コラム

公開 2026.02.18

「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違いは?弁護士がわかりやすく解説

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契約により引き渡された目的物に問題がある場合、瑕疵担保責任や契約不適合責任の追及が検討できます。

では、瑕疵担保責任と契約不適合責任には、どのような違いがあるのでしょうか?
また、契約不適合責任の追及では、具体的にどのような請求ができるのでしょうか?

今回は、瑕疵担保責任と契約不適合責任の関係と違い、契約不適合責任による救済手段、契約不適合責任や瑕疵担保責任の追及期間などについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は契約不適合責任や瑕疵担保責任の追及について豊富なサポート実績を有しています。
売買や請負契約の目的物に問題がありお困りの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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瑕疵担保責任と契約不適合責任の関係は?

はじめに、瑕疵担保責任と契約不適合責任の関係を整理して解説します。
なお、「瑕疵(かし)」はキズや欠点を意味する法律用語であり、本来備えているべき性能は品質が欠けている状態を意味します。

民法の改正で瑕疵担保責任は契約不適合責任に改められた

民法では従来、「瑕疵担保責任」の考え方と用語が採用されていました。
これが、2020年4月1日に施行された改正民法により、「契約不適合責任」へと改められています。
また、用語の改訂に伴い、責任の内容も大きく改訂されています。

改正後の民法には、もはや「瑕疵担保責任」を定めた規定はありません。

品確法では「瑕疵担保責任」の用語が維持されている

改正後の民法では「瑕疵担保責任」との用語が用いられなくなった一方で、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」といいます)」では「瑕疵担保責任」の用語が維持されています。
ただし、品確法の瑕疵担保責任の内容は民法上の契約不適合責任と違いはなく、用語だけが維持されていると考えて問題ないでしょう。

なお、品確法の瑕疵担保責任は民法上の契約不適合責任と「別モノ」ではありません。
品確法の瑕疵担保責任は、新築住宅の一定の瑕疵について、民法の契約不適合責任の期間を延長する等、民法上の契約不適合責任の特例とされています(品確法94条、95条)。

瑕疵担保責任と契約不適合責任の主な違い

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旧民法の「瑕疵担保責任」と改正後の「契約不適合責任」には、さまざまな違いがあります。
ここでは、両者の主な違いを解説します。

  • 基本的の考え方
  • 対象物
  • 具体的な請求内容

なお、先ほど解説したように、品確法の「瑕疵担保責任」の内容は民法の「契約不適合責任」と相違ありません。
ここで解説するのは、旧民法の「瑕疵担保責任」と改正後民法の「契約不適合責任」の違いであるため、誤解のないようご注意ください。

基本の考え方

瑕疵担保責任と契約不適合責任では、ベースとなる考え方が異なります。

瑕疵担保責任では、「法定責任説」が採用されていました。
法定責任説とは、「その特定物を引き渡せば、売主が義務を果たしたことになる」という考え方です。

とはいえ、引き渡した中古住宅に隠れた瑕疵があれば、買主が不測の損害を被りかねません。
そこで、隠れた瑕疵があった場合に「瑕疵担保責任」を追及できるとすることで、買主を救済していました。

一方で、契約不適合責任では「契約責任説」が採用されています。
契約不適合責任とは、「契約に適合した物を引き渡せば、売主が義務を果たしたことになる」という考え方です。

契約内容に適合さえしていれば、ボロボロの状態の中古住宅を引き渡しても義務を履行したことになる一方で、契約内容に適合していなければ「契約不適合責任」の追及原因となります。

対象物

上記のとおり、基本の考え方が異なるため、瑕疵担保責任と契約不適合責任では、その対象物が異なります。

瑕疵担保責任の対象となるのは、「特定物」だけでした。
特定物とは、不動産や中古車、美術品のように、「2つとして同じ物が存在しない物」を指します。

なお、特定物以外の物を「不特定物」といいます。
新車や「1ダースのビール」、「5㎏のお米」など、物の個性に着目せず代替可能なものがこれに該当します。

一方で、契約不適合責任では、特定物であるか不特定物であるかは関係がありません。
特定物であっても不特定物であっても、「契約と異なる物を引き渡した」場合には契約不適合責任の追及原因となります。

具体的な請求内容

瑕疵担保責任と契約不適合責任では、具体的な請求内容が異なります。

瑕疵担保責任を根拠として請求できるのは、損害賠償請求と契約解除だけとされていました。
さらに、これらの責任を追及できる場面も、隠れた瑕疵があることで契約目的が達成できない場合に限定されます。

一方で、契約不適合責任では損害賠償請求と契約解除に加えて、追完請求と代金減額請求もできることとなりました。
また、瑕疵担保責任とは異なり、「契約目的が達成できない場合」などの限定もありません。

契約不適合責任で選択できる救済手段の具体的な内容は、次で改めて解説します。

契約不適合責任による救済手段

先ほど解説したように、契約不適合責任には次の4つの救済メニューが設けられています。

  • 追完請求
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約解除

なお、このうち損害賠償請求と契約解除は契約不適合責任の追及に特有のものではなく、債務不履行(契約違反)全般で広く選択できる救済措置です。
そのうえで、契約不適合責任を理由に追完請求や代金減額請求をする場合にも、損害賠償請求や契約解除は妨げられないと規定されています(民法564条)。

とはいえ、実際の場面ではどの責任を追及すべきか判断に迷うことも多いでしょう。
お困りの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

Authense法律事務所は契約不適合責任や瑕疵担保責任の追及について豊富な実績を有しており、状況に応じた的確な責任追及をサポートします。

追完請求

追完請求とは、目的物の修補や代替物の引渡し、不足分の引渡しによる履行の追完を求めるものです(同562条1項)。

たとえば、居住用として使う前提で引き渡しを受けた建物が雨漏りする場合において、その雨漏りを直すよう求めるものがこれに該当します。
また、1ダースのビールの売買契約で2本が割れている場合、2本を追加で納入するよう求めることも追完請求の1つです。

代金減額請求

代金減額請求とは、不適合の程度に応じて代金の減額を求めるものです(同563条1項)。

たとえば、300㎡の土地を購入したにもかかわらず、実測したら290㎡しかなかった場合に、不足分する10㎡分の減額を求めるものがこれに該当します。
また、1ダースのビールの売買契約で2本が割れている場合、2本分の代金を減額するよう求めるものも代金減額請求です。

なお、代金減額請求ができるのは、原則として追完を求めて催告したにもかかわらず、相当期間内に追完されないときに限られます。
そのため、原則として先に追完請求をしなければなりません。

ただし、履行の追完が不能であるときや、売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したときなど一定の場合には、追完請求を経ることなく代金減額請求が可能です。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、相手方の債務不履行(契約違反)などが原因で損害が発生した場合において、その損害を償うだけの金銭の支払いを求めるものです(同415条)。
たとえば、居住用として引き渡しを受けた新築物件が雨漏りして家具や家電などが損傷した場合に、その買い替え費用の支払いを求めるものなどがこれに該当します。

損害賠償の適正額は状況によって異なるため、損害賠償請求をしたい場合はまず弁護士にご相談ください。

契約解除

契約解除とは、相手方が契約に適合した履行をしない場合に、契約をなかったことにすることです。
原則として、先に履行を催告し、相当期間内に履行されなかった場合に解除が可能となります(同541条)。

ただし、債務の全部の履行が不能であるときや、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときなどには、例外的に催告を経ることなく契約解除が可能です(同542条)。

なお、契約や取引上の社会通念に照らして債務不履行の程度が軽微である場合には、契約解除はできません。
契約解除は、その影響が非常に大きいためです。

契約不適合責任や瑕疵担保責任の追及期間

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民法上の契約不適合責任の追及期間は、不適合を知ってから1年以内です。
契約不適合責任を追及したい場合は、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければなりません(同566条)。

ただし、引渡しの時点で売主がその不適合を知っていた場合や、売主が知らなかったことに重過失があった場合には、この期間を過ぎても契約不適合責任を追及できます。

また、契約不適合責任が「追完請求」や「損害賠償請求」など具体的な請求となることで、民法の通常の消滅時効も適用されます。
そのため、不具合を知ってから1年以内に不適合を通知することに加えて、権利行使できることを知ってから5年または引渡し時から10年を経過すると請求できなくなります(同166条1項)。

なお、契約によりこれとは異なる定めがされている場合、契約の規定が優先的に適用されます。
1年のカウントの始期が「買主がその不適合を知った時」ではなく「引渡時」とされていたり、通知期限が1年ではなく「6か月」などとされていたりすることもあるため、契約書の規定をよく確認しておく必要があるしょう。

ただし、売主が事業者であり買主が消費者であるなど一定の場合には、消費者に不利な特約が無効となる可能性があります(消費者契約法8条)。
さらに、品確法の適用がある新築物件に瑕疵がある場合は、引渡しから10年間は瑕疵担保責任を追及できるとされており、買主側に不利な特約は無効となります(品確法95条2項)。
すなわち、品確法の適用がある場合、瑕疵担保責任の期間を10年間よりも短縮させたり、免除させたりする特約は無効となります。しかし、この場合でも、買主がその不適合を知った時から1年以内にこれを売主に通知しなければ責任追及をすることはできないので、注意が必要です(同3項、同95条3項)。

このように、品確法の瑕疵担保責任と民法の契約不適合責任の追及期間は状況によって異なる可能性があります。
判断に迷う場合には、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わったことで注意すべきポイント

旧民法の瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わったことで特に注意すべきことは、「契約」の内容がより重要となることです。

契約不適合責任を追及できるか否かの判断基準は、「契約内容に適合しているか否か」です。
そのため、買主としては、契約書にその契約の目的を明確に定めるよう努めるべきでしょう。

たとえば、その建物で旅館業を営みたい場合は、住宅としては使用できても旅館業の許可が下りない構造であることは契約不適合となり得ます。
しかし、旅館業を営む前提であることが契約書に記載されていなければ、責任追及は難しいかもしれません。

このように、不適合であるか否かは契約の目的によって変動するため、契約書の表記により注意を払う必要があるでしょう。

瑕疵担保責任や契約不適合責任に関するよくある質問

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最後に、瑕疵担保責任や契約不適合責任に関するよくある質問とその回答を3つ紹介します。

民法改正前に契約していた場合に瑕疵担保責任と契約不適合責任のどちらが適用?

売買などの契約について、民法が改正される令和2年4月1日よりも前に締結されていた場合は、改正前民法が適用されるため、追及できる責任が瑕疵担保責任になります。そのため、いつ契約が締結されたかどうかで請求できる内容等も変わります。

民法改正前に契約した建物に不具合が見つかった場合や契約時期が不明な場合、まずはAuthense法律事務所までご相談ください。

瑕疵担保責任や契約不適合責任をすべて免除する特約は有効?

瑕疵担保責任や契約不適合責任をすべて免除する特約は、原則として有効です。
実際に、プロ同士で行われる中古物件の売買などでは、契約不適合責任をすべて免除する特約が多く活用されています。

ただし、このような特約は必ずしも有効になるわけではなく、売主が事業者であり買主が消費者であるなど一定の場合には無効となります(消費者契約法8条)。
また、品確法の適用がある場合にも、瑕疵担保責任を免除する特約は無効です(品確法95条2項)。

他にも、状況によってこのような免責特約が無効となる可能性があるため、お困りの際はAuthense法律事務所までご相談ください。

瑕疵担保責任や契約不適合責任を追及したい場合にまずやるべきことは?

瑕疵担保責任や契約不適合責任を追及したい場合にまずやるべきことは、証拠を残して弁護士に相談することです。
追及期間が経過して責任追及ができなくなる事態を避けるため、早期に対応に取り掛かることをおすすめします。

瑕疵担保責任や契約不適合責任について相談できる弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までご相談ください。

まとめ

瑕疵担保責任と契約不適合責任の関係や違い、契約不適合責任による救済手段、瑕疵担保責任と契約不適合責任を追及できる期間などについて解説しました。

民法では従来「瑕疵担保責任」の用語と考え方が採用されていたものの、2020年4月1日に施行された改正により「契約不適合責任」へと改められました。
旧民法の瑕疵担保責任と契約不適合責任とでは対象物や基本的な考え方、救済手段の選択肢など異なる点も多いため、違いを理解しておきましょう。

なお、品確法では「瑕疵担保責任」の用語が維持されているものの、その内容は民法改正後の契約不適合責任と同一です。
この点も、誤解のないよう整理しておくことをおすすめします。

Authense法律事務所は、売買や請負契約の目的物に問題があった場合の法的責任追及について、豊富なサポート実績を有しています。
瑕疵担保責任や契約不適合責任の追及でお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。法政大学デザイン工学部建築学科卒業、慶應義塾大学法科大学院修了。大学では建築学を学び、理系的な論理力と冷静な対応力を活かして企業法務・不動産法務・広告審査・スポーツ法務を中心に取り扱う。建築分野の法的課題にも意欲的に取り組む。合理性だけでなく、依頼者の感情にも寄り添うバランス感覚を大切にしている。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら
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