男性の育児休業取得率は年々上昇しているものの、「2人目での取得」「責任ある立場での取得」となると、心理的ハードルは高いのが実情です。
そんな中、Authense法律事務所でマネージャーを務める男性弁護士・野村佳祐は、1人目に続き、2人目でも3か月の育児のための休業を取得しました。
マネジメント業務を担う立場で、なぜ迷いなく取得を決断できたのか。
2人目の育児のリアル、復帰後の変化、そして「立場がある人こそ取るべき」と語る理由とは――。
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1.
迷いはなかった。1人目の経験があったからこそ

2人目でも育児のための休業を取ろうと思われた理由や背景を教えてください。
1人目が生まれたときに育児のための休業を取得した経験から、「育児は本当に大変だ」という実感が強く残っていました。
今回は2人目で、しかも上の子は3歳半でまだまだ手がかかる時期でした。1人目のときは子ども1人に100%向き合えましたが、今回は状況が異なり、子ども2人に同時に向き合う必要がありました。このため、私が休業を取らないことによって、妻に子ども2人分の負担が偏る形にはしたくはありませんでした。
またそれ以上に、子どもと過ごせる時間はとても貴重で、「一緒に過ごしたい」という思いのほうが上回りました。業務調整は大変でも、育児のための休業を取得しようと思いました。
マネージャーという立場での取得に迷いはありませんでしたか。
迷いはほとんどありませんでした。かなり前から周囲には「2人目が生まれる予定です」と伝え、引き継ぐ弁護士や関わるメンバーとの調整を始めていました。
案件の進行管理やメンバーのマネジメントなど、マネージャーとして担っているチーム運営の業務については、違うチームでマネージャーを務めている今津さんが「リーダー業務は自分が担うから」と言ってくださり、その一言が本当に心強かったです。あとは担当案件やクライアント対応をしっかり整えればいいと思えました。
1人目と比べても、心理的なハードルはそれほど変わらなかったと感じています。
クライアントの皆さまが「ぜひ取ってください」と背中を押してくださったことも、非常にありがたかったです。
2.
2人の育児は想像以上。上の子のケアが最大のテーマ

1人目との違いはどんな点でしたか。
生まれたばかりの子の対応は、1人目のときの経験値があります。泣き方である程度理由が分かりますし、「今は何をしても難しいな」という場面も冷静に受け止められました。1人目のときのように「自分のやり方が悪いのでは」と悩むことは、今回はほとんどありませんでした。
上の子の反応はいかがでしたか。
これまでママとパパから100%の割合で受けていた愛情が、突然“分割”されるわけです。下の子を抱っこしていると、「いつまで?」「今度は私の番」と言ってきたり、授乳中にあからさまに機嫌が悪くなったり。
だからこそ、「上の子ファースト」を強く意識しました。下の子は放っておくと命に関わりますが、上の子の心のケアも同じくらい大切です。
結果的に、上の子がいる時間は私が主に上の子を担当する場面が多くなりました。
育児のための休業期間中に4人での生活に慣れる時間を持てたのは、本当に大きかったと思います。
特に大変だったことは何ですか。
上の子の相手も含めて色々ありますが、食事の準備も、大変だと感じたことの一つです。
保育園から帰ってきた上の子の相手をしながら、下の子をお風呂に入れ、上の子も入浴させ、その合間に夕飯を作る。最初は「これどうやるの?」と本気で思いました。
最終的には、食事準備については、日中の“上の子不在・下の子睡眠”時間を活用し、副菜を作り置き、野菜を切っておくなど段取りを組む工夫を重ねて、ようやく回せるようになりました。
3.
信頼関係の重みと、復帰への不安

復帰後の業務はスムーズでしたか。
長く担当してきた案件では、「心待ちにしておりました」といったお声をいただくこともありました。長年積み重ねた信頼関係は、簡単には代替できないと実感しました。
それでも、マネージャー業務は引き継いでいただき、案件も基本的には問題なく回っていました。そのおかげで、概ねスムーズに復帰を進めることができました。
案件を引き継いで対応してくださった先輩を含む同僚の方々には、本当に感謝しております。
休業期間中はパソコンに触れることもなかったので、復帰直後は「久しぶりに契約書レビュー、ちゃんとできるかな」と不安もありましたが、1〜2週間で感覚は戻りました。
2人目の育児のための休業を取得した後、働き方で変化はありましたか。
一番大きいのは、「だらだら仕事をしなくなった」ことです。
子どもの生活リズムを維持する中で、たとえば保育園のお迎えという“絶対に動かない締め切り”がある。
だから逆算して動くようになりました。
「この仕事は30分で終わらせる」「あと5分でこれを片付ける」。
以前なら少しの合間にコーヒーを飲みに行っていたりしていたような時間も、今はとにかく時間が惜しいので、タスクをちょっとずつでも進めることに充てることが多くなりました。
育児では、常に優先順位を瞬時に判断しますが、その感覚が仕事にもそのまま活きているように感じます。
専門知識が増えるわけではありませんが、頭の使い方や時間感覚のようなところは確実に変わりました。
4.
立場がある人ほど、ぜひ取ってほしい
最後に責任ある立場の方や、育休取得を考えているビジネスパーソンへのメッセージをお願いします。
率直に言えば、「ぜひ取ってください」。
育児に関しては、人の体験談を聞いたり本を読んだりするだけでは分からない、休業を取って実際に取り組んでみて初めて分かることが本当に多いんです。
特に責任ある立場の人こそ、取得することで「取っていいんだ」という空気を作ることができます。
ただし、取るならしっかり切り替えて、育児にコミットしてほしいですね。
中途半端に取ってしまうと、家庭でも職場でも信頼を失いかねません。
もちろん環境が許す範囲でということにはなるかとは思いますが、1か月以上、可能なら2か月以上。ちゃんと向き合う時間を持ってほしいと思います。
それは決してキャリアのマイナスではありません。
むしろ、時間管理力、判断力、価値観のアップデートなど、自分のレベルアップに繋がっていると感じています。
そして何より、生まれたばかりの子を育児する時間は後から取り戻せません。
親の代わりはいませんからね。
Professional Voice
野村 佳祐
(第二東京弁護士会)一橋大学法学部卒業、一橋大学法科大学院修了。約2年半にわたり上場企業にて法務業務を常駐して遂行し、契約書の作成・レビュー(投資関連案件ほか)から、社内規程や株主総会・取締役会関連書類の整備、新規プロジェクト関連や社内フロー構築のサポートに至るまで、法務面で日々生じる多種多様な課題に取り組み、都度改善・解決へ貢献した経験・実績を有する。当該経験を活かした現場目線で有用なアドバイスを心掛け、主に予防法務に取り組む。
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