コラム

公開 2023.03.29 更新 2023.10.17

名誉毀損とは?名誉毀損罪の成立要件や訴える流れを弁護士がわかりやすく解説

誹謗中傷_アイキャッチ_18

インターネット上での名誉毀損や誹謗中傷が、社会問題となっています。
積極的に情報発信をする人にとって、名誉毀損の被害を避けて通ることは難しいとさえいえるでしょう。

では、もし名誉毀損の被害にあってしまったら、どのように対応すればよいのでしょうか?
今回は、刑法上の名誉毀損罪が成立する要件や相手を名誉毀損で訴える場合の流れなどについて、弁護士がくわしく解説します。

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名誉毀損とは

名誉毀損とは、相手の社会的評価を下げる行為です。
名誉毀損をした場合には損害賠償請求の対象となるほか、刑事罰の対象となる可能性もあります。

刑法には「名誉毀損罪」が存在し、その内容は次のとおりです(刑法230条)。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する

具体的な内容は、次でくわしく解説します。

名誉毀損罪の成立要件

名誉毀損罪が成立するためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
それぞれ解説していきましょう。

  • 「公然と」であること
  • 「事実を摘示」したこと
  • 「人の名誉を毀損」したこと
  • 同定可能性があること
  • 違法性阻却事由がないこと

「公然と」であること

名誉毀損罪が成立するためには、その行為が「公然と」行われたことが必要です。

そのため、たとえば他者に聞こえない個室内で行われた発言や、通常は他者が見ることのない1対1のダイレクトメールなどでされた発言などは、名誉毀損罪に該当しません。
一方、公衆の面前でされた発言や、不特定多数が目にする可能性のあるSNSへの投稿やブログなどのコメント欄、インターネット掲示板への書き込みなどは、「公然と」の要件を満たす可能性が高いでしょう。

「事実を摘示」したこと

名誉毀損罪の成立には、「事実の摘示」が要件とされます。

ここでいう「事実」とは、「本当のこと」という意味ではありません。
虚偽の内容であったとしても、具体的な事実を示して投稿などをしたのであれば、名誉毀損罪が成立し得ます。

たとえば、「A田太郎氏はバカだ」という投稿は何ら具体的な事実を摘示していないため、名誉毀損罪には該当しません(ただし、「侮辱罪」など他の罪に該当する可能性はあります)。
一方、「A田太郎氏は覚せい剤をやっている」という投稿は、事実の摘示に該当するため、名誉毀損罪にあたる可能性があるでしょう。

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「人の名誉を毀損」したこと

名誉毀損罪が成立するには、「人の名誉を毀損」したことが必要です。
人の名誉を毀損とは、相手の社会的評価を下げることをいいます。

そのため、仮に投稿によってプライドや自尊心といった「名誉感情」が傷付けられたものの、社会的評価が下がったとまではいえない場合には、名誉毀損罪は成立しません。
なお、「人」には法人も含まれると解されるため、企業などに対する発言や投稿であっても名誉毀損罪が成立する可能性があります。

同定可能性があること

名誉毀損罪が成立するためには、同定可能性が必要であるとされています。
同定可能性とは、その投稿が誰を指しているのかわかることを意味します。

なお、これは「〇田一郎」など一部を伏せ字にしたからといって、同定可能性がないといえるわけではありません。
仮に伏せ字やイニシャルであっても、見た人が誰のことであるの判別できるような場合には、同定可能性があると判断される可能性があります。

違法性阻却事由がないこと

違法性阻却事由とは、仮に「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合であっても、一定の場合には罰しないとされる特別な事情です。

名誉毀損罪における違法性阻却事由は、次のとおりです。
これらをすべて満たす場合には、名誉毀損罪は成立しません。

  1. 公共の利害に関する事実に係るものであること
  2. その目的が専ら公益を図ることにあったと認められること
  3. 真実であることの証明があったこと

代表的なものとしては、政治家の汚職事件についての報道などでしょう。
汚職をしていたという事実が報じられれば社会的評価が低下しますが、違法性阻却事由に該当する可能性が高いため、報道した新聞社や雑誌社、テレビ局などは、名誉毀損罪には問われないということです。

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名誉毀損に対してとれる法的措置

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名誉毀損がされた場合、相手に対してとれる法的措置にはどのようなものがあるのでしょうか?
主な法定措置は、次の2つです。

なお、これらの2つの法的措置をいずれもとる場合もあれば、いずれか一方のみの措置をとる場合もあります。
どの法的措置をとるのかは、名誉毀損の内容や被害者が求める結果などによって異なりますので、弁護士へ相談のうえ検討するとよいでしょう。

刑事告訴をする

1つ目の方法は、相手を上で説明した「名誉毀損罪」などで告訴することです。
名誉毀損罪は親告罪とされており、被害者が告訴をしなければ、相手を罪に問うことはできません(同法232条)。

実務上、名誉毀損の場合、告訴は警察に対して行うことがほとんどです。
刑事告訴が受理されると、警察などで事件の捜査がなされます。
名誉毀損罪の場合には逮捕がされることはさほど多くないものの、逃亡の恐れなどがあると判断された場合には、逮捕されることもあります。

その後、検察に事件が送致されます。
検察で取り調べなどが行われた結果、起訴か不起訴かが決定され、起訴となった場合には刑事裁判が開始されます。なお、略式起訴の場合、公開の裁判は開かれません。

告訴状が受理される可能性を高めたい場合には、刑事告訴は弁護士とともに行うとよいでしょう。

損害賠償請求をする

もう1つの方法は、相手に対して損害賠償請求をすることです。
損害賠償請求とは、相手の行為によって被った損害(精神的苦痛など)を、金銭で賠償してもらう請求です。

なお、損害賠償請求は民事手続で、刑事手続きとは別であり、たとえ損害賠償請求が認められても、相手の刑事責任も当然に求められるわけではありません。

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名誉毀損に対して法的措置をとる際の一般的な流れ

名誉毀損に対して法的措置をとりたい場合には、どのような流れを踏めばよいのでしょうか?
基本的な流れは次のとおりです。

証拠を残す

名誉毀損の投稿を見つけたら、まずは投稿の証拠を残しましょう。
たとえば、名誉毀損の投稿をスクリーンショットするなどです。

スクリーンショットは、次の内容が写るように撮影します。

  • 名誉毀損投稿の全文
  • 投稿日時
  • 投稿のURL
  • 名誉毀損の舞台となったSNSなどが登録制などの場合には、相手のアカウント名やユーザー名

なお、スマートフォンの場合には、一部の情報が表示されない場合があります。
その際には、スクリーンショットではなく、WebページのPDF等のデータでの保存も検討しましょう。

弁護士に相談する

名誉毀損投稿の証拠を残したら、できるだけすぐに弁護士に相談しましょう。
なお、Authense法律事務所では、名誉毀損に関する初回のご相談は無料です。

相手を特定する

名誉毀損がインターネット上で行われた場合には、相手が誰であるのかわからないことが多いでしょう。
相手が不明なままでは、相手に対して損害賠償請求をすることはできません。
また、刑事告訴の局面でも、多くの場合予め相手が誰であるか特定してから行うことが多いです。

そのため、刑事告訴や損害賠償請求の前段階として、まず相手が誰であるのか特定する必要があります。
相手を特定するためには、次の二段階の手続きが必要となることが一般的です。

  1. ステップ1:X(旧Twitter)社などコンテンツプロバイダに開示請求をして、相手のIPアドレスとタイムスタンプなどを入手する。
  2. ステップ2:入手したIPアドレスとタイムスタンプの情報をもとに、KDDIなどサービスプロバイダに開示請求をして、契約者の住所氏名などの情報を入手する。

しかし、X(旧Twitter)社やKDDI社などに任意で情報開示請求をしても、開示をしてもらえないことが一般的です。
そのため、裁判所に対して発信者情報開示命令の申立てを行うことが必要となります。

裁判所に発信者情報開示の必要性などが認められると、裁判所からプロバイダに対して情報を開示するよう命令が出されるため、開示された情報から相手の特定を行います。

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刑事告訴をする

相手を刑法上の罪に問いたい場合には、相手を刑事告訴します。
告訴は口頭でも行うことができるとされていますが、実際は告訴状によって行うことが多いでしょう。

告訴状には、告訴人と加害者それぞれの情報のほか、告訴対象としている事実、告訴に至った経緯などを記載します。
弁護士に依頼している場合には、弁護士が告訴状を作成するため、自分で作成する必要はありません。

損害賠償請求をする

相手に民事上の責任を問いたい場合には、相手に対して損害賠償請求を行います。
損害賠償請求は、判明した相手の住所に弁護士から内容証明郵便を送るなどして行う場合が多いでしょう。

しかし、相手が請求を無視することも珍しくありません。
その場合には、裁判上で損害賠償請求を行うこととなります。

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名誉毀損に対して法的措置をとる場合のポイント

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名誉毀損の被害を受けた場合、相手に対して法的措置をとりたい場合には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
主なポイントは、次のとおりです。

弁護士に相談する

名誉毀損への対応を、無理に自分で行うことはおすすめできません。
その主な理由は、次のとおりです。

誹謗中傷がエスカレートする危険性があるから

自分で対応しようと相手に対して直接反論するなどすると、相手による名誉毀損や誹謗中傷がエスカレートする危険性があります。
また、反論して言い争いになることで、名誉毀損の投稿などが拡散され、その投稿を目にする人が増えるリスクもあるでしょう。

不利となる可能性があるから

自分を名誉毀損した相手に言い返した場合、その内容によっては、反対に相手から法的措置をとられるリスクもあります。
また、焦って投稿の削除を求めた結果、証拠を保存する前に投稿が削除されれば、その後法定措置をとるハードルが高くなってしまうでしょう。

名誉毀損への法的措置には専門的な知識が必要であるから

名誉毀損に対して法的措置を追及するには、法令や手続きの専門知識が不可欠です。
慣れていない人が一から調べながら対応して、希望どおりの結論を得ることは容易ではないでしょう。

対応に時間がかかれば法的措置が難しくなる可能性があるから

自分で調べながら名誉毀損へ法的措置をとるためには、1つずつ調べながら手続きを進めなければなりません。
これには、相当の時間を要してしまうことでしょう。

しかし、次でも解説するように、名誉毀損への対応は時間との勝負であるといっても過言ではありません。
そのため、対応に時間がかかってしまうと、法的措置をとることが難しくなる可能性があります。

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できるだけ早く取り掛かる

名誉毀損の被害にあった場合には、できるだけ早期に対応することが必要です。
なぜなら、時間が経過すると、ログが消されてしまうためです。

ログの保存期間はプロバイダによって異なりますが、おおむね3か月から6か月程度といわれています。
この期間を過ぎてしまうと、もはや相手に対して法的措置をとることが困難となります。

そのため、一人で悩むより、できるだけ早期に弁護士へ相談して準備を始めることをおすすめします。

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まとめ

名誉毀損の被害にあった場合には、相手に対して損害賠償請求をする方法と、相手を刑事告訴する方法の2つの法的措置が考えられます。
どちらの法的措置をとるか、または併用するのかなどは状況や被害を受けた側の意思によって異なります。

いずれの場合であっても、まずは弁護士へご相談ください。

Authense法律事務所では名誉毀損への対応に力を入れており、誹謗中傷問題にくわしい弁護士が多数在籍しています。
名誉毀損への法的措置は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。

名誉毀損でお悩みの際には、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
初回のご相談は無料です。

記事を監修した弁護士
authense
Authense法律事務所記事監修チーム
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