リーガルエッセイ

2021.01.28

義理の親からの暴力被害に遭う子どもを一人でもなくすために

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

虐待

先日、男性が、妻の連れ子である当時8歳の男の子の腹を蹴るなどして肺挫傷など全治約6か月の大けがを負わせたという被疑事実で逮捕されたと報じられました。

昨年、コロナ禍で子に対し暴力を振るう虐待が増えているのではないかという記事を読んだことがありました。
その背景として、外出自粛、子の休校、在宅勤務などの事情が重なり合い、これらによる不安、いら立ちなどの矛先が子どもたちに向かってしまっているのではないかとの見方が示されていました。
たしかに、そのような一面はありそうですよね。

ただ、今回報じられた事件は、報道を見る限り、逮捕の原因となった被疑事実自体、コロナとは無関係の時期の話ですし、その後仮にコロナ禍の時期に暴行があったとしても、コロナ禍ということだけでは説明できる事件ではありません。
そもそも、捜査は始まったばかり。
本件についての具体的なコメントはできませんが、今回、この事件を離れ、義理の親による子に対する暴力、ということについて考えてみたいなと思います。

これまでにも、何度も、夫が、妻の連れ子に対して暴力を振るったという事件を見聞きしたことがあります。
とてもセンシティブな話だと思いますし、いろいろな家庭があるなかで、一概に、こういう家族構成の場合はこういう傾向がある、という考え方をもっているように受け止められてしまうような伝え方にならないかと思うと、軽率に話すことをはばかられます。
でも、実際、妻の連れ子に対する虐待という事件が一定数存在している以上、そのような事件の被害に遭う子どもを一人でもなくすために、何ができるかということは考えなければならないと思います。

離婚事件に携わる弁護士として、このような事件をなくすためにできることのひとつだと思うことは、離婚後の子と元夫との面会交流を継続的に効果的に行うということです。
もちろん、離婚した元夫が、子や元妻に暴力を振るったり暴言を吐いたりしていて、そのことが離婚原因になったわけではないということが大前提です。
夫婦の間に価値観の相違などがあり、夫婦としては一緒に歩んでいくことはできなくなったけれど、元夫と子の関係は問題がないという場合に、定期的な面会交流を確実に実施していくということ。
いずれかが再婚した場合に面会交流が途切れてしまうこともあります。
子の親権者である元妻が再婚する場合、新しい夫と子との関係を強固にしたいからという思いで、元夫との面会交流をストップさせたいと希望する場合もあるんです。
でも、それは本当に子が望んでいることなのか?よく考えてみなくてはいけないのかもしれません。
そして、仮に、その点を判断するにはまだ幼い子が、新しい父と遊ぶこと夢中になっていたとしても、それでも、元夫と子の面会交流はしっかり続けていく必要性を元妻が感じる必要があるかもしれません。
子は、その後、新しい父との関係に不安を感じたり、暴力を振るわれたりといった出来事があったときに、新しい父を再婚相手として選んだ母に対して助けを求めることができない心理状態になることもあるのではないかと思うのです。
そんなとき、実の父との関係がしっかりできていれば、父に助けを求める道が開けるかもしれない。
幸い、実際に助けを求める必要のある事態にならなかったとしても、もしかしたら、新しい父を迎えて漠然と不安な気持ちになっているかもしれない子にとって、頼れる相手がいると思えることはとても心強いことなのではないかと思うのです。
もちろん、離婚後の面会交流によってすべてが解決するとは全く思いません。
でも、これがきっかけとなり救える子が一人でもいるかもしれないなら、離婚事件に携わる弁護士として、このような目的意識も持ちながら、面会交流の話し合いをしていなければならないなと思います。

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