無免許運転

無免許運転とはどのような犯罪?

無免許運転とは、運転免許を受けていない人が自動車や原動機付自転車を運転することをいい、道路交通法で禁止されています。

これらの無免許運転が判明するのは、多くの場合、交通事故や交通違反を起こした際、警察官に運転免許証を確認されることによります。

道路交通法第64条第1項(無免許運転の禁止)

何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

これに対し、運転する自動車等の種類に応じた運転免許を受けているにもかかわらず、その運転免許証を携帯せずに運転をした場合は「免許証不携帯」となり、無免許運転とは区別されています。

道路交通法第95条第1項(免許証の携帯及び提示義務)

免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。

無免許運転の様々なケース

「無免許運転」という言葉のイメージからは、一度も運転免許を受けたことのない若年者が、自動車や原動機付自転車を運転してしまうようなケースを連想するかもしれません。
しかし、無免許運転に該当するのは、「一度も運転免許証を取得したことがない人が自動車や原動機付自転車を運転する」というケースだけではありません。
以下のような場合も、無免許運転に該当します。

  1. 取り消し無免
    運転免許を取り消され、再度運転免許の交付を受ける前に運転する
  2. 停止中無免
    運転免許の停止期間中か運転免許の有効期限切れ中に運転する
  3. 免許外運転
    運転免許対象外の車種を運転する
    例:普通自動車運転免許しか持っていないのに大型トラックを運転する、第二種運転免許を持っていないのにバスやタクシーで旅客運送運転を行う等

他にも、近年は、高齢者が運転免許証を自主返納したにもかかわらず無免許運転をしてしまうケースも増えています。

注意すべきは、運転免許が取り消された人や、運転免許の停止期間中の人が運転した場合も、無免許運転に該当するということです。
このことを知らずに、「少しぐらいなら大丈夫だろう」と運転をし、警察に検挙されてしまうケースが少なくありません。
後述の通り、無免許運転をした場合の処分は重いです。

特に、運送業や営業職の方、また通勤や子どもの送迎に自動車を使う方など日常的に自動車を運転する必要のある人が、このことを知らないまま運転してしまうと、生活に大きな支障が出てしまいますので、注意が必要です。

なお、道路交通法上の「自動車」には総排気量50ccを超える二輪車(いわゆるオートバイ)も含まれるため、条文上の他の要件を満たせば、オートバイを運転していても無免許運転に該当します。

無免許運転の罰則について

無免許運転は、刑事処分と行政処分の対象となります。

無免許運転の法定刑

無免許運転の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

道路交通法第117条の2の2第1号

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該運転免許を受けないで(法令の規定により当該運転免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者

交通違反の点数と行政処分

無免許運転の違反点数は25点です。
交通違反の前歴がなくとも、取得している運転免許は取消処分(いわゆる一発免取)となります。
その上、運転免許を2年間取得することができず(欠格期間)、2年経過したのち一から教習所に通って、運転免許を取得しなければなりません。
このように、無免許運転をすると重い処分が科されてしまいます。

なお、これらの違反点数や欠格期間は、あくまで無免許運転単体のものです。
無免許運転は他の交通違反や交通事故によって判明することが多いため、別の違反行為の点数が加算されることにより、欠格期間がさらに長くなることもあります。

無免許運転で検挙された後の流れ

同じ無免許運転でも、初犯で前歴のない場合と、過去に悪質な交通違反の前歴があるか、当該運転の時点で同時に別の交通違反を犯していた場合とでは検挙された後の流れが異なります。

初犯で前歴がない場合

無免許運転の初犯であり、過去に交通違反の前歴がない場合は、無免許運転が発覚しても逮捕されない可能性があります。

悪質な交通違反の前歴がある場合

無免許運転で人身事故を起こしたり、飲酒運転をしていたり、過去に悪質な交通違反の前歴があった場合は、現行犯逮捕される可能性が高いといえます。
警察に逮捕された場合、3日間(72時間)以内に釈放される可能性がある一方、検察による勾留請求が認められれば、その後最大で20日間勾留される可能性もあります。

無免許運転で実刑になることはあるか

無免許運転が初犯の場合は、不起訴処分や、略式裁判による罰金刑となる可能性もあります。
また、起訴され、公判請求された場合でも、執行猶予判決となる可能性もある一方で、実刑判決(執行猶予なしで刑務所に収容される懲役刑)を受けることがありえます。
過去に無免許運転の前科が複数あったり、無免許運転で執行猶予中に再度無免許運転を行ったりした場合、実刑判決となる可能性が高くなります。

無免許運転の弁護内容とポイント

無免許運転をしてしまった方のための弁護活動や、その際のポイントについて解説します。

事実関係に争いがない場合

逮捕・勾留された場合、弁護士は、検察官に意見書を提出し、本人に逃亡・罪証隠滅のおそれがないことを示して身柄拘束からの早期の解放を目指します。
同時に、運転行為自体の悪質性や被害の有無・程度について検察官を説得し、不起訴処分の獲得を目指した弁護活動を行います。

また、起訴され公判請求された場合でも、本人に十分な反省の気持ちがあることや、再犯のおそれがないことを裁判官に示すことで、執行猶予判決や刑の減軽を受けることができる場合があります。
弁護士は、ケースに応じて、贖罪寄付、本人による自動車の処分、本人を監督してくれる家族の確保等、本人がやるべきことを具体的にご提案することができます。

事実関係に争いがある場合(冤罪・否認事件)

免許の期限切れに気付かず運転するいわゆる「うっかり失効」の場合、不起訴処分となることがあります。
しかし、うっかり失効であったにもかかわらず、故意に無免許運転をしたと疑われることもありえます。
このような疑いをかけられた場合、あくまでも失効に気付かず運転していたものであり、無免許運転の故意がないことを主張立証することが重要となります。
弁護士にご依頼いただければ、検察官に対し、ポイントを押さえた主張立証をすることが可能です。

判決に不服がある場合(控訴の申立て)

無免許運転により裁判となり、その判決の内容が不服である場合、控訴を申し立てるという選択肢があります。
例として、執行猶予を求めていたにもかかわらず第一審で実刑判決となり、控訴審で執行猶予判決を目指すというケースが挙げられます。
控訴の提起ができる期間は、判決が出た日の翌日から14日以内となっているため、控訴するかどうかについては、早めの決断が求められます。
控訴審では、第一審と異なる弁護士を選任することも可能です。
異なる弁護士を選任したい場合には、なるべく早くご依頼いただくと、弁護士も十分な準備をすることが可能となり、皆様のお役に立つことができます。

弁護士になるべく早く依頼するほうがよい理由

警察に逮捕された場合、逮捕直後に面会ができるのは弁護士だけです。
また、無免許運転で逮捕された後、勾留の回避や不起訴となる可能性を高めるためには、早い段階で弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
特に、人身事故で被害者がいる場合には、早期に示談交渉を行い、示談を成立させることが刑事処分に影響します。
ご自身やご家族が無免許運転をしてしまった場合は、捜査機関への対応実績豊富なAuthense法律事務所までお早めにご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。同志社大学法学部法律学科卒業、同志社大学法科大学院修了。離婚・相続といった家事事件や、不動産法務、企業法務など幅広く取り扱うほか、労働問題にも注力。弁護士として少年の更生の一助となることを志向しており、少年事件にも意欲的である。法的トラブルを客観的に捉えた的確なアドバイスの提供を得意としている。
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