広く活動をしている方に限らず、自身の名誉を傷付ける内容が書き込まれることもあるでしょう。
そのような投稿がされた場合には、できるだけ早く投稿を消してほしいと考えるかと思います。
では、投稿の削除請求をする際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?
また、誹謗中傷への法的措置として、削除請求のほかにどのような方法が挙げられるのでしょうか。
ここでは、誹謗中傷投稿の削除請求やその他の法的措置などについてくわしく解説します。
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誹謗中傷投稿は社会問題となっている
インターネット上での誹謗中傷は、社会問題となっています。
総務省が公表している「インターネット上の誹謗中傷情報の流通実態に関するアンケート調査結果」※1でも、過去1年間に一定のSNSサービスなどを利用したと答えた回答した人のうち、約半数が他人を傷つけるような投稿を「見たことがある」と回答しています。
今やインターネット上での誹謗中傷は、多くの人にとって無縁ではなくなっています。
※1 総務省 プラットフォームサービスに関する研究会(第36回)「インターネット上の誹謗中傷情報の流通実態に関するアンケート調査結果」
誹謗中傷投稿を削除請求する3つの方法
自らを誹謗中傷する内容の投稿がされた場合、その投稿の削除を請求するには、どのような方法があるのでしょうか?
主な方法は次のとおりです。
自分で所定のフォームなどから削除請求をする
1つ目は、自分で所定の削除請求フォームなどから削除請求をする方法です。
X(旧Twitter)などのSNSや爆サイなどのインターネット掲示板の多くは、削除請求フォームを設けています。
ここから誹謗中傷する内容の投稿を管理者に対して報告し、管理者がその投稿内容を確認して問題があると判断されれば、投稿が削除されます。
この方法は費用も掛からず、手軽に行うことが可能です。
しかし、管理者が必ずしも削除に応じてくれるとは限らず、削除請求が放置されてしまう可能性も低くありません。
弁護士が所定のフォームなどから削除請求をする
2つ目は、先ほど解説した所定の削除請求フォームから代理人である弁護士が削除請求をする方法です。
この方法では弁護士報酬がかかるものの、自分で削除請求をした場合と比較して真摯に対応されやすいかもしれません。
ただし、この場合であっても、無視される可能性や削除されない可能性は否定できません。
弁護士が代理したからといって、削除の義務が生じるわけではないためです。
弁護士が「送信防止処置依頼書」を送る
3つ目は、SNSやサイト運営者などに対して、代理人である弁護士が「送信防止処置依頼書」を送る方法です。
送信防止処置依頼書とは、SNSやサイトの運営者などに対し、プロバイダ責任制限法に基づいて正式に投稿の削除請求をする書面です。
この規定を理解するため、まずはSNSやサイト運営者の立場を簡単に確認しておきましょう。
まず、誹謗中傷を受けた被害者が投稿の削除を望む反面、投稿者側には表現の自由が存在します。
そのため、他者の権利侵害が存在しないにもかかわらずSNSやサイトの運営者が無断で投稿を削除すれば、運営者が投稿者から損害賠償請求をされる可能性が否定できません。
そこでこの送信防止処置依頼書を送付すると、原則としてSNSやサイト運営者は投稿者に対して、削除の意思確認を行います。
その後所定の期間内に反論がない場合や、反論があっても合理的な内容でない場合などには、記事を削除しても運営者は損害賠償の責任が免除されることとされています(プロバイダ制限責任法3条 )。
しかし、この書面を送付しても運営者側に削除に応じる義務が生じるわけではなく、記事の削除に応じるかどうかはSNSやサイトの運営者次第です。
そのため、この手続きを踏んだからといって、必ずしも投稿が削除されるわけではありません。
裁判上で削除請求をする
4つ目として、もっとも強力な方法は、裁判の提起です。
裁判所に削除を求める仮処分や訴訟を提起し、裁判所によって削除が相当であると認められた場合には、SNSやサイト運営者に対して投稿を削除させることが可能となります。
この方法はもっとも確実であり強力である一方で、期間や費用がかかりがちであることが難点です。
裁判で削除請求をするのであれば、後ほど解説する損害賠償請求など他の法的措置についても併せて検討することをおすすめします。
誹謗中傷投稿に対して焦って削除請求することはおすすめしない
名誉を毀損するような内容の誹謗中傷投稿がなされた場合、できるだけすぐに消してほしいと願うことでしょう。
しかし、その後の対応までを考えれば、焦って削除請求を行うことはおすすめできません。その理由は次のとおりです。
発信者情報開示請求が困難となるため
1つ目の理由は、投稿が削除されると発信者情報開示請求が困難となるためです。
発信者情報開示請求とは、投稿者の身元を特定するための手続きです。
インターネット上での誹謗中傷は、投稿者が誰であるのかわからないことが少なくありません。
そこで、相手に対して損害賠償請求などをするためには、損害賠償請求に先立って相手を特定する必要があります。
この相手を特定する手続きが、発信者情報開示請求です。
発信者情報開示請求が認められるためには、誹謗中傷の証拠がなければなりません。
しかし、投稿が削除されてしまうと証拠がなくなり、発信者情報開示請求が困難となります。
そのため、投稿の削除請求をするのであれば、あらかじめスクリーンショットなどで投稿の証拠を漏れなく残したうえで行う必要があります。
誹謗中傷がエスカレートする危険性があるため
投稿の削除請求をしたのみでは、問題の抜本的な解決に至らないことが少なくありません。
既存の投稿が削除されても、また新たな誹謗中傷投稿がなされる可能性があるためです。
また、被害者が企業である場合や著名人である場合などには、投稿者が削除された旨を騒ぎ立て、いわゆる炎上状態となるリスクもあるでしょう。
誹謗中傷に対して削除請求の他にとり得る法的措置
インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合には、削除請求の他にも次の法的措置が検討できます。
投稿の再発を防止するためにはこれらの法的措置を講じ、強固な対応をすることも一つの手です。
発信者情報開示請求
先ほども触れたように、インターネット上での誹謗中傷は、発信者が誰であるのかわからないことがほとんどでしょう。
しかし、相手がわからなければ、次で解説をする損害賠償請求や刑事告訴は困難です。
そのため、損害賠償請求や刑事告訴の前提として発信者情報開示請求を行います。
発信者情報開示請求はまず、X(旧Twitter)などのコンテンツプロバイダに対して行います。
しかし、コンテンツプロバイダは発信者の住所や氏名まで把握していないことが少なくありません。
そこで、まずはコンテンツプロバイダが保有する、IPアドレスやタイムスタンプなどの情報を入手します。
そのうえで、入手した情報をもとにKDDIやNTTなどのアクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、契約者の住所や氏名などの情報が判明するという流れです。
発信者情報の開示請求は、コンテンツプロバイダやアクセスプロバイダに対して任意で(裁判外で)行うこともできないわけではありません。
しかし、任意に開示請求をしても応じてもらえないことがほとんどでしょう。
そのため、裁判手続きによって請求をすることが一般的です。
なお、2022年(令和4年)10月1日に施行された改正プロバイダ制限責任法によって、コンテンツプロバイダへの開示請求とアクセスプロバイダへの開示請求を一つの手続きで行える「発信者情報開示命令」が新設されました。
これにより、開示までの期間短縮が期待されています。
損害賠償請求
インターネット上で誹謗中傷をされた場合には、損害賠償請求が選択肢の一つとなります。
損害賠償請求とは、相手の不法行為などによってこうむった損害を、金銭で支払うよう請求することです。
損害賠償請求をする場合、相手の身元が判明したら、まずは弁護士から裁判外で請求することが多いです。
被害者が相手の謝罪を受け入れ、相手から受け取る金額についても交渉がまとまれば、裁判に至ることなく終結します。
一方、相手が請求を無視したり不誠実な値切り交渉をしたりする場合も少なくありません。
交渉がまとまらなければ、裁判上での請求を検討します。
裁判では、諸般の事情を考慮のうえ裁判所が損害賠償請求の可否や金額を決めることになります。
刑事告訴
もう一つの法的措置は刑事告訴です。
刑事告訴とは、犯罪事実を捜査機関に申告し相手の処罰を求める意思表示です。
インターネット上での誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪などに該当する可能性があります。
しかし、これらの罪はいずれも「親告罪」であり、被害者からの告訴がなければ警察などが独自に捜査することができません。
そのため、相手の処罰を求める場合は刑事告訴が必要です。
誹謗中傷にまつわる刑事告訴は、告訴状を作成し警察に対して行うことが多いといえます。
告訴状が受理されると警察にて捜査がなされ、状況によっては相手が逮捕されます。
その後検察に事件が送られ、検察でも捜査がなされます。
その結果、検察が起訴か不起訴かを決め、略式起訴の場合を除き起訴となれば刑事裁判が開始されます。
この刑事裁判では、有罪・無罪や相手に課す刑罰などが決められるという流れです。
誹謗中傷投稿に対して削除請求やその他の法的措置をとりたい場合の流れ
誹謗中傷投稿に対して、削除請求や法的措置をとる場合の流れは次のとおりです。
誹謗中傷投稿の証拠を残す
誹謗中傷をする投稿がなされたら、まずは証拠を残します。
証拠を残す方法としては、投稿のスクリーンショットや印刷が一般的です。
投稿内容や日付、前後の流れ、URLなどが漏れなく記録されるように注意してください。
弁護士へ相談する
投稿の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。
相談を急ぐ理由は、対応が遅れればログが消えてしまい、開示請求が困難となる可能性があるためです。
ログの保存期間はプロバイダなどによって異なりますが、おおむね3か月から6か月程度といわれています。
法的措置を検討する
弁護士からのアドバイスを踏まえ、誹謗中傷に対してとるべき法的措置を検討します。
削除請求だけをするのか、まずは発信者情報開示請求を行うのか、損害賠償請求や刑事告訴を目指すのかなどがあります。
投稿の削除請求をする
投稿の削除を望む場合には、削除請求を行います。
投稿の削除請求には上で解説をしたとおり、さまざまな方法が存在します。
これらの中から、状況に応じて最適な方法を選択するとよいでしょう。
また、証拠となるスクリーンショットなどに漏れがないかどうか、削除請求の前に弁護士に確認してもらうことをおすすめします。
発信者情報開示請求をする
相手に対して法的措置を講じるのであれば、発信者情報開示請求を行います。
この手続きには法令や裁判手続きに関する専門的な知識が必要であるため、弁護士に依頼して行うことが一般的です。
法的措置をとる
相手の身元が判明したら、損害賠償請求や刑事告訴を行います。
なお、これらはいずれか一方を選択することもできますし、両方の措置をとることも可能です。
そのため、法的措置の内容については事案に応じて弁護士へ相談のうえ、最適な方法を検討するとよいでしょう。
お困りの際はAuthense法律事務所へご相談ください
自身に関する誹謗中傷する内容の投稿がなされた場合に、すぐに削除してほしいと考える方は少なくありません。
削除請求にはフォームからの請求や裁判上での請求などさまざまな方法がありますので、それぞれのメリットやデメリットを踏まえて検討するとよいでしょう。
ただし、焦って削除請求をすることはおすすめできません。
なぜなら、投稿が消えてしまえば発信者情報開示請求が困難となる可能性があるほか、一度削除してもまた新たな誹謗中傷がなされ、いたちごっことなる可能性もあるためです。
誹謗中傷への対応には削除請求のほか、損害賠償請求や刑事告訴が選択肢となります。
再発防止の観点でいえば、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置をとることが有効かもしれません。
そのため、削除請求のみに絞って検討するのではなく、他の法的措置も踏まえて対応を検討するとよいでしょう。
Authense法律事務所では、インターネット上での誹謗中傷問題の解決に力を入れています。
誹謗中傷問題にくわしい弁護士が親身になってお話を伺い、法的措置の可否や相手にとるべき法的措置を検討します。
初回のご相談は原則として45分無料です。
誹謗中傷の被害に遭ってお困りの際には、まずはお早めにお気軽にご相談ください。
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