「休業損害」とは、交通事故の被害に遭って発生する損害のひとつで、「仕事を休まなければならなくなったことにより収入が減った」という損害のことです。
この休業損害を事故の加害者に請求するうえで重要なのが、「休業損害証明書」です。
休業損害というお金や証明書の書式について確認していきましょう。
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休業損害とは
この「ケガを治療している期間に仕事ができず、収入が減少した」という損害が休業損害です。
交通事故に遭わなければ収入の減少は発生しなかったわけですから、これは交通事故による損害であり、その賠償を加害者に対して請求することができるのです。
休業損害証明書の記入方法
休業損害に限らず、交通事故の被害者に支払われる損害賠償金は、通常は事故の加害者本人ではなく、加害者が加入している保険会社から支払われます。
休業損害の支払いを請求する場合には、加害者側の保険会社に対し、「どれだけ仕事を休み、交通事故以前と比べてどれだけ収入の減少が発生したか」を証明するために「休業損害証明書」という書類を提出することになります。
この休業損害証明書の用紙は通常であれば保険会社から送られてくるので、自分で書式を用意する必要はありません。
また、自分自身で記入するわけではなく、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者が勤務先の人事担当部署に記入してもらう書類なので、実際に何を書くのか目にする機会は少ないかもしれません。
しかし、仕事を休んだ日数がきちんと証明書に記入されているかを自分自身で確認するのは重要なことです。
どのような項目があるのか、どのような情報を記入してもらうのかを確認しておきましょう。
休業損害証明書に記入する項目
前年度の源泉徴収票を添付する
まず、休業損害証明書には、添付書類として前年度の源泉徴収票が必要となります。
源泉徴収票がない場合は、賃金台帳の写しや雇用契約書などを添付します。
仕事を休んだ期間
「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」という形で、事故によっていつからいつまで仕事を休んだのかを記入します。
この期間には、遅刻や早退をした日も含みます。
仕事を休んだ期間の内訳
前述の仕事を休んだ期間のうち、欠勤した日数、有給休暇を使用した日数、遅刻・早退・時間有給休暇を使用した日数などの内訳を記入します。
仕事を休んだ日
カレンダー形式の表に、休んだ日は○、職場所定の休日には×など、記載された凡例にしたがって1日ごとの出勤の状況を記入していきます。
休んだ期間の給与
仕事を休んだ期間の給与を全額支給したか、全額支給しなかったか、または一部支給(もしくは減給)したかを選択します。
支給額や計算の根拠も記入します。
事故前3か月間の月例給与
金額を表に記入します。
稼働日数や、本給と付加給(時間外勤務手当・通勤手当など)、社会保険料、所得税、差引支給額といった内訳を詳しく記入しなければなりません。
休業補償給付・疾病手当金の給付の有無
社会保険から、休業補償給付や疾病手当金などの給付を受けたかどうかを選択します。
休業損害証明書を書いてもらう際の注意点
先に説明したとおり、休業損害証明書は勤務先に書いてもらう書類です。
交通事故後の実際の勤務状況を勤務先が証明するものですから、捺印欄に押す印鑑はもちろん個人のハンコではなく、会社印でなければいけません。
自分で記入しようとはせず、勤務先の人事担当の部署などに記入を依頼しましょう。
なお、小さな規模の会社などであれば、「書き方が分からない」と言われてしまうケースや、そもそも記入を断られてしまうというケースもあるようです。
しかし、休業損害証明書は、休業損害を事故の相手方に請求するために必要な書類です。
いくら頼んでも書いてもらえない場合には、交通事故に精通した弁護士に依頼し、書類作成の申し入れをしてもらうという手段も検討してみてください。
自営業や家事従事者(専業主婦・主夫)の場合は?
会社員などの給与所得者の場合、勤務先の会社が作成した休業損害証明書を相手方の保険会社に提出することはここまで説明してきたとおりです。
では、自営業者や、そもそも収入のない家事従事者(主婦・主夫)の場合はどうなるのでしょう。
加害者から休業損害を支払ってもらうことはできないのでしょうか?
自営業者
自営業者の場合、休業損害証明書は使用しません。
その代わり、事故以前からの収入の減少を、資料に基づいて自分自身で証明しなければなりません。
具体的には、所得を証明するための前年度の確定申告書や納税証明書、そして入院・通院した日を証明するための診断書や診療報酬明細書などが必要となります。
家事従事者
家事労働は、対価として金銭を得られるものではありませんが、金銭的に評価することが可能であるとされています。
ただし、家事従事者とは「自分以外のために家事を行う者」をいいます。
そのため、一人暮らしで自分のためだけに家事をしているのであれば休業損害は認められませんが、家族のために家事をしているのであれば、休業損害を請求できる可能性があります。
家事従事者としての休業を示す資料としては、家族との同居を証明するための住民票や、入通院の証明となる診断書や診療報酬明細書などが挙げられます。
また、日々の家事にどのような影響があったかを日々記録することが有用であるケースもあります。
弁護士に依頼するメリット
特に自営業者や家事従事者にとって、「交通事故によって休業せざるをえなかった期間がどれだけあったか」「それによってどれだけ収入が減少したか」を客観的に証明することは簡単ではありません。
また、会社員などの給与所得者で、無事に休業損害証明書を相手方の保険会社に提出し、休業損害が認められたとしても、その金額が適切なものかを判断するのは難しいでしょう。
そこでおすすめなのが、交通事故に精通した弁護士に相手方との示談交渉を依頼するという選択肢です。
事故後なるべく早い段階で弁護士に相談することで、事故の相手方に休業損害を請求するにはどのような資料が必要かを整理し、適切な資料を準備することが可能になります。
それだけでなく、裁判例や法的知識に基づいて休業損害の金額を算出することで、相手方の保険会社に提示された金額よりも高額な支払いを受けられる可能性もあります。
交通事故で弁護士に相談することについて、「弁護士費用を支払うとむしろマイナスになってしまうのでは?」と心配に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、弁護士が休業損害以外の損害賠償を含めた適切な賠償金額を算出することで、加害者に請求できる金額が大きく変わってくる可能性もあります。
また、加入している保険の契約で「弁護士費用特約」を付帯していれば、弁護士費用を保険でまかなうことにより、自己負担なく弁護士に依頼できます。
交通事故の被害に遭ったあと、早期に弁護士に相談することには様々なメリットがあるのです。
まとめ
休業損害の適切な金額を算出することは難しく、相手方から提示された金額に納得できるケースばかりではありません。
交通事故によるケガの治療は長引くことも多く、治療を続けながらお金のことを考えるのは精神面でも大きなストレスになります。
交通事故の被害に遭い、休業損害の請求に不安や疑問を感じた場合は、ぜひお気軽にオーセンスの弁護士にご相談ください。
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