コラム

公開 2024.01.16

インスタで投稿者は特定可能?誹謗中傷に遭った際の手続きの方法を弁護士が解説

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インスタ(Instagram)は実名で行う人もいる一方で、匿名ユーザーも少なくありません。

では、インスタの投稿者は特定することができるのでしょうか?
また、インスタの投稿者を特定するには、どのような手続きを踏めばよいでしょうか?

今回は、インスタで投稿者を特定する方法などについて、弁護士が詳しく解説します。

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インスタ(Instagram)で投稿者は特定できる?

はじめに、インスタの匿名ユーザーを特定することができるかどうかについて解説します。

平時:厳密には特定できない

厳密には、匿名ユーザーが誰であるのか特定することはできません。
たとえば、実名で使っている他のSNSと同じアイコンを使っていたり同じ画像を投稿したりしていた場合は、ここから投稿者が推測されることはあり得ますが、あくまでも推測であり、なりすましの可能性や偶然一致の可能性を排除できないため、特定できているとはいえません。
また、自身のスマートフォンに入っている連絡帳との連携状況によっては相手に対して「連絡先に追加されている〇〇さんが◇◇◇という名前でインスタを利用しています」などと通知され、これによって「インスタの◇◇◇=電話帳に登録している〇〇氏」であることが相手にバレることがありますが、電話番号が変更されている可能性等も考慮すると、厳密に特定できたとはいえないかもしれません。

権利侵害があった場合:発信者情報開示請求で特定できる可能性がある

インスタで誹謗中傷などの権利侵害があった場合は、法的手段を講じることで、完全なる匿名のアカウントであっても本名や住所が特定されることがあります。
そのため、倫理的な問題はもちろん、法的措置の観点からも「匿名だから、何を書いても法的措置はとられない」ということにはならないため注意が必要です。

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インスタ(Instagram)の投稿者を特定できる発信者情報開示請求とは

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インスタで誹謗中傷など権利侵害をされた場合は、発信者情報開示請求をすることで相手の特定を試みることとなります。
ここでは、発信者情報開示請求の概要と、情報の開示が認められるための要件について解説します。

発信者情報開示請求の概要

発信者情報開示請求とは、インスタや投稿者が接続に使ったプロバイダに対して情報開示請求をすることで、投稿者を特定するための手続きです。
それぞれから次の情報の開示を受けることで、投稿者を特定します。

  1. Instagramの運営者(Meta)から、IPアドレスやタイムスタンプなどの情報を入手する
  2. 「1」の情報をもとに投稿者が接続に使ったプロバイダ(NTTやKDDIなど)から、プロバイダ契約者の住所や氏名などの」情報を入手する

とはいえ、任意でMetaや接続プロバイダなどに対して情報を開示するよう請求しても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。
そのため、発信者情報開示請求は、裁判手続きによって行うことが一般的です。

なお、従来「1」と「2」の手続きには別の裁判手続きが必要であったものの、これにより個人の特定までに長い期間(9か月程度)を要するうえ手続きの負担が重いことが問題視されていました。

そこで、2022年10月にプロバイダ制限責任法が改正され、これらを一本の手続きで行える手続きが創設されています。
この手続きを活用することで、投稿者の特定までにかかる期間が短くなる効果が期待できます。

ただし、新たに創設された手続きを活用することが必ずしも得策であるとは限りません。
どの手続きを選択するかについても、弁護士へ相談したうえで慎重に検討するようにしてください。

認められる要件

発信者情報開示請求を申し立てたからといって、必ずしも情報が開示されるとは限りません。
発信者情報開示請求が認められるためには、次の要件などを満たす必要があります。

  1. 自己の権利が侵害された者からの開示請求であること
  2. 権利を侵害されたことが明らかであること
  3. 開示請求の目的が正当(損害賠償請求や刑事告訴など)であること
  4. 1対1のDMやメールなどではなく、インターネット上で誰もが閲覧できる情報発信が対象であること
  5. 開示請求の対象が、一定の発信者情報(住所、氏名、電話番号、IPアドレスなど)に該当していること
  6. 開示請求の相手方が「開示関係役務提供者」(SNS管理者や運営者、プロバイダなど)であること
  7. 開示請求の相手方が発信者情報を保有していること

このように、発信者情報開示請求には要件があり、やみくもに行ったところで開示が認められない可能性が高くなります。
特に、「権利を侵害されたことが明らかであること」については判断する基準が難しいうえ、権利侵害であると考える理由を法令の根拠などとともに明確に主張しなければなりません。

そのため、発信者情報開示請求は無理に自分で行わず、誹謗中傷問題に強い弁護士のサポートを受けて行うとよいでしょう。
弁護士へ相談することで、開示が受けられそうかどうかの一定の見通しを立てることも可能となります。

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インスタ(Instagram)で相手の特定を自分ですることが難しい理由

インスタでの投稿者の特定を、自分で行うことは容易ではありません。
その主な理由は次の2点です。

Instagramに直接請求しても開示を受けられる可能性は低いから

1つ目の理由は、Instagramの運営社に対して直接フォームや メールなどで請求しても、開示を受けられる可能性はほとんどないことです。

投稿者を特定するには、原則として裁判手続きを踏まなければなりません。
そして、裁判で発信者情報の開示を認めてもらうには、権利侵害があったことなどを法令の根拠をもとに明確に主張する必要があります。

これを行うには法令や裁判手続きに関する正しい知識が必要であり、自分で請求して発信者の特定にまでこぎつけることは、容易ではないでしょう。

ログの保存期間内に手続きをとる必要があるから

2つ目は、インスタの投稿者を特定するには、ログの保存期間内に手続きをとる必要があることです。

インスタや接続プロバイダではログが永久に保存されているわけではなく、一定の期間を過ぎるとログが削除されます。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、3か月から6か月程度とされていることが一般的です。

この保存期間を過ぎてしまうと、たとえ権利侵害が明白であったとしても、発信者情報の開示を受けることはできません。
なぜなら、「ない情報」を開示することはできないためです。

自分で投稿者の特定を行うことは容易ではないとはいえ、時間をかけて一つずつ調べればできると考えるかもしれません。
しかし、時間をかけて調べているとその間にログの保存期間が過ぎ、相手の特定が困難となる恐れが高くなります。

なお、ログの保存期間が「3か月から6か月程度」というのは、この期間内に裁判所に手続きを申し立てさえすればよいということではありません。
最終的請求が認められ、裁判所からInstagramの運営社やプロバイダ開示命令が出るまでをこの期間内にすべて行う必要があるということです。

このように専門的な知見が必要となるため、弁護士へご相談ください。

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インスタ(Instagram)で相手を特定する流れ

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インスタで誹謗中傷などの被害に遭い相手を特定したい場合は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?
ここでは、相手を特定するまでの基本的な流れを解説します。

誹謗中傷などの証拠を保存する

インスタで誹謗中傷の被害に遭ったら、即座に証拠を残しましょう。

インスタの投稿は投稿者が削除する可能性があるほか、そもそも24時間で消えてしまう「ストーリーズ」である場合もあり、証拠を残さないと誹謗中傷の証拠が消えてしまう恐れがあるためです。
証拠が残っていないと、投稿者を特定する措置などをとることは困難となります。

証拠は、スクリーンショットを撮影して残すことが一般的です。
スクリーンショットは、次の事項が漏れなく掲載されるよう撮影してください。

  • 誹謗中傷投稿の内容
  • 投稿の日時
  • 投稿のURL

スマートフォンからでは投稿のURLが正確に表示されないことが多いため、パソコンで撮影することをおすすめします。
また、インスタの場合、通常投稿の日時が表示されず、他のSNSでは行わない一定の作業を行ったうえで表示させる必要がありますので、可能な限りスクリーンショットを残しておくとともに、直ちに弁護士に相談しましょう。

弁護士へ相談する

誹謗中傷の証拠を残したら、できるだけ早く(可能であれば誹謗中傷の投稿を見つけた当日や翌日)に弁護士へ相談の予約をとり、早期にご相談ください。
先ほど解説したように、ログの保存期間を過ぎると投稿者の特定が困難となってしまううえ、インスタの場合スクリーンショットの方法が特殊なためです。

自分で残した証拠には、不備があることも少なくありません。
早期に弁護士へ相談して証拠を確認してもらうことで、たとえ証拠に不備があっても追加での証拠を残しやすくなります。

弁護士へ相談することで、発信者の特定が可能かどうかの見通しを立てやすくなるほか、発信者が特定できた後の対応についても検討しやすくなります。
投稿者特定後の対応については、後ほど詳しく解説します。

弁護士が発信者情報開示請求をする

弁護士へ相談して依頼をしたら、弁護士が発信者情報の開示請求を行います。
かかる期間や費用などについては、初回の相談時に確認しておくとよいでしょう。

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インスタ(Instagram)で相手が特定できた後の対応

インスタで自身を誹謗中傷した相手を特定できたら、その後はどのような対応を検討できるでしょうか?
主な対応方法は、損害賠償請求と刑事告訴です。

誹謗中傷の内容や態様などによってはいずれの対応も可能であることもある一方で、「損害賠償請求は認められる可能性が高いけれど刑事告訴は難しい」など、いずれか一方の対応が困難であることもあります。

また、双方の措置をとる場合はその分だけ費用や時間がかかりやすくなることから、いずれか一つに絞って対応をする場合もあるかもしれません。
双方の法的措置をとるのかいずれか一方の法的措置のみをとるのかは、弁護士へ相談したうえで検討するようにしてください。

相手に対して損害賠償請求をする

1つ目は、相手に対して損害賠償請求をすることです。
損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害を金銭の支払いで償うよう、相手に対して求めることです。

こちらの最終的な目標は、誹謗中傷の投稿者から賠償金を受け取ることです。

損害賠償請求はいきなり裁判を申し立てるのではなく、判明した相手の住所宛に弁護士から書面を送るなどして行うことが一般的です。
相手が反省して謝罪をしたうえで、被害者が納得できるだけの金銭を支払った場合は、この段階で事件が終結します。

相手が真摯に対応しなかったり賠償金の支払いを拒否したりする場合は、裁判上での損害賠償請求へと移行します。

相手を刑事告訴する

2つ目は、相手を刑事告訴することです。
刑事告訴とは、捜査機関(警察や検察)に対して犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求めることです。

告訴は口頭でも可能であるとされているものの、告訴状の提出によって行うことが一般的です。
こちらの最終的な目的は、相手に適正な刑事処罰を受けてもらうことです。

インスタでなされた誹謗中傷は、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」が成立する場合があります。
これらはそれぞれ次のような罪です。

  • 名誉毀損罪:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者が、その事実の有無にかかわらず該当する罪
  • 侮辱罪:事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者が該当する罪

ここでいう「事実」とは、「本当のこと」という意味ではなく、「具体的な事項」という程度の意味です。

たとえば、「A氏は違法薬物を摂取している」という投稿は、A氏が違法薬物に手を染めているという具体的な「事実」を指摘しているため、これが真実であろうとなかろうと名誉毀損罪にあたる可能性があります。
一方、単に「A氏はバカだ」という投稿は、何ら具体的な事実を摘示しておらず、該当するとすれば侮辱罪でしょう。

誹謗中傷が具体的にどのような罪にあたるのか自分で判断することは容易ではありません。
弁護士へ相談したうえで、どのような罪で告訴するか検討するようにしてください。

刑事告訴が受理されると、その後は警察で事件の捜査がなされ、必要に応じて誹謗中傷の投稿者である被疑者が逮捕されます。
その後は、捜査がなされ、検察に事件が送致され、起訴か不起訴かが決定され、正式起訴となった場合には刑事裁判で有罪・無罪や具体的な量刑が決まるという流れです。

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まとめ

平時においては、インスタの匿名ユーザーが誰であるか特定することは困難です。
一方で、誹謗中傷などの権利侵害がなされた場合は、裁判所を通じて発信者情報開示請求をすることで投稿者が特定できる可能性が高くなります。

ただし、発信者情報開示請求には専門的な知識が必要であるうえ、ログの保存期間内に行わなければなりません。
そのため、インスタで誹謗中傷の被害に遭ったら長期間1人で悩むのではなく、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。

Authense法律事務所では誹謗中傷への対応に力を入れており、インスタでの誹謗中傷に対する開示請求の実績も豊富です。
インスタで自分を誹謗中傷した投稿者を到底したい場合は、Authense法律事務所までご相談ください。
原則として、初回のご相談は60分無料でお受けしています。
※ご相談をお受けできない場合もございます。

記事を監修した弁護士
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