コラム

公開 2022.03.15

テレワークで騒音トラブルが増加!物件オーナーが取るべき対応と予防策とは?

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テレワークを導入する企業が増える中、集合住宅での騒音トラブルが増加傾向にあります。

騒音トラブルが起きた際に物件オーナーや管理会社が取るべき対応や、騒音トラブルを予防する方法などについてわかりやすく解説します。

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騒音トラブルがテレワークで増加傾向

新型コロナ禍でテレワークを導入する企業が増える中、アパートやマンションなど集合住宅での騒音トラブルが増加しています。
まずは、その理由や騒音トラブルの種類を確認しましょう。

テレワークで騒音トラブルが増える要因

騒音トラブルが増えている一つの要因は、テレワークの解禁によって在宅時間が増えたことにあると考えられます。
これまで早朝に外出し夜間に帰宅していた自宅でほぼ一日中過ごすとなれば、これまで気にならなかった周囲の音などが気になるのは当然だといえるでしょう。

テレワークを発端とする騒音トラブルは、テレワークをする側が騒音を感じる場合と、テレワークの音声自体が騒音となる場合のいずれも存在します。
テレワークをする側が騒音を感じる場合としては、たとえば隣家の住人が一日中楽器の弾き語りやオンライン配信などをしている音が気になってテレワークに集中ができず、ストレスを感じるケースなどが一例です。

一方、壁が薄い物件などでは、オンライン会議などの話し声が隣家に響いてしまう場合もあります。
夜勤をしている隣家の住人が日中に睡眠を取ろうにも、四六時中オンライン会議の音声が聞こえることで睡眠を妨げられてしまう場合などは、トラブルに発展する可能性があるでしょう。

騒音トラブルの種類

騒音トラブルの種類

集合住宅で騒音トラブルの原因となる騒音の種類には、さまざまなものが存在します。
中でも、代表的なものには次のものがあります。

話し声

建物の構造によっては、話し声などが隣家などの近隣へ響いてしまう場合があります。
特に、友人など複数人が集まる場合やオンライン飲み会などの場合には、テンションが上がってしまい思わず声が大きくなってしまう場合があるため注意が必要です。

最近では、オンラインで動画や音声を配信する活動などをするYouTuber(ユーチューバー)やVチューバ―なども増えていますが、
これも時間帯や声のボリュームなどによっては、隣家にとって騒音となる可能性があります。

楽器の音や歌声

ギターなどの楽器の音や歌声などは、騒音トラブルの代表格の一つです。
特に楽器の音は、両隣のみならず物件全体に響く可能性があります。
時間帯によっては大きな迷惑となり、トラブルの原因となりかねないので注意しましょう。

子供のはしゃぐ声や走り回る音

小さな子供にとって、声のボリュームを制限することや長時間じっとしていることは容易ではありません。
いくら親が注意をしても、大声を出してしまったり走り回ったりしてしまうこともあるでしょう。

しかし、建物の構造によっては音が響いてしまい、騒音としてトラブルになってしまう可能性があります。
特に、他に小さな子供のいない物件では、子供の発する音や声に慣れていない住民が多い可能性が高いため、入居前に入居者の属性を確認しておくと良いでしょう。

騒音トラブルの苦情を受けたときの基本の対応方法

物件オーナーが騒音についての苦情を受けた場合には、次のように対応します。
基本の対応方法は、次のとおりです。

状況を確認する

はじめに、騒音の状況を確認します。
たとえば、騒音が生じているとされる時間帯に該当の建物へ出向き、共用部分である廊下などから実際に音を確認したり、機器を用いて騒音の数値を計測したりします。

生活する以上、まったく音を出さないわけにはいきません。
中には、通常の生活音が気になってしまう人もいるでしょう。

音を騒音と感じるのかどうかは人によって差があり、苦情を申し立てた人が特別に音に敏感であるのか、実際に容認できないほどの騒音が生じているのかは現地で聞かなければ判断が難しいといえます。
そのため、苦情のみを鵜呑みにするのではなく、状況を確認することが重要です。

騒音に注意するよう全戸配布や張り紙をする

実際に騒音が生じていることが確認できたら、まずは全戸配布や共用部分への張り紙などで、騒音を出さないよう居住者全体に対して注意を促しましょう。

音を発している住人が自分のことかもしれないと気がつくことにより、自発的に騒音の原因となる行為をやめる効果を期待できます。

個別に注意をする

全戸配布や共用部分への掲示をしても騒音がやまない場合には、騒音の発生源となっている部屋へ個別に文書を出したり、電話をしたりして注意を促します。
通常は、ここまでの段階で騒音の原因となる行為をやめてくれる場合が多いでしょう。

騒音トラブルが悪質な場合の対応方法

騒音トラブルが悪質な場合の対応方法

個別に注意をしてもなお騒音がやまない場合には、法的な対応が必要となります。
その場合には、次のように対応しましょう。

弁護士へ相談する

はじめに、弁護士へ相談することをおすすめします。

次で解説する内容証明郵便は、インターネットなどで調べれば書き方などは簡単に見つかることでしょう。
しかし、内容証明郵便で送った文章は記録が残るため、記載内容を誤ったり不用意なことを書いてしまったりすれば、物件オーナー自身にとって不利な証拠ともなりかねません。
そのため、法的な知識のないまま文面のみを真似て自分で作成をすることは非常に危険です。

個別に注意をしても騒音の改善されない時点で、その相手方とは少なからずトラブルが予想されますので、早期に弁護士へご相談ください。

内容証明郵便を送付する

次に、内容証明郵便を作成し、送付します。
内容証明郵便とは、一般書留郵便物について、いついかなる内容の文書を誰から誰宛に差し出されたかを、日本郵便株式会社が証明する制度です。

内容証明郵便を裁判上の証拠として用いる想定であるなら、後の裁判で使う場面を考え、内容を慎重に作成して送付しましょう。
内容証明郵便には騒音の状況を客観的な数値とともに記し、所定の期日までに必要な対応(騒音をやめることや、今後騒音を発生させない旨の誓約書の差し入れなど)をとるよう要請し、
所定の期日までに対応のない場合には賃貸借契約書の規定に基づき、賃貸借契約を解除する旨などを明記します。

内容証明郵便が届くことで法的措置についての物件オーナーの意思が伝わり、以後騒音を控える効果を期待することが可能です。

賃貸借契約を解除する

内容証明郵便を送付しても所定の期日までに対応がない場合には、内容証明郵便の記載に従って賃貸借契約を解除し、その旨を通知して退去を促します。

解除の通知を送付しても自主的に退去しない場合には、次のステップへと進みます。

退去の強制執行をする

賃貸借契約を解除してもなお物件から退去せず居座り続ける場合には、賃貸借契約の終了を理由とする物件の明渡しを求める訴えを裁判所に提起します。
勝訴判決を得られれば、それをもとに強制執行の手続に進むことが可能です。

訴訟では、当然ながら物件オーナーなどの言い分のみでは足りず、騒音を計測した記録など一定の証拠が必要となります。
集合住宅で生活する以上、多少の音が出ること自体は通常であり、その音が一般的な我慢の限度を超えているかどうかが一つの判断基準となるためです。

やみくもに裁判をしても必ずしも認められるわけではありませんので、弁護士とよく相談して対応を検討することをおすすめします。

騒音以外にも注意すべきテレワーク関連のトラブル

テレワーク関連で増えているトラブルは、騒音のみではありません。
騒音のほかにテレワーク環境下で増えているトラブルについても知っておきましょう。

においに関するトラブル

家族で暮らしている喫煙者の中には、自宅内では禁煙とされている人が少なくありません。
会社に出勤していた際には通勤途中や会社などで喫煙をすることができるため、さほど不便を感じなかったという場合もあるでしょう。

こうした状況下でテレワークが導入され自宅で仕事をするようになると、勤務中に喫煙をしたい欲求が抑えられず、ベランダなどで喫煙をするケースが発生します。

しかし、ベランダでの喫煙は、近隣の洗濯物などににおいがつくなど、特に非喫煙者にとっては非常に迷惑に思われる行為の一つです。
ベランダなど共有部分での喫煙はトラブルの原因となる可能性があるので注意しましょう。

また、自粛期間中にベランダでキャンプ気分を楽しむ「ベランピング」が流行しました。
ベランピングの一環で集合住宅のベランダで焼肉をするケースもあるようです。

この場合も、建物の構造や風の流れなどによっては近隣への迷惑となり、トラブルの原因となりかねません。
物件オーナーとしては、ベランダでの喫煙やベランダでの焼肉など物件利用のルールをいま一度周知しておくと良いでしょう。

ペットの飼育マナーに関するトラブル

テレワークの環境下や自粛期間の影響で、ペットを飼う人が増えているようです。

もちろん、ペット可であるマンションやアパートでマナーを守って飼育している分には問題ありません。
しかし、中にはペット不可の物件でこっそりペットを飼育するケースや、マナーが守られずトラブルに発展するケースも存在します。

物件オーナーとしては、ペット飼育の可否や、ペット飼育を認めているのであれば飼育のマナーを共用部分に掲示するなど、改めて周知しておく必要があるでしょう。

テレワーク中の騒音トラブルを予防する方法

テレワーク環境下での騒音トラブルを予防するため、物件オーナーはどのような策を講じれば良いのでしょうか?
予防策の例を4つ紹介します。

賃貸借契約書に禁止事項を明記する

騒音トラブルを予防するため、あらかじめ賃貸借契約書に禁止事項をできる限り明記しておくと良いでしょう。
たとえば、「午後9時以降の楽器の使用は全面的に禁止する」「楽器の演奏は一律禁止する」などです。

あらかじめこのように明記しておくことにより、部屋で楽器を演奏したいと考えている人は、この物件を入居先の候補から外す可能性が高くなります。

入居時に騒音への注意を説明する

契約書に明示しない事項であっても、入居時に別途注意点を告げておくことも予防策の一つです。
たとえば、「この物件は軽量鉄鋼づくりで音が響きやすいため、夜間の話し声や大きな足音に注意してください」などです。

特に、広い一軒家からはじめての一人暮らしで集合住宅に住む学生などは、夜間の話し声や足音が周囲の迷惑になるなどとは思ってもいない場合があります。
あらかじめ注意事項として伝えておくことで、音に気をつけて生活をしてくれる可能性が高くなるでしょう。

張り紙などで注意を促す

中には周囲の迷惑になると知りつつも騒音を出す人も存在しますが、自分の出す音がそれほど迷惑になるとは気がついていないケースも少なくありません。
また、入居時に契約書に記載したり注意事項を説明したりしたとしても、年月の経過とともに忘れてしまっている場合もあります。

そのため、騒音についての注意事項を共用部分に掲示するなどして日ごろから入居者の目に触れるようにし、注意を促しておくと良いでしょう。

苦情があったらできるだけ早期に対応する

騒音について入居者から苦情や相談があった際には、できるだけ早期に対応するようにしましょう。

苦情に何ら対応することなく長期間にわたって放置をしていると、その後の対応がより難しくなってしまいます。
入居者としては、それまで長期間問題とされなかった行為について突然注意を促された場合、反発を感じてしまう可能性があるためです。

また、場合によっては他の入居者も騒音を発するなどして、物件全体のモラルが低下するおそれが生じます。
あまりにも長期に渡って何らの手を打たなければ、騒音を迷惑に感じていた入居者の多くが退去してしまい、新たな入居者が入りづらくなってしまう可能性があるでしょう。

まとめ

テレワーク環境下で在宅時間が増えたことから、騒音に関するトラブルは増加傾向にあります。
物件オーナーとしては騒音に関する苦情への対応を手間に感じることもあるかと思いますが、放置してしまえば物件全体のモラルの低下につながりかねません。
騒音に関する苦情には、早期に対応するようにしましょう。

とはいえ、物件オーナーのみで対応をすることは容易ではありません。
騒音トラブルでお困りの際には、ぜひオーセンスまでご相談ください。
オーセンスには不動産法務に詳しい弁護士が多数在籍しており、賃貸物件についてのトラブルを早期解決へと導きます。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。愛媛大学法文学部卒業、早稲田大学大学院法務研究科を修了(法務博士(専門職))。企業法務に注力するとともに、建物明渡訴訟・立ち退き交渉といった不動産法務、離婚における調停・訴訟・不貞慰謝料請求など、様々な案件に取り組んでいる。顧問弁護士としては契約書レビューに加え、労働紛争や訴訟など、予防法務・臨床法務の双方を取り扱う。
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