コラム

交通事故での打撲や擦り傷。軽症でも慰謝料は請求できる?

交通事故の被害に遭ったからといって、必ずしも大ケガをするわけではありません。 打撲(打ち身)や擦り傷といった軽症で済む場合もあります。 とはいえ交通事故に遭うと大変な恐怖を感じますし、軽傷でも慰謝料がもらえるのかどうかは気になりますよね。 そこで今回は、軽症の場合にどのくらいの慰謝料を請求できるのか、また軽傷で慰謝料を受け取る際のポイントなどについて、詳しく解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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交通事故で軽症の場合、慰謝料はもらえるの?

交通事故における軽症の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ・ 擦り傷・切り傷
  • ・ 傷口を伴わない打撲(打ち身)・捻挫

このような軽症の場合でも、治療費や慰謝料といった賠償金は請求できます。
また、顔のような日常的に露出している場所に傷が残るようであれば、「外貌醜状」として後遺障害が認められる可能性があります。
芸能人や接客業など、容姿が重要な要素となる職業に従事している人に外貌醜状が生じた際は、一般的な金額よりも多く慰謝料がもらえることもあります。

慰謝料をもらうために必要なこと

交通事故に遭った際、加害者から「物損事故扱いにしてもらえないか」と持ちかけられることもありますが、これは、被害者側には何のメリットもありませんので、交通事故の被害に遭った場合は必ず人身事故扱いにしましょう。

また、慰謝料をもらうためには医師による診断書などの書類の提出が必須です。
事故直後は痛みがなくても、あとになって痛みを感じることや、重大な障害が発覚することもあります。
そのため、軽い打撲だからといって甘く見ずに、交通事故に遭った際はなるべく早く病院で診断を受け、証拠を残すようにしましょう。

ケガの種類別に見る慰謝料の相場

それでは、交通事故で軽症のケガをした場合、どれくらいの慰謝料がもらえるのでしょうか。
ケガの種類ごとに相場をご紹介します。

擦り傷や切り傷など

擦り傷や切り傷など、1週間程度で治るようなケガであれば、慰謝料は最大でも5万円前後になります。
しかし、別の症状が発覚するなどの理由により、通院に何か月も要するような場合はその限りではありません。

捻挫や打撲

捻挫や打撲は、擦り傷などに比べ一般的に通院期間が長引く事が多いため、慰謝料は若干上がる場合が多いです。
MRIやレントゲン検査で異常が見られないような軽い症状から重度の捻挫まで、通院期間や実通院日数によって金額は変動します。

  • ・ 2週間程度の通院:10万円前後
  • ・ 1か月程度の通院:19万円前後
  • ・ 3カ月程度の通院:50万円前後

上記のように、全治2週間程度の軽症だとしても慰謝料を請求することは可能です。

軽症でも慰謝料を受け取るために知っておきたいポイント

交通事故_軽症_ポイント

単に軽症のケガを負っただけでは、慰謝料を受け取ることは困難です。
ここでは、軽症でも慰謝料を受け取るために抑えておきたいポイントを3点ご紹介します。

事故との因果関係を証明する

交通事故によりケガを負った場合に慰謝料を含む損害賠償請求をするには、ケガと事故との因果関係を証明する必要があります。

証明のためには医師による診断書の提出が必須です。
したがって、事故直後に自覚症状が無くても必ず病院へ行って診断を受けるようにしてください。

軽い傷ほど、時間の経過によって交通事故によるものかどうかの判断がつかなくなることがあります。
すると、医師の診断書を取得するのも難しくなります。

特に軽症の場合、事故から2週間も経過すれば因果関係の証明は困難になるでしょう。
事故直後は可能な限り早めに病院へ行き、適切な治療を受けることが因果関係の証明のために重要なのです。

領収書を保管する

病院でもらった治療費の領収書は、必ずすべて保管しておきましょう。
損害賠償請求をする際に必要になるからです。

また、通院に公共交通機関を使った場合の交通費だけでなく、タクシーを使った場合の交通費も、症状の程度から相当と認められる範囲内であれば請求できます。
通院のためにやむなくタクシーを使用した際は、領収書をもらうことを忘れないように気を付けましょう。

事故が原因で生じた費用については、関係書類をすべて保管し、賠償金を請求するときに漏れがないよう確実に管理しておくのがおすすめです。

自覚症状がなくても病院に行く

自覚症状がなくても、必ず病院へ行くようにしましょう。
事故直後は興奮状態にあり、痛みを感じにくいことがあります。

むち打ちのように、数日経過した後に痛みを感じ始めるケースもあります。
そのため、事故の直後は症状が出ていなくても病院へ行くようにしてください。

また、通院が始まってからも、痛みがなくなったからといって自己判断で通院を中断することは禁物です。
適切な治療を受けずに途中でやめてしまうと、今後の生活に支障をきたす可能性もあります。
治療の継続については、医師による判断を仰ぎましょう。

どんな場合に弁護士に依頼するのがベスト?

ケガが軽症だと、「弁護士に依頼すると賠償金よりも弁護士費用のほうが高くついてしまうのでは?」という懸念から、依頼をためらってしまう人もいるかもしれません。
ここでは、どんな時に弁護士に依頼するべきなのか、依頼した際のメリットについてご紹介します。

通院期間が長い場合

最初は軽症だと思っていても、のちに発覚した痛みや麻痺などの治療により、通院期間が長くなることはありえます。
もしも半年ほど通院しているのであれば、弁護士に依頼しても費用倒れとなる可能性は低いでしょう。
場合によっては、弁護士に依頼することで損害賠償の金額がアップし、弁護士費用を差し引いてもプラスになる可能性もあります。

では、なぜ弁護士に依頼した方が損害賠償の金額がアップするのでしょうか?
それは算定基準の違いによるものです。

損害賠償の算定基準は3種類あります。

  • ・ 自賠責保険基準:最低限の補償のため、最も金額が低い
  • ・ 任意保険基準:任意保険会社が独自に定めた基準
  • ・ 弁護士基準:裁判基準ともいわれ、過去の裁判例に基づいており、最も高額になる

あくまでも営利企業である任意保険会社からすれば、損害賠償として支払う保険金の額は安く抑えたいのが当然です。
一方で被害者の立場としては、一番金額が高くなる弁護士基準の適用を受けたいところですが、弁護士に依頼しない限り、弁護士基準による慰謝料の算定は行われないのです。
通院が長引いた場合や、後遺症が残ってしまった場合に、弁護士への依頼を視野に入れるべきと言えるでしょう。

自動車保険に弁護士特約がついている場合

弁護士特約とは、自動車保険のオプションの1つで、定められた限度額以内であれば全ての弁護士費用を保険金でまかなうことができます。

一般的な限度額は最大300万円までの補償なので、特に軽症の被害であれば、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースがほとんどです。
実際に裁判にならなくても、相談の段階から対象となるので、安心して弁護士に相談できますね。

保険会社によって適用範囲が異なりますが、被害者本人による契約でなくても、家族の契約している自動車保険の弁護士特約が使える場合もあります。
加入している自動車保険に弁護士特約が付いていることを知らない人も多くいますので、1度確認してみてはいかかでしょうか。

弁護士に依頼するメリット

最後に、弁護士に依頼する3つのメリットをご紹介します。

治療費を打ち切られた場合に対応してくれる

治療がまだ必要な段階で、保険会社から治療費を打ち切りたい旨の打診をされることがあります。

保険会社に対し、主治医を通して治療の必要性を主張できれば、打ち切りが撤回となることもありえます。
しかし、このような対応を自分自身で行うのは困難です。
そんなときに弁護士に依頼すれば、治療の必要性を根拠づけて主張する手助けをしてくれます。

後遺障害の認定を受けられる可能性がある

打撲や打ち身などの軽症でも、後遺症が残ってしまう可能性はあります。
残った後遺症が「後遺障害」だと認定されれば、症状の度合いにより14級から1級までの等級に区分され、治療費以外にも後遺障害に対する慰謝料を請求できます。

しかし、その申請にはさまざまな書類を集めなければならず、専門知識がなければ難しいことばかりです。
そこで弁護士に依頼すると、適切かつ十分な資料を収集したうえで申請を代行してくれますので、後遺障害認定を受けられる可能性も上がります。

逸失利益が認められる可能性がある

後遺障害の認定が受けられれば「後遺障害逸失利益」を請求できます。
逸失利益とは、後遺障害のために今までどおりの働き方ができなくなった被害者が、事故に遭わなければ将来に渡って得られたはずの収入を指します。

ただし、逸失利益の手続きも後遺障害等級認定と同様に難易度が高く、自分で手続きをするのは大変なので、弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。

まとめ

軽症のケガで弁護士に相談するのは大げさに感じる方もいるかもしれません。
しかし、治療に長い期間がかかっているのであれば、弁護士に依頼することで金銭的にプラスになる可能性もありますし、弁護士費用特約が使えるなら費用面の心配もいりません。
適切な賠償金を受け取るためにも、弁護士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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