知らない間に違法行為。自首をサポートし立件を免れた事例。
相談までの経緯・背景
依頼者A男さん(40代・男性)は、とある投資セミナーに参加しました。
セミナーでは「IT導入補助金の申請を手伝ってくれる会社」としてX社を紹介されました。
自ら経営する企業のホームページをX社に作成してもらうことで補助金の交付を受けられると聞いたA男さんは、X社に補助金の申請を依頼し、合計250万円の交付を受けました。
しかし数年後、ニュースでX社の幹部がIT導入補助金の不正受給を理由に逮捕されたことを知りました。
ニュースで報じられていた不正受給の手口がA男さんの交付申請の方法と酷似していたことから、A男さんが行った補助金受給も違法だったのではないかと思いに至りました。
不安に思ったA男さんは、当事務所にご相談にお見えになりました。
解決までの流れ
当時、IT補助金詐欺が明るみに出始めた時期でした。
そのため、まだ警察も含めて詳細について知る人が少なかったので、過去に数多く発生した持続化給付金の不正受給の仕組みを調べるところから始めました。
並行して、A男さんから不正受給に至るまでの経緯、背景を詳しく聞き取りました。
A男さんは、- 自身の行為が不正受給に当たるとは知らなかった
- 犯罪行為に当たるのなら、すぐにでも自首する用意がある
- 受給したお金も返還する
- 捜査にも協力する
とのことでした。
今後の対応や進め方について打ち合わせする際にはリスクについても説明しました。
この段階ではまだ警察の捜査はA男さんに対して進んでいないことが考えられ、A男さんを自首させることで逮捕されてしまう危険があったためです。
それでもなお「進めてほしい」とのことでしたので、自首報告書の作成を進めました。
報告書には、IT導入補助金を受給することが違法だとは認識していなかったこと、すぐに不正に受給してしまった補助金を返金すること、捜査には全面的に協力することなどを落とし込みました。
さらにA男さんにIT導入補助金事務局に連絡を取らせ、返金手続きを進めてもらいました。
結果・解決ポイント
依頼を受けてから1週間程度で急ぎ自首報告書を作成しました。
警察がA男さん逮捕に向けて捜査を進めている可能性があり、自首させるためには逮捕されてからでは遅かったためです。報告書の完成後、A男さんは最寄りの警察に出頭。
自首報告書に詳細を記載していたことと、反省の意ともに捜査機関への協力を申し出たことで、事件化することはありませんでした。
後日、警察からA男さんに連絡があり事情聴取に応じましたが、立件されることはありませんでした。逮捕されずに済んだ背景には、当人が反省の意を示していた、自らの行為が不正行為に当たるとの認識がなかった、受給したお金を返還するために行動を起こした、そしてこれらの内容を詳細にまとめた報告書を手に自ら警察署に出頭したことが挙げられるでしょう。
A男さんのように、「もしかしたら違法なことをしてしまったかもしれない」と不安をお抱えの方は、早急に当事務所までご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら