コラム

公開 2022.12.13 更新 2024.04.20

誹謗中傷への対策は?自分ができることは?解決策や法的措置について弁護士が解説

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SNSなどでの誹謗中傷が、社会問題となっています。
では、誹謗中傷を避けるための対策はあるのでしょうか?

今回は、誹謗中傷への対策や誹謗中傷をされた場合にとることができる法的措置などについて、弁護士がくわしく解説します。

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誹謗中傷とは

広辞苑によれば、誹謗中傷とは、根拠のない悪口を言って相手を傷つけることです。
ただし、「誹謗中傷」は法律用語ではありません。

そのため、誹謗中傷がなされたからといって、直ちに何か犯罪が成立したり、損害賠償請求をしたりすることができるというわけではありません。

SNS上で誹謗中傷をした場合、追求できる可能性のある法的責任は次のとおりです。

誹謗中傷と「名誉毀損罪」

刑法上、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず」名誉毀損罪に該当するとされています。

つまり、誹謗中傷が次の3つの要件を満たす場合には、名誉毀損罪に問える可能性が高いでしょう。

  1. 「公然と」に該当すること:大勢の人がいる前での発言や、SNS上での発言など、他者が聞くことや見ることのできる場での発言であることです。
  2. 「事実を適示し」に該当すること:「A氏は不倫をしている」「A氏は会社の金を横領している」など、本当であるようなことを発言することです。なお、ここでいう「事実」とは「本当のこと」という意味ではなく、実際にはA氏が不倫や横領をしていなかったとしても、この要件を満たします。
  3. 「人の名誉を毀損」したこと:発言により相手の名誉を毀損したことです。

なお、それぞれの定義は、次のとおりです。

「公然」:不特定または多数の者が直接に認識できる状態のこと

  • 「事実を適示」:具体的な事実内容を示すこと。ただし、内容が真実であることまでは問われません
  • 「人の名誉を毀損」:相手の社会的地位を低下させること

これらをまとめると、たとえばYouTubeのコメント欄や、他の人が見ることができるX(旧Twitter)などのSNS上で「A氏は不倫をしている」「A氏は裏口入学をした」などと発言することは、名誉毀損罪に該当する可能性が高いでしょう。
一方、ダイレクトメールなど他者が見ることのできない場での誹謗中傷は、原則として名誉毀損罪に問うことができません。

名誉毀損罪の罰則は、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

誹謗中傷と「侮辱罪」

刑法上の侮辱罪とは、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者」が問われる罪です。
先ほど解説した名誉毀損罪とは異なり、法文上、事実の摘示がなくても該当することになります。

たとえば、SNS上など他の人が見ることのできる場で「馬鹿」「ぶす」「キモい」などと発言することは、侮辱に該当する可能性があります。

侮辱罪の罰則

侮辱罪の法定刑は、以前は「拘留または科料」のみでした。
しかし、令和4年(2022年)7月7日からは、「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」へと引き上げられています。

これは、テレビ番組に出演していた女性がSNSでの誹謗中傷を理由に自殺をした事件を受け、侮辱罪の法定刑が軽すぎるとの見方が強まったためです。

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誹謗中傷と「損害賠償請求」

損害賠償とは、相手の行為により自分が受けた損害を賠償してもらうことです。
誹謗中傷により損害を被った場合には、相手に対して損害賠償請求をすることが選択肢の一つとなります。

なお、上で紹介をした「名誉毀損罪」や「侮辱罪」は刑法を根拠とするものである一方、損害賠償請求は民事上の請求です。
そのため、損害賠償請求が認められるかどうかの判断基準などは、名誉毀損罪や侮辱罪に該当するかどうかの判断基準などと必ずしも全く同じというわけではありません。

ネット上で誹謗中傷をされた場合の解決策

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インターネット上で誹謗中傷をされたら、どのように対応すればよいのでしょうか?
主な対応策は、次のとおりです。

削除請求をする

まず、SNS運営企業などに対してコメントの削除請求をすることが考えられます。
ただし、削除請求をする際には、次の2点に注意しなければなりません。

自分での削除請求は容易ではない

SNSによっては削除請求のフォームが設けられており、削除請求をすること自体は難しくない場合もあります。

ただし、請求が認められ、実際に削除をしてもらうことは容易ではありません。
なぜなら、SNSなどの投稿は投稿者の「表現の自由」との兼ね合いがあり、SNS各社としては自社の判断で削除をすることをできるだけ避けようとする傾向にあるためです。

また、フォームに「削除されるべきである理由」を明記するような欄がある場合、説得的に法律論として記載するほうがより効果的ですが、このような法的に説得的な文章を構成することは容易ではありません。

削除されると他の対応が困難になる

次で解説する損害賠償請求や刑事告訴を行う可能性があるのであれば、投稿の削除請求をするかどうかについて慎重に検討するべきでしょう。

なぜなら、請求が認められて投稿が削除されれば、証拠保全をしていない場合、その後損害賠償請求や刑事告訴をすることが極めて困難となってしまうためです。

損害賠償請求をする

2つ目の対応策は、相手に対して損害賠償請求をすることです。
損害賠償請求とは、誹謗中傷によって自分が受けた損害を、金銭で支払うよう請求することです。
損害賠償請求が認められれば、以後の誹謗中傷への抑止力へもつながるでしょう。

なお、SNSは表面上匿名のことが多く、誹謗中傷をしている相手が誰であるのか不明である場合も少なくありません。

そのため、損害賠償請求をする前段階として、相手を特定する必要があります。

相手を特定するためには、SNS運営企業などと相手が接続(投稿)に使用しているプロバイダから情報開示をしてもらうステップが必要となるので、早期に弁護士へご相談ください。

刑事告訴をする

3つ目の対応策は、相手の行為が先ほど解説した「名誉毀損罪」や「侮辱罪」など刑法上の罪に該当するとして、刑事告訴をすることです。
刑事告訴をして罪が確定すれば、相手に対して刑罰が科されます。

ただし、刑事告訴をする際にも損害賠償請求をする際と同じく、先に相手を特定することが強く推奨されます。
また、警察は人命にかかわる事件など緊急性の高い事件を多数抱えている場合もあり、誹謗中傷などへの対応を優先してもらいづらいという場合も想定されます。

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誹謗中傷を避けるための対策

誹謗中傷を避けるためには、どのような対策をとればよいのでしょうか?
主な対策は次のとおりです。

誹謗中傷されたら早期に対応する

誹謗中傷を予防するための最大の対策は、誹謗中傷をされたら早期に法的対応をとることです。

誹謗中傷をする側は犯罪行為であることなどを深く考えることなく、安全圏から何となく攻撃しているだけのケースが少なくありません。
そのため、誹謗中傷に対して発信者情報開示請求などの法的対応を断固として行うことで、発信者情報開示請求の対象となった者以外からの誹謗中傷も止む可能性もあります。

ネット上で誹謗中傷された場合の対策

インターネット上で誹謗中傷をされた場合に、まず行うべき対策は次のとおりです。

URLを含むスクリーンショットなどで証拠を残す

誹謗中傷に対して刑事告訴をする場合であっても損害賠償責任を追求する場合であっても、証拠の存在が不可欠です。
相手が不都合な投稿を削除する前に、スクリーンショットを撮るなどして証拠を残しておきましょう。

なお、スクリーンショットを撮影する際には、相手のアカウント名、URL、投稿内容などの情報が確認できるよう、漏れなく撮影してください。
また、X(旧Twitter)などでは投稿にはアカウント名(表示名)の後ろにユーザー名(「@」から始まるアカウント固有の識別名)が表示されるため、アカウント名が長いとユーザー名がすべて表示されません。
そのため、投稿とあわせて相手のプロフィールページなど、ユーザー名が最後まで表示されているページについてもスクリーンショットを撮っておくとよいでしょう。

その他撮影が必要な箇所については、弁護士へご相談ください。

できるだけ早期に対応する

誹謗中傷への対策は、できるだけ早期に行いましょう。
なぜなら、X(旧Twitter)などのSNSやプロバイダでのログ保存期間が過ぎてしまうと、誹謗中傷への対応が難しくなるためです。

ログの保存期間は各社で異なりますが、おおむね3か月から6か月程度であると言われています。

弁護士に相談する

誹謗中傷がなされたら、早期に弁護士へ相談しましょう。

相手へ反論するなど無理に自分で対応しようとすれば、逆上した相手からさらなる誹謗中傷がなされる危険性があるほか、損害賠償請求などの場面で不利となる可能性があるためです。

誹謗中傷について弁護士へ相談するメリット

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誹謗中傷について早期に弁護士へ相談する主なメリットは、次のとおりです。

法的手続きがスムーズになる

誹謗中傷への法的対応には、開示請求などいくつかの段階を踏まなければなりません。

誹謗中傷問題への対応に強い弁護士へ相談することで、これらの対応がスムーズとなります。

スピーディーな対応が可能となる

先ほど解説したように、SNSやプロバイダのログ保存期間を過ぎてしまうと、誹謗中傷への対応が困難となります。
早期に弁護士へ依頼をすることで、ログの保存期間内にスピーディーに対応してもらえる可能性が高くなるでしょう。

自分自身で問題と向き合い続ける必要がなくなる

誹謗中傷問題へ自分で対応しようとすれば、対応に必要な期間中、自分を誹謗中傷する投稿や自分を誹謗中傷している相手と向き合い続けなければなりません。
このことは、非常にストレスになってしまいます。

弁護士へ対応を依頼すれば、自分はいったんSNSから離れることも可能となり、誹謗中傷と向き合い続ける必要はなくなります。

再発防止につながる

誹謗中傷をしている人の中には、匿名であることを隠れ蓑として、軽い気持ちで投稿している人も少なくありません。
実際に、対象者が弁護士に依頼をするなど対応への本気を見せたとたんに誹謗中傷を止めるケースが多々見受けられます。

そのため、弁護士へ依頼して開示請求を行いそのことを公表することで、以後の誹謗中傷への抑止効果が期待できるでしょう。

まとめ

誹謗中傷について、事前にできる対策には限りがあります。

発信力がある人であれば誹謗中傷を完全に予防することは難しいものの、いざ誹謗中傷を受けた際にすみやかに対応することで、以後の抑止効果が期待できるでしょう。

Authense法律事務所では誹謗中傷対策に力を入れており、SNSへの投稿削除や発信者情報の開示、損害賠償請求などの法的措置を数多く取り扱っております。

また、誹謗中傷を頻繫に受けている場合には、弁護士へすぐに依頼ができるホットラインの開設にも対応可能です。

誹謗中傷への対策には、投稿を見つけ次第、いかに早期に適切な対応をするかがカギとなります。
初回の60分は無料で弁護士へ相談できますので、誹謗中傷を受けてお困りの際には、ぜひAuthense法律事務所までお早めにご相談ください。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
Authense法律事務所の弁護士が監修、法律問題や事例についてわかりやすく解説しています。Authense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」をミッションとして、ご依頼者の期待を超える弁護士サービスを追求いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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