コラム

2021.07.13

交通事故による膝のお皿の骨折。膝蓋骨骨折の後遺障害認定について解説

交通事故による膝蓋骨(しつがいこつ)骨折で後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けられれば、事故の加害者に慰謝料の支払いを求めることができます。
慰謝料は、計算方法によって請求できる金額が大きく変わります。
今回は、膝蓋骨骨折の後遺障害認定と損害賠償請求について解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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膝蓋骨(しつがいこつ)とは

「膝蓋骨(しつがいこつ)」とは、膝の関節の前部分にある骨のことです。
一般的に「ひざのお皿」と言われることもある骨ですね。
膝蓋骨は膝の関節が滑らかに動くうえで重要な役割を果たしており、これによって歩行や立つ・座るといった動作における膝の曲げ伸ばしをスムーズに行うことができます。

この膝蓋骨が折れてしまうのが膝蓋骨骨折です。
膝蓋骨骨折は、膝を強く打ち付けたときや、強い負荷がかかったときに発生します。
交通事故においても、歩行中であれば転倒によって膝に強い衝撃を受けたり、乗車中であれば車のダッシュボードに打ち付けたりすることで骨折してしまう場合があります。

膝蓋骨骨折の症状

膝蓋骨を骨折すると、膝が大きく腫れ、激しい痛みが生じます。
保存療法を行う場合は膝を伸ばした状態でギプスを巻いて固定するため、松葉杖や車椅子が必要となります。
また、骨折の程度によっては外科手術を行うケースもあります。

膝蓋骨骨折の後遺障害「可動域制限」

交通事故による膝蓋骨骨折が原因で後遺症が残った場合、後遺障害と認定される可能性があります。
その症状の一つが、膝の関節の可動域の制限です。
可動域の制限とは、ケガによって関節を動かすことのできる範囲が狭まり、事故前と同じ状態に回復しなかった場合をいいます。

後遺障害の等級は、最も重度の1級から、最も軽度の14級までに分かれています。
膝の可動域制限は、以下の等級に該当します。

後遺障害等級 症状
第8級7号 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
第10級11号 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第12級7号 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

下肢の「三大関節」とは、股関節、膝関節、足関節(いわゆる足首)のことです。膝蓋骨骨折によっておこる可動域制限は、膝関節の可動域制限です。
関節に残った障害の程度は、健側(ケガをしていない方)との比較によって判断します。

関節の「用を廃した」とは、全く関節が動かせないか、健側と比べて10%程度以下しか動かせないような場合です。
「機能に著しい障害を残す」とは、健側と比べて可動域が1/2以下に制限された場合です。
そして「機能に障害を残す」とは、健側と比べて可動域が3/4以下に制限された場合をいいます。

このように関節の可動域が制限される場合のほかに、治療を行っても関節に痛みやしびれが残るケースもあります。

後遺障害には「神経症状」もある

後遺障害には「神経症状」もある

治療によって骨折そのものが治癒したとしても、膝関節に痛みや痺れが残った場合には、神経症状として後遺障害と認定される可能性があります。
神経症状の後遺障害は、次のような等級に該当します。

後遺障害等級 症状
第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
第14級9号 局部に神経症状を残すもの

「局部に頑固な神経症状を残す」とは、画像検査などの所見により、痛みなどの神経症状の存在が医学的に証明できるものをいいます。
そして「局部に神経症状を残すもの」とは、痛みなどの神経症状について医学的に説明できるものをいいます。
この14級に該当するかどうかは、事故の規模や、通院の回数・頻度と治療の経過、症状の一貫性・連続性などにより、総合的に判断されます。

膝蓋骨骨折の後遺障害慰謝料の例

交通事故による膝蓋骨骨折で後遺症が残り、後遺障害と認定された場合、加害者に支払ってもらえる慰謝料の金額はいくらぐらいになるのでしょうか?

慰謝料とは、交通事故でケガを負ったことによる精神的な苦痛を金銭で賠償してもらうお金です。
そして、後遺障害が残ったことによって加害者に請求できる「後遺障害慰謝料」の金額は、等級ごとに異なります。

そして大きなポイントが、慰謝料の金額を算出する方法には「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」という3つの基準があるということです。
この3つのうち、被害者への最低限の補償であるのが「自賠責基準」で、慰謝料の金額は最も低くなります。
それに対し、慰謝料の金額が最も高くなるのが「弁護士基準」ですが、弁護士基準による慰謝料を請求するには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。

では、膝蓋骨骨折による後遺障害において、自賠責基準と弁護士基準で後遺障害慰謝料の金額がどのように変わってくるのか、その金額の目安を確認してみましょう。

後遺障害等級 自賠責基準(※) 弁護士基準(赤い本基準)
第8級 331万円 830万円
第10級 190万円 550万円
第12級 94万円 290万円
第14級 32万円 110万円

※自賠責基準については、令和2年4月1日以降に発生した事故に適用される金額を記載。

このように、交通事故の慰謝料請求では、弁護士に依頼するかどうかによって、加害者に支払ってもらえる金額が大きく変わってきます。
そして慰謝料だけでなく、その他の損害賠償金についても、弁護士によってより適切な金額を導き出せる可能性があります。
ケースによっては、交通事故で弁護士に依頼することにより、金銭面での大きなメリットが得られるのです。

交通事故による膝蓋骨骨折の注意点

交通事故による膝蓋骨骨折の注意点

交通事故による膝蓋骨骨折では、注意しなければいけない点があります。

ケガを負ったことによる治療費や慰謝料などを請求するうえでは、ケガの原因が交通事故であると証明する必要があります。
しかし、交通事故後すぐに病院で診察を受けていないと、痛みなどの症状が交通事故によるものなのか証明するのが難しくなります。
このため、交通事故に遭った場合は、なるべく早急に病院で画像検査などを受けることにより、事故によってどのような症状が生じたのかを記録に残すことが非常に重要です。

そして、後遺障害等級の認定を受けるための申請手続きにおいては、医師に記入してもらう「後遺障害診断書」の内容が大きなポイントになります。
この後遺障害診断書に、事故後の検査結果や治療の経過、残存する症状などを適切に記入してもらうことで、適切な後遺障害等級の認定を目指すことになるのです。

ただし、治療を担当してくれた医師がこの後遺障害診断書の記入方法に精通しているとは限りません。
等級の認定を受けるうえで必要な情報が不足していれば、本来認定されるべき適切な等級よりも低い等級に認定されてしまう場合や、後遺障害と認定されない「非該当」になってしまい、後遺障害慰謝料を請求できない場合もありえます。
そのような結果を防ぐためにも、弁護士に依頼し、後遺障害診断書に適切な内容を記入してもらうための助言を得ることが重要といえるのです。

まとめ

交通事故で膝蓋骨骨折になると、その後の生活に不便が生じるだけでなく、治療が終わった後も関節の障害や痛みなどの症状が残る可能性があります。
そのような状態で加害者側との示談交渉を進めるのは大変なストレスです。
事故の相手方との示談交渉でお困りの方や、後遺障害等級の手続きに不安がある方は、お気軽にオーセンスの弁護士にご相談ください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・弁護士に相談して頂くことで、被害者側主導で適切な診断書や資料を集め、後遺障害等級認定申請を提出することが可能となり、その申請を保険会社に任せるより、後遺障害等級の認定率が高まる可能性があります。
・また、弁護士に依頼をすることで、加害者からより多くの慰謝料やその他の賠償金を受け取れる可能性があります。

交通事故被害のご相談はAuthense法律事務所

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交通事故被害に関するご相談は基本的に何度でも無料(お電話相談も承ります)。着手金0円。
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