法務は「NO」を突きつけるためではなく、「事業を前に進める」ために存在する。経営に近い立場で法務の価値を追求してきた星野 裕太郎弁護士。インハウスとしてキャリアを極める道もあった中、なぜ彼はAuthenseへの移籍を決意したのか。企業で得た経験を武器に、新たな挑戦を続ける星野弁護士の仕事哲学を紐解く。
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「自由」に魅力を感じて弁護士に
まず、星野さんが弁護士を志した理由から伺ってもよろしいでしょうか。
大学3年生頃、進路を考える時期になり、法科大学院に進もうと考えている友人もいました。
正直、自分の中で明確に弁護士になる、という思いはなかったのですが、勉強が面白そうだと感じて法科大学院に進学しました。
勉強を進める中で、弁護士という職業の「普通の仕事とは少し違う」魅力や、個人事業として「自由が利く」点も、自身の性格に合っているのではないかと考えるようになりました。
星野さんが感じた「普通の仕事とは少し違う」点に魅力を感じた理由や「自由」に惹かれた理由について、きっかけとなるようなエピソードがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。
当時、私はあまり勉強熱心なタイプではなく、色々なアルバイトをしており「人に指示されるのが苦手だな」と感じていました。
組織で働く面白さも感じつつ、正社員になれば制約が強くなり、責任も重くなるだろうと想像すると、自分にそれが務まるのか・・という、やや後ろ向きな思いもありました。
このような思いもあり、より自由な働き方ができそうな弁護士という職業に魅力を感じたのです。

1.
新しい世界の可能性を感じて企業の法務部へ
弁護士になられてからはどのような経験を積まれてきましたか?
企業の法務部で勤務を開始しました。1社目はPC周辺機器メーカーで約3年間勤務し、歯科医院フランチャイザー企業で約4年弱勤務した後、Authenseに入所しました。
「自由」を求めていた、というお話がありましたが、企業での勤務を選ばれたのですね。
元々は法律事務所に就職するつもりで、内定もいただいていたのですが、転職サイト経由でインハウスの誘いを受けました。
お話を伺ってみると、非常に魅力的だったのです。
海外事業の展開や、IPOを進めていくにあたり、「法務専門の部署を立ち上げるので来てほしい」とプレゼンされたのです。新しい世界に見えました。
当時、私は32歳で、勤務経験もありませんでした。社会人として一人前になるために、会社で経験を積むのは有効だと考えたのです。魅力的な仕事内容に加え、社会人としての修行という側面も考慮し、インハウスの道を選ぶことにしました。
部署の立ち上げではあらゆるリーガルイシューに向き合われたかと思います。具体的に、どのような業務に取り組まれたのでしょうか。
契約書レビューや契約書の作成といった一般的な法務業務に加え、新規事業における法的な観点からの審査、経営層の方々と連携しながら、法務体制全般の基礎の確立に取り組みました。
その一環として、取引開始のフローの確立のため、ひな形の作成や契約書運用マニュアルも整備しました。
知的財産権に関する業務も面白みがありましたね。競合他社に対して差止請求等の対応をとることも法務業務として非常に重要でしたが、一方で、自社商品が他社の権利侵害とならないよう、商品化する前に自社及び競合他社を含む商品の知財調査を行い、問題ないことを確認する業務は、会社の売上げにも貢献できたという点で非常に良い経験でした。

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経営陣と共に働く中で感じた法務の価値
2社目では、具体的にどのような業務に従事されましたか。
契約書レビューに加えて、広告審査の業務が非常に多かったです。
フランチャイジーの広告をチェックしていたので膨大な量でした。1社目の5~6倍くらいはありましたね。
そのような大量のレビューにどのように対応されていたのでしょうか。
定型的な案件は重要ポイントに絞ってレビューする、対応できない部分は顧問先に依頼するなど、メリハリをつけて業務を行うことを徹底しました。
レビューだけでなく、全社のリスク管理業務や、競合他社の違法行為に対し、各都道府県の役場などに働きかけを行い、行政指導に繋げるための活動も行っていました。そして、IPO準備に関連して、主幹事証券の方々と連携して会社の抱える法的課題の発見及び対応に取り組みました。
さらに、フランチャイジーとの間で発生する法的なトラブル対応も重要でした。フランチャイジーのお客様からのクレーム対応についても、法務が一次窓口として対応する必要があり、非常に大変でしたね。
多岐にわたる業務を担当されていたのですね。特に星野さんの糧となった業務はありますか。
経営陣に近い立場で仕事ができたことです。
リスク管理業務を進めるにあたり、経営陣や事業部門のトップと密にコミュニケーションを取り、リスクを特定し、対策を実行できたことは、貴重な経験でした。
企業でのインハウス業務を約7年間続けられる中で、特に意識されていたことやこだわっていた点はございますか。
法務としての存在意義を考える中で「事業を止めてはいけない」という気持ちが大きくなっていきました。
法務は「NO」を言うために存在するのではなく、事業を円滑に動かすために存在するのだ、と認識できました。
1社目に入社した当初は、弁護士として「ダメなものはダメ」と伝えることが法務のあるべき姿勢と考えていましたが、2社目で経営層と密にコミュニケーションを取る中で、「事業を動かす」視点を重要と感じるようになりました。経営陣に近い場所で働いていたからこそ持てた視点だと感じています。
また、法務をとっつきやすく、相談しやすい存在にする、というスタンスも重視していました。
法務担当者と普段接点がない事業部の方々は、法律知識がそれほどない状態で相談に来ます。その際、「そんなことも知らないのか」「それはダメだ」といった対応をされてしまうと、それ以上相談する気がなくなってしまいます。
「この部分をこういった内容に修正すれば法律上実施可能なレベルになりますが、修正可能でしょうか」というような事業部に寄り添う姿勢を見せることができるか、「少し難しいかもしれませんが」といった柔らかい表現で対応できるかどうかで、相手の反応は大きく変わってくるのですよね。

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岐路に立って選んだ法律事務所への道
Authenseへ移籍された経緯について伺ってもよろしいでしょうか。
Authenseの面接を受けた当時、40代に差し掛かる時期であったこと、そしてインハウスとしてすでに7~8年ほどの経験を積んできたことから、岐路に立っていました。
2社目で法務責任者を任せていただいた経験を活かし、CLOのようにインハウスとしてのキャリアを極める道を選ぶのか、法律事務所で働く弁護士としての道を選ぶのか、という岐路です。
インハウスの道を突き進めば、おそらく法律事務所で働く機会はないだろうと感じていました。
どちらの道を選べば後悔しないかよく考え、法律事務所への移籍を決意しました。
法律事務所への移籍という大きな方向転換をする中で、Authenseを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
一般民事、離婚、交通事故など様々な業務を幅広く経験することが弁護士として重要であると考えましたが、特定の分野を専門的に極めることがとりわけ重要ではないかと考えており、その中で、Authenseが注力している不動産案件に関心を持ちました。
さらに、Authenseが法務クラウド事業を拡大していくにあたって、私のインハウスでの経験を活かす余地があると感じていました。
法律事務所の立場から契約書レビュー業務を行うことで、企業法務における専門性をまた違った視点で見つめ直せるのではないかという期待もあったのです。
入所されてから約1年半が経過したかと思いますが、これまで注力されてきた案件について伺ってもよろしいでしょうか。
まさに、建物明渡と企業法務に注力しています。この二つで業務全体の8割から9割を占めており、当初想定していた通りの働き方をさせていただいています。
Authenseで勤務されてみて、法律事務所での働き方について、想定していたイメージとのギャップや、企業との違いを感じる部分はありますでしょうか。
良い意味でのギャップかもしれませんが、入所前は独立した先生方の集まりであること、クライアントからのトラブル対応が多いことから、常に「戦っている」というイメージを抱いていました。
しかし、実際は皆様業務にメリハリをつけて取り組んでいます。常に戦闘モードではなく、予想よりも雰囲気が穏やかでした。
また、私にとって良いと感じるインハウスとの違いは「考える時間が増えた」点です。現在も案件自体は多く担当させていただいていますが、一つ一つの案件について法的な整合性が求められ、慎重かつじっくりと考えることができています。
インハウス時代は案件について深く考えるよりは、関係者とのコミュニケーション、会議、レビューなど次々と対応に追われる働き方が多かったのです。
その点、Authenseでは良い意味で深く考えられる働き方になり、自分に合っていると感じています。
パラリーガルの方のサポートが手厚く、マニュアルなどを含めて事務所の体制も整備されていることが、深く考えられる要因ですね。
最後に、星野さんの今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。
まずは、現在担当させていただいている建物明渡と企業法務を深めていきたいです。この二つの業務をしっかりと行うことが事務所への貢献につながると確信しています。
また、個人的に魅力を感じている分野は相続・遺産分割です。
今後、相続関連の相談は確実に増加していくと予想されます。現状、私にはその知識や経験が不足していますが、積極的に取り組んでいきたいですね。

Professional Voice
星野 裕太郎
(第二東京弁護士会)第二東京弁護士会所属。上智大学法学部国際関係法学科卒業、中央大学法科大学院修了。司法試験合格後は事業会社の法務責任者として事業拡大に貢献し、インハウスローヤーとしての幅広い経験を有する。複雑な問題を分かりやすく解きほぐして伝えることを得意としており、依頼者との丁寧なコミュニケーションを通した信頼関係の構築を心がけている。
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