リーガルエッセイ

2020.11.25

路上生活者に対する暴行を防ぐ為に何ができるのか

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

路上生活をしていたかたが被害に

路上生活をしていたと見られる女性が、都内のバス停で何者かに殴られてお亡くなりになったという事件で、先日、交番に、自分がその犯人であると名乗りをあげて男性が出頭したことが報じられました。
男性は傷害致死罪の事実で逮捕。
男性は、「痛い思いをさせればいなくなると思った」とその動機を供述していると報じられています。
報道によれば、この男性は、「まさか死んでしまうとは思わなかった」と供述しているそうです。

事実関係はまだわかりません。
この男性が本当に犯人であるのかも、どのような暴行態様だったのかも、今後、捜査、公判を通じて明らかになっていくことです。
でも、もし、この女性を死に至らしめた犯人が、無抵抗な女性に対し、その頭部を、何らかの凶器を使って強く殴りつけたのだとしたら、その犯人による行為は、殺人の実行行為ともいえる危険な行為で、それによって人を死なせてしまうかもしれないと考えるのが通常として、殺意も認められるといえるケースもあるのではないか?
傷害致死でなく、殺人罪の成立も視野に捜査される行為なのではないかと私は思います。

そして、私は、この事件を見たとき、少し前に報道された事件を思い出しました。
路上生活をしていたご高齢の男性に対し、少年らが集団で襲い、石を投げたり暴力を振るったりし、結果、男性を死に至らしめた事件です。
報道によれば、当初、少年らは、男性とともにいた女性に襲い掛かろうとしたものの、男性が、女性に逃げるように促し、結果、自身が暴行の被害に遭い、お亡くなりになったとのこと。

どちらの事件も、路上生活をしていたかたが被害に遭い、また、報道を見る限り、被害に遭ったかたにおいて何らの落ち度もなく襲撃されたと思われます。
安易に、報道限りで、わかりやすく共通している要素をとりあげてコメントするのは軽率だとは思います。
でも、かけがえのない日常を、突然、不条理にも断たれた被害者のかたの無念を思うと、ただただ胸が張り裂けそうで、このような事件が二度と起きないために何ができるかを考えたとき、もし加害者側の心理に共通するものがあって、これを検証することで防げる事件があるのだとしたら、やはり共通する要素を取り出して検証すべきことがあるように思います。
コロナ禍で路上生活をせざるを得なくなるかたが増えるのではないかとの報道も見ます。
徹底した捜査、公判を通じて、なぜこの事件が起きたのかが明らかになり、これにより、今後の発生を防ぐための手がかりが見つかってほしいと思います。
お亡くなりになった女性のご冥福をお祈り申し上げます。

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