公開 2026.05.01Legal Trend

What’s コンプライアンス vol.1
そのとき、どう動く?兆候の“気づき”と初期対応の“判断”

セミナーレポート

この記事のまとめ

2025年07月09日に開催したセミナー「What’s コンプライアンス vol.1 そのとき、どう動く?兆候の“気づき”と初期対応の“判断”」の内容を書き起こしたものです。全文を読みたい方は、「資料ダウンロードはこちら」よりフォームをご記入いただくと続きをお読みいただけます。

今回は、元検事で企業不正事案に精通する高橋麻理弁護士と、元裁判官として数多くの企業訴訟・不祥事案件を担当した森中剛弁護士が、豊富な経験に基づき、不祥事対応の“現場で本当に求められる視点”を解説しています。

目次
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登壇者紹介

弁護士 森中 剛(第二東京弁護士会所属)

第二東京弁護士会所属。一橋大学法学部法律学科卒業。
裁判官を退官後、福岡県にて弁護士登録。2020年Authense法律事務所入所。
事業承継やM&Aのほか、事業再生を含む倒産法の分野にも造詣が深い。顧問弁護士として予防法務のみならず、裁判官の経験を活かした訴訟対応も得意としている。損害保険・労働分野にも精通しており、幅広い法律問題をオールラウンドに取り扱うことに加え、長年取り組んできたサッカーの経験から、スポーツ法務などの新たな分野にも意欲を持つ。
中小企業だけでなく大企業や公的企業の顧問実績を有し、その見地から多面的かつ実践的なアドバイスを提供。企業が直面する多様なビジネス課題に対し的確な解決策を提案し、支援を行っている。

弁護士 高橋 麻理(第二東京弁護士会所属)

第二東京弁護士会所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
2002年に検察官に任官し、数多くの刑事事件の捜査・公判を担当したのち、検察官退官。
2011年弁護士登録。
刑事事件の手続きを熟知し、捜査や取り調べの先々を見据えた戦略的な刑事弁護を得意とする。また、不起訴処分に対する検察審査会への不服申立ての依頼を受けた際は、粘り強い証拠収集を行い、不起訴不当の議決を得て再捜査を実現させた。
捜査や刑事弁護で培ったスキルを活かし、企業不祥事・社内不正における社内調査のアドバイスや、対象者への事情聴取などにも注力。東証プライム上場企業の社外取締役(監査等委員)など、複数の企業で社外役員を務め、企業法務にも精力的に取り組んでいる。

セミナー概要

  1. 不祥事の兆候の「あるある」を見抜く視点
  2. 初動対応の重要性
  3. 兆候の“気づき”と、対応の“決断” クロストーク

資料の中身を一部公開 
What’s コンプライアンス vol.1
そのとき、どう動く?兆候の“気づき”と初期対応の“判断”

皆様こんにちは、弁護士の高橋です。
本日は、社内の不祥事にいかに気づくか、そして気づいた不祥事にどう対応するか、つまり「発見」と「初期対応」に絞ってお話をします。
最初に私が「発見」について、その後、森中弁護士が「初期対応」についてお話しし、最後にクロストークでそれぞれの話を深掘りします。

では「発見」についてお話しします。本日お伝えするポイントは大きく3つです。
1.発見がなぜ重要か
2.実際にどのように発見されているのか
3.最速で発見するためのポイント

まず1つ目、「発見が大事」という点です。
発見が遅れると損害が拡大したり、自社が把握する前にSNSやメディアで外部に広がり、炎上して収拾がつかない事態になる恐れがあります。
ここで「発見」の定義を押さえておきたいと思います。
発見とは、社内の誰かが気づくだけでなく、その情報が不祥事対応の決定権限を持つ人物に届き、その人物が認識することです。現場で誰かが気づいていても、上に報告されず放置されている場合、それは発見とは言えません。


では、実際にどのように発見されているのか、事例をいくつかご紹介します。
例えば産地偽装事件では、内部の誰かが経営母体である農協に情報提供したことがきっかけでした。文書改ざん事件では、子会社の不祥事について取引先が支払い遅延を親会社に相談したことから発覚しました。
私が担当した別の事件では、社内のコンプライアンス窓口やハラスメント窓口への通報、顧問税理士による決算処理過程での不正経理申請の発見などがきっかけとなった例もあります。
多様な経路がありますが、共通するのは「もっと早く発見できた」という点です。


例えば産地偽装事件では、実際に発見される4年前には現場の複数のスタッフが事実を把握していました。文書改ざん事件でも、取引先から連絡が来るより前に、子会社の複数の従業員が不正に関する多くのトラブルを認識していました。

もしこれらが早期に上に報告され、適切な対処がなされていれば、損害を回避できた可能性が高く、取引先との関係にも良い影響があったはずです。
では、発見が遅れる要因は何でしょうか。

多くの事例で見られるのは、
・事象自体は把握していたが、不正の兆候だと認識していなかった
・まずいと感じても、長年放置されているため「会社は容認している」と思い込み、行動しなかった
といったケースです。
つまり、事象の意味を正しく理解していなかったり、報告するハードルが高かったことが原因です。


これを踏まえて、最速で発見するためのポイントは2つあると考えています。
1つ目は「誰かが早い段階で気づく」こと。2つ目は「その気づきが決定権限者にスムーズに届く」ことです。
まず1つ目の「早く気づく」についてです。
不正は往々にして隠れて行われ、現行犯で目撃できるケースは稀です。そこで重要になるのが「サイン」を見落とさないことです。

人に関するサインの例としては、
・最近クライアントからのクレームが増えている
・社外にいることが少ないのに仕事内容が不明確
・金遣いや職場での人間関係に関する悪い噂がある
などがあります。

組織に関するサインとしては、
・特定の人物しか分からない属人化業務がある
・ミスや目標未達への追及が異常に厳しい
・不満や疑問を吸い上げる場がない
といった点が挙げられます。

これらは一例ですが、なぜ不正の兆候になるのかという根本的理解がなければ、組織全体の察知力は上がりません。そのため、従業員向けのコンプライアンス研修やワークショップが有効です。
ここで特にお伝えしたいのは、組織内で比較的「兆候察知能力」が高い人が必ずいるということです。 それは、新入社員や他部署から異動してきたばかりの社員です。

彼らは環境に対して「これが当たり前」という感覚がまだ薄く、違和感を覚える感度が高い傾向にあります。そのため「これってどうなの?」という素朴な疑問や気づきを大事に扱うことが、組織全体の察知力向上につながります。

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記事監修者

Authense法律事務所
弁護士

森中 剛

(第二東京弁護士会)

一橋大学法学部法律学科卒業。元裁判官。企業法務、M&A、労働法、事業承継、倒産法(事業再生含む)等、企業に係わる幅広い分野を中心とした法律問題に取り組む。弁護士としてだけでなく、裁判官としてこれまで携わった数多くの案件実績や、中小企業のみならず、大企業や公的企業からの依頼を受けた経験と実績を活かし、企業組織の課題を解決する多面的かつ実践的なアドバイスを提供している。

Authense法律事務所
弁護士

高橋 麻理

(第二東京弁護士会)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

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