リーガルエッセイ

公開 2020.08.12 更新 2021.08.13

「AirDrop痴漢」で逮捕

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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私は、いまだにガラケー利用者なので、このAirDropという機能を使ったことがないのですが、iPhoneなどのアップル製品で使えるデータ通信機能で、近距離にいる人同士で画像を共有できるものだそうですね。
そして、この機能を使って見知らぬ人にわいせつ画像を送りつけるというのがAirDrop痴漢と呼ばれているようです。

送った相手が、自分の送ったわいせつ画像を見て戸惑う様子を見て性的な興奮を感じるという卑劣さ、多くの人がいる中で混雑にまぎれて行われる特徴などが痴漢と共通するためにこのように呼ばれるのかもしれませんね。

AirDrop痴漢は犯罪

逮捕される事案があることからもわかるように、このAirDrop機能を使って、一方的にわいせつ画像を送りつければ犯罪になります。
まず考えられるのが迷惑防止条例違反です。
条例ですので、自治体により少し違ってきますが、東京都の場合ですと、「人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること」にあたり、6月以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。
この条例違反として捜査されることが多いといえますが、電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録を頒布(はんぷ)したとしてわいせつ電磁的記録頒布罪にあたるとされる可能性もあります。
その場合、法定刑は、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料となっています。

これらの犯罪の嫌疑があれば、捜査され、要件を満たせば逮捕、勾留される可能性もありますし、逮捕、勾留されなくとも、また、これまでに犯罪に関わったことがないような人でも、罰金刑に処せられればそれは前科になりますし、さらに、わいせつ事案の罰金前科がすでにあったり、態様が悪質だったりすれば、公判請求されて懲役刑になる可能性もあります。

AirDrop痴漢が、電車内や人が多くいる飲食店などで行われることが多いのは、周囲に多くの人がいるために自分が送り付けた犯人だと発覚しないだろうという考えがあるからかもしれません。
でも、送り付けた本人も、どの相手が、自分の送り付けた画像を受け取ったか、その反応はどんなものか知ろうとして周囲から見ると不審な行動に出ているはずです。
AirDrop痴漢をすれば必ず発覚すると考えたほうがよいと思います。
送り付けたほうは軽い気持ちでも、送り付けられたほうは、自分の近くに、この画像を送りつけた人がいて、その人がどこかで自分の反応を見て楽しんでいると思うと、屈辱感でいっぱいだろうし、憤りも感じるだろうし、この後あとをつけてきているかもしれないという恐怖も感じるだろうと思います。

見知らぬ人から一方的に送り付けられることがないように、その予防策として設定の方法を変えることもできるようですが、なにより、送り付ける側が、その行為が犯罪であって、相手に深い傷を負わせる可能性もありうることを認識しなければいけないと思います。

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