテンツやサービスの企画立案段階からローンチまでの事業戦略に即した実践的なリーガルアドバイスを提供できることが強み。事業拡大や上場のために必要なコンプライアンス体制の構築支援を行う。
セミナー概要
- マサキ珈琲事件
- 知的財産権に関する訴訟の管轄
- マサキ珈琲事件訴訟経過
- 店舗外観立体商標登録
- 建築物の外観内装保護対象に
- 後藤さんの経歴
資料の中身を一部公開
のぞき見 となりの法務部 ~第1回:「パクリ」はどこまで許される? コメダ珈琲店の店舗デザイン~
中村弁護士:
それでは始めさせていただきます。まず有名なマサキ珈琲事件について、お話できる範囲で当事者としてのお話を聞いていきたいと思います。
コメダ珈琲店の店舗にそっくりな店舗の外観の使用差し止めを求めたのがマサキ珈琲事件なのですが、そもそもこの事件が発覚した経緯を教えていただけますでしょうか?
後藤氏:
マサキ珈琲の開店が2014年8月のことだったのですが、その開店直後から当社のお客様相談室に、お客様から「まるでコメダみたいな店が和歌山にできたんだけれど大丈夫?」というお問い合わせを多数いただきました。
後藤氏:
特に私にとってベンチマーク、リーディングケースだなと思っているのが「まいどおおきに食堂事件」というものです。
これは「まいどおおきに食堂」という食堂を運営されている会社にとって、「めしや食堂」というのが類似ではないか、模倣ではないかということで不競法に基づいて提訴されたものです。
この判示の中で、一般論として飲食店の外観というものが営業表示性を持つことはあり得るというところまではいったのですが、このケースではまいどおおきに食堂の外観というのは営業表示性をまだ持っていないということで敗訴してしまいました。
これは私にとっては、この事案でも営業表示性を認めてもらえないということはさらにハードルが上がったなと感じました。
当社のケースでこれ以上に立証しきれるか?ということで、なかなか勝つのは難しいだろうなという見立てでした。
中村弁護士:
やはり店舗外観の営業表示性というのは、なかなか難しいだろうと思われたということですね。
中村弁護士:
不正競争防止法の営業表示性、商品等表示というところが実際に問題になったのかなと思います。マサキ珈琲事件というのは、今ご紹介してくださった、まいどおおきに食堂事件の判断を踏まえて「50%いけるのかな」という厳しい見立て、そして世間の耳目もある中で、どのような判断過程、理由から訴訟に踏み切ったのでしょうか?
後藤氏:
今申し上げたような事情がありましたので、当時の社長含む全役員と、かなり何度も長い時間をかけて提訴をするかどうかという議論を重ねました。
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記事監修者

後藤 健介
日本マクドナルド株式会社では、本社法務部にて契約管理、知財対応、訴訟処理など多岐にわたる業務を経験。その後、コメダ珈琲店といった外食業界のリーディング企業で総務・法務部門や内部監査室のリーダー職を歴任し、組織運営、IPO準備、海外展開支援などの重要プロジェクトを成功に導く。 現場を重視しつつ、法務を経営の推進力に変える視点を大切にし、現在は内部監査室長として企業の持続的な成長に尽力している。

中村 穂積
(東京弁護士会)東北大学法学部卒業。旧司法試験第59期。上場会社のインハウス経験を活かし、企業法務に関するアドバイス、法務部立ち上げや運営のコンサルティング、上場に向けたコンプライアンス体制構築や運営の支援等を行う。IT・情報関連法務、著作権など知的財産権法務、知的財産権を活用した企業運営・管理等のコンサルティングを行う。
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