リーガルエッセイ

公開 2023.05.26

「もしこうなってしまったらどうしよう」について

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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「もしこうなってしまったらどうしよう」について

突然ですが、私は、常に不安と戦っています。
たとえば、普通に道を歩いているとき。
たぶん、周りの方から見たら、ぼーっと歩いているように見えると思うのです。
でも、頭の半分は、仕事のことを、もう半分は、今自分が直面しているリスクのことを考え、頭の中は常にパンパンな状態です。
道を歩いているときに自分が直面しているリスクとは何のことかと言うと、たとえば、今この瞬間に後ろから自転車がつっこんでくるかもしれないというリスク、道沿いに立っているマンションの高層階から私の頭上をめがけて誰かが故意に落とした重量のある物やベランダにいる人が落ちてくるかもしれないというリスク、スマホを見ながら運転している車が歩道を乗り上げてくるかもしれないというリスク、すれ違う人が凶器を隠し持っていて、突如攻撃をしてくるかもしれないというリスク、宇宙から何か得体のしれない物が落ちてくるかもしれないというリスク・・・
ほんの一部ですが、私は、特にきっかけとなる何かがあったわけでもないのに、常に、このようなリスクで頭をいっぱいにし、そんなリスクへの恐怖から逃れようと、恐怖を打ち消すように仕事のことを考えては平静を保とうとしている、そんな毎日です。
これを知人に話せば、私がふざけていると思われるか、または、本気で心配されてしまうかどちらかだとわかっており、他人に打ち明けることでこの不安が消えるわけではないので、普段は人知れず自分の身に迫るリスクと一人静かに戦っています。
人一倍疲れやすいのも、こんな自分の性質に原因があるのかもしれません。
もっとおおらかになれたらもっと生きやすかっただろうな、といつも思います。

でも、こんな自分でよかったと感じられることもあるのです。
それは、不安でいっぱいになっているお客様とお話をするときです。
法的なトラブルを抱えていると、現実に起きていることだけではなく、より悪い状況を想定し「もしこうなってしまったらどうしたらいいだろう」と不安に陥ること、あると思います。
たとえば、夫と離婚に関する話し合いをしている際、夫が「子どもと離れることは考えられない」と言ったとします。
夫は、ただ、子どもと離れがたい心情を吐露したにすぎません。
でも、その言葉を聞き、「夫が子どもと離れたくないために離婚に反対してきたらどうしよう」「仮に離婚には応じたとしても、子どもの親権を主張されたらどうしよう」「仮に親権はこちらでとれたとして、面会させたときに子どもを連れ去られてしまったらどうしよう」「連れ去られた子どもが、夫と一緒にいるうちに、夫の生活の方が心地よいと思うようになり、結局、子どもと離れて生活しなくてはならなくなったらどうしよう」「仮に子どもを連れ去られることなく一緒に生活できたとして、子どもが思春期になり、自分の意思で夫のもとで生活したいと言い出したらどうしよう」「仮に子どもが自分の意思で夫のもとで生活したいと言い出したらそれはそれで受け入れるとして、でも、もし、その後、夫に交際相手ができていたら、子どもは居場所を失ってしまうのではないか」などと次々に不安は広がり、大きくなっていくことってあると思います。
不安というものは、次から次に無限に広がっていき、気づいたら、今起きている事実とはかなりかけ離れたところまで来てしまったということ、あると思います。
そして、そのような「こうなったらどうしよう」は、なかなかその気持ち自体を打ち消すことが難しいのですよね。
人は「不安に思っていることの9割は起きないから大丈夫。起きてから考えればいいじゃない」と言うと思います。
でも、1割起きる可能性があることがおそろしいわけで、できるならその可能性なんてないんだって思いたいし、仮に起きたときの対処法がわかっていればそれだけで安心できるはず。
だから、そんなときは弁護士に相談してみるとよいと思います。
弁護士は、ご事情を詳しくおうかがいし、これまでの経験に基づき、今、ご不安に思っていることがどの程度起き得る状況か、その見通しをお伝えすることができます。
また、仮にご不安に思う事態が発生した場合に、法的にどんな対処の選択肢があるかをお伝えすることもできます。
つまり、今、ご不安に思っていることの中で現実化しそうな事態はどれなのか、仮に現実化した場合にどんな対処法があるかということを知ることができるのです。
そのようなお話をする過程で、現実化の可能性が極めて低いことやこちらのコントロールによってはいかんともしがたいことも明確になってきます。
それらについては、現実化の可能性が高まったとき、または、こちらのコントロールにより事態を動かせる状況になったときに検討のタイミングをずらそうと決めることができます。
そうやって、弁護士に相談することで、心の中でごちゃごちゃになっている不安な気持ちを整理し、心の中をすっきりさせ、今考えるべきこと、今すべきことに集中することができると思います。
こういったことをお一人で当たり前のようにできる方もいらっしゃるのかもしれません。
でも、私自身、そのような不安の整理がとても苦手で、常に、いずれの不安をも身に迫ったリスクとして感じてしまい、不安におしつぶされそうになるのが常態なので、同じように、不安に押しつぶされそうになっている方のお気持ちが痛いほどわかります。
お困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

ちなみに・・・「もしこうなったらどうしよう」を常に想定して、そんなときはどうするかをシミュレーションしても、多くの場合、その「もしこうなったら」は起きず、シミュレーションの努力は無駄に終わることが多いのですが、まれに、そのシミュレーションに救われることもあります。
たとえば、大好きな大好きな芸人さんである水田信二さんが結婚してしまったら、私はそのときどんな心境でその現実を乗り越えたらいいんだろう・・・ということは、実は、もう何年も前からシミュレーションを重ねてきました。
何の前触れもなくその不安が現実のものとなったのが昨日の朝のこと。
今はまだ動揺から抜け出せませんが、きっとここに至るまで積み重ねてきた綿密なシミュレーションを活かし、私は必ずこの事態を切り抜けられるのだと思います。

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