誹謗中傷に対する損害賠償請求の流れ

インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合には、相手に対して損害賠償請求をすることが選択肢の一つです。
損害賠償請求とは、相手の不法行為などによって生じた損害を金銭で賠償するよう請求することです。

では、誹謗中傷をされた場合には必ず損害賠償請求ができるのでしょうか?
また、損害賠償請求をするにはどのような手順を踏めばよいのでしょうか?

ここでは、誹謗中傷をした相手への損害賠償請求についてくわしく解説します。

インターネット上での誹謗中傷に損害賠償請求はできる?

インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合には、投稿者に対して損害賠償請求をすることができるのか、順を追って解説していきます。

誹謗中傷とは

はじめに、誹謗中傷の定義を確認しておきましょう。

まず、誹謗中傷について法律上の定義はありません。
一般的には、悪口や根拠のない嘘を言って他人を傷つける行為などを、誹謗中傷と称することが多いでしょう。※

誹謗中傷に対して損害賠償請求が認められる場合

法律に誹謗中傷の定義はないうえ、「誹謗中傷の被害に遭ったら損害賠償請求ができる」などという明文規定もありません。
そのため、誹謗中傷をした相手に対して損害賠償請求が認められるかどうかは、ケースバイケースで判断されます。
一口に「誹謗中傷」といっても、その悪質性や影響の程度などは、さまざまであるためです。

そこで損害賠償請求が可能かどうかの判断基準となるのは、民法に存在する次の規定です。

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

つまり、相手の誹謗中傷によって名誉など法律上保護されるべき利益が侵害された場合には、損害賠償請求が認められるということです。

ただし、その誹謗中傷が法律上字保護されるべき権利の侵害にあたるかどうかを、自分で判断することは容易ではありません。
単純に言い回しや表現などのみで判断できるものばかりではないためです。

そのため、自己判断で諦めてしまうのではなく、まずは誹謗中傷問題に詳しい弁護士へご相談ください。

刑事罰に問えなくても損害賠償請求ができる場合がある

誹謗中傷に対しては民事で損害賠償請求をするほかに、刑事罰の対象とする方法もあります。
誹謗中傷が該当する代表的な罪状に名誉毀損罪があり、これは「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者が、その事実の有無にかかわらず」問われる罪です。

しかし、この「名誉毀損罪」に問うための要件と損害賠償請求が認められるための要件は、イコールではありません。
たとえば、刑法上の名誉毀損罪を成立させるには、「名誉を毀損」されたことが必要とされます。
つまり、誹謗中傷の投稿によって相手の社会的評価が低下した必要があるということです。

そのため、いわゆる「中の人」が知られていないVTuberを誹謗中傷した場合、名誉毀損罪に問うことは難しい場合が多いでしょう。
なぜなら、いくらVTuberを誹謗中傷しても、中の人の社会的評価には影響しないためです。
一方、この場合であっても、誹謗中傷によって中の人の名誉感情(自尊心など)が傷付いたのであれば、損害賠償請求が認められる可能性があります。

このように、刑事罰の対象となる要件と損害賠償請求が可能となる要件とは異なっています。
たとえ刑事罰に問うことが難しい場合であっても損害賠償請求はできる可能性がありますので、諦めずに弁護士へご相談ください。

インターネット上で誹謗中傷をした相手に損害賠償請求をする基本的な流れ

インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合、相手に対して損害賠償請求をするためには、どのような流れを踏めばよいのでしょうか?
基本的な流れは次のとおりです。

誹謗中傷の証拠を残す

誹謗中傷の被害に遭ったら、まずは投稿の証拠を残します。
スクリーンショットなどで証拠を残すことが多いでしょう。

スクリーンショットは、次の点が掲載されるように撮影します。

  • 投稿の内容
  • 投稿の前後関係
  • 投稿の日時
  • 投稿のURL

なお、スマートフォンからでもスクリーンショットは撮影できますが、その場合にはURLの表示が不完全となる可能性があります。
そのため、可能であればパソコンからスクリーンショットを撮影するとよいでしょう。

スマートフォンから撮影する場合には、URLが途切れていないか十分に確認することが必要です。

弁護士に相談する

投稿の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。
中でも、誹謗中傷トラブルを多く取り扱っている事務所へ相談することをおすすめします。
なぜなら、誹謗中傷への法的措置は時間との勝負であるといっても過言ではなく、経験豊富な事務所であればスムーズな対応がしやすいためです。

相談時には、撮影した証拠に不備がないかどうかについても確認してもらうとよいでしょう。

相手を特定する(発信者情報開示請求)

インターネット上での誹謗中傷では、相手が誰であるのかわからない場合が多いでしょう。
しかし、損害賠償請求をするためには、相手の身元が判明していなければなりません。
そこで必要となるのが、発信者情報開示請求などの手続きです。

発信者情報開示請求とは、相手に関する情報を開示するよう投稿の舞台となったSNS運営者などに対して請求する手続きです。
裁判外で任意に開示するよう請求することもできますが、任意での開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。
そこで、裁判上の手続きによって請求することが一般的です。

ただし、SNS運営者などのコンテンツプロバイダは、投稿者の住所や氏名まで把握していないことが多いです。
そのため、次の2段階の手続きが必要となります。

  1. 誹謗中傷の舞台となったSNSや掲示板の運営者(Twitterなど)に開示請求を行い、IPアドレスとタイムスタンプなどの情報を入手する
  2. 1で得た情報をもとに接続に使用されたアクセスプロバイダ(KDDIなど)に開示請求を行い、契約者の住所や氏名などの情報を入手する

なお、2022年(令和4年)10月1日に施行されたプロバイダ制限責任法の改正法により、新たに「発信者情報開示命令」手続きが新設されました。
これは、コンテンツプロバイダへの開示請求とアクセスプロバイダへの開示請求を、一本化して行うことのできる手続きです。

この手続きを用いることで、手続きに要する期間の短縮が可能となる場合があります。

裁判外で損害賠償請求をする

相手が特定できたら、まずは弁護士から書状を送るなどして裁判外で損害賠償請求をすることが一般的です。
相手が請求額を支払ったり、相手からの謝罪を受け入れ多少減額することで交渉がまとまったりすれば、この時点で解決となります。

裁判上で損害賠償請求をする

裁判外で損害賠償請求をしたところ、相手が請求を無視するなど不誠実な対応を取ることもあります。
この場合には、裁判上での損害賠償請求へと移行することとなるでしょう。

裁判へ移行すると、諸般の事情を考慮のうえ裁判所が損害賠償請求の可否や金額を決めます。

誹謗中傷をした相手に損害賠償請求をする際の注意点

誹謗中傷をした相手に対して損害賠償請求をする際には、次の点に注意しましょう。

投稿の削除請求は慎重に行う

投稿の削除請求とは、SNSや掲示板の運営者に対して、誹謗中傷の書き込みを削除するよう求めることです。
所定の削除依頼フォームから請求する方法のほか、弁護士が書面を送って請求する方法や、裁判上で請求する方法などが存在します。

誹謗中傷の内容によっては、その投稿が多くの人の目に触れる前に消してほしいと願うことでしょう。
しかし、損害賠償請求を予定しているのであれば、投稿の削除請求は慎重に行わなければなりません。
なぜなら、削除請求が認められて投稿が消えてしまうと誹謗中傷の証拠がなくなってしまい、発信者情報開示請求などが困難となるためです。

そのため、削除請求をする際にはあらかじめ投稿の証拠を漏れなく残し、弁護士に確認を受けたうえで行う必要があります。

できるだけ早期に対応する

誹謗中傷に対して損害賠償請求を希望する場合には、できるだけ早期に対応する必要があります。
なぜなら、対応に時間を要すれば投稿のログが消えてしまい、発信者情報の開示を受けることが困難となるためです。
ログの保存期間はプロバイダによって異なりますが、おおむね3か月から半年程度とされていることが多いです。

無理に自分で対応しない

誹謗中傷への対応を無理に自分で行うことはおすすめできません。
なぜなら、相手に対して直接反論すれば火に油を注いでしまい誹謗中傷がエスカレートするおそれがあるほか、相手が投稿やアカウントを消してしまい法的措置が困難となる可能性もあるためです。

また、自分で対応しようと対応方法を調べているうちに時間を要してしまい、ログの保存期間を過ぎてしまう可能性もあるでしょう。

誹謗中傷への法的措置には、法令や裁判手続きに対する深い理解と経験が不可欠です。
自分で行い、希望した結果を得ることは容易ではありません。
そのため、無理に自分で対応せず、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。

損害賠償請求の前に相手の特定が必要となる

先ほども解説したように、誹謗中傷をした相手が誰であるのか不明な場合には、損害賠償請求に先立って相手を特定しなければなりません。

相手を特定するのにかかる期間は、おおむね3ヶ月から10か月程度です。

そのため、すぐに損害賠償請求ができるわけではなく、長期戦になりがちであることを把握しておいてください。

インターネット上での誹謗中傷に対して損害賠償請求以外にとり得る法的措置

インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合、損害賠償請求以外に次の対応が検討できます。
なお、これらのうち一つを選ぶべきということではなく、複数の法的措置をとることも可能です。

ただし、複数の措置をとれば、それだけ費用や時間がかかります。
そのため、弁護士とよく相談のうえ、どのような法的措置をとるのか検討するとよいでしょう。

刑事告訴

誹謗中傷は、刑法上の「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などに該当する可能性があります。
これらは、被害者の告訴がなければ捜査が開始できない「親告罪」です。
そのため、これらの罪で相手に前科をつけるには、まず刑事告訴をしなければなりません。

刑事告訴とは、犯罪の事実を捜査機関に申告し、相手の処罰を望む意思表示です。
誹謗中傷にまつわる刑事告訴は、警察に対して告訴状を提出することによって行います。

なお、告訴状の受理後は、捜査が警察や検察に委ねられることとなります。
被害者がいくら望んでも捜査の結果によっては不起訴となったり無罪となったりすることもあるため、この点を念頭に置いて置く必要があります。

削除請求

削除請求とは、多くの場合、誹謗中傷の投稿を削除するようSNSやインターネット掲示板の運営者に対して請求することをいいます。
投稿内容の拡散を避けたい場合には、削除請求も有力な選択肢の一つとなるでしょう。

ただし、先ほども解説したように、削除請求は慎重に行う必要があります。
投稿が削除されれば誹謗中傷の証拠が消えてしまうためです。

また、単に削除請求をしたのみであれば、たとえ削除が認められてもさらに書き込みがなされ、いたちごっことなるかもしれません。
そのため、削除請求をするのであれば単体で行うのではなく、損害賠償請求などと併せて行うと効果的でしょう。

Authense法律事務所へ損害賠償請求を依頼した場合にかかる費用

Authense法律事務所では誹謗中傷問題の解決に力を入れており、初回のご相談は60分間無料でお受けしています。
その後、損害賠償請求をご依頼頂いた場合の報酬額は次のとおりです。

  • 着手金:220,000円(税込)
  • 成功報酬:得られた経済的利益の22%(税込)

また、発信者情報開示請求が必要である場合には、これに別途報酬がかかります。
具体的な報酬はご依頼前に別途提示しますので、お困りの際はまずお気軽にご相談ください。

お困りの際はAuthense法律事務所へご相談ください

インターネット上で誹謗中傷の被害に遭った場合、「相手は匿名なのでどうしようもない」などと泣き寝入りをしてしまう人もいるでしょう。
しかし、たとえ投稿者が匿名であったとしても、相手の特定や損害賠償請求ができる可能性があります。

ただ、損害賠償請求などが可能かどうか自分で判断することは容易ではありません。
そのため、誹謗中傷の被害に遭ったらまずは弁護士へご相談ください。

また、相談はできるだけ早く行うことをおすすめします。
なぜなら、時間が経って投稿のログが消えてしまうと法的措置が困難となるためです。

Authense法律事務所では、誹謗中傷トラブルの解決に力を入れています。
初回のご相談は60分間無料です。
誹謗中傷の被害に遭ってお困りの際や相手に対して損害賠償請求をしたい場合などには、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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MERIT.01

SNS・掲示板サイトの誹謗中傷に精通した弁護士チームが案件対応

アクセスプロバイダ、コンテンツプロバイダへの開示請求において、必要な証拠集めを「ログが保存されている期間内」に迅速に進めるためには、手続きに関する知識と経験が必要です。
その点、Authenseでは誹謗中傷案件を数多く取り扱う弁護士がチームを組んで対応するので安心です。

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MERIT.02

来所が一切不要
ご依頼から案件終了まで完全オンライン

全国対応可能。どちらにお住まいの方でも、オンラインで案件終了まで完結できます。
もちろん、ご希望に応じて来所いただくことも可能です。

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MERIT.03

初回相談60分間無料
自身で対応したい方にも丁寧にサポート

どなたでも、初回相談は60分まで無料で受け付けております。
誹謗中傷への対応では、証拠をきちんと押さえておくことがとても大切です。画面のスクリーンショット時に必ず含めなければいけない項目がコンテンツプロバイダごとに存在しますので、そのポイントも解説します。

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(千葉県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法務研究科修了。企業法務を中心に活動。ベンチャー企業から上場企業まで幅広く支援。エンタメ業界、バイオ・繊維業界、ファッション業界、インターネット権利侵害問題に注力、豊富な実績を有する。離婚・相続問題、刑事事件、交通事故被害などの一般民事案件の実績も多数。
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