コラム

公開 2026.02.18

手抜き工事の場合に損害賠償請求は可能?流れを弁護士がわかりやすく解説

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発注した工事に手抜き工事が発覚した場合、相手方に契約不適合責任を追及することなどが検討できます。

では、手抜き工事がされた場合、具体的にどのような請求ができるのでしょうか?
また、手抜き工事に対して損害賠償請求をしたい場合、どのような流れで進めればよいのでしょうか?

今回は、手抜き工事がされた場合に相手方に請求できる内容や損害賠償請求の流れ、手抜き工事で損害賠償請求ができる期間などについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は工事に関するトラブルについて豊富なサポート実績を有しています。
手抜き工事への損害賠償請求をご希望の際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

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手抜き工事とは?

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「手抜き工事」は、法律用語ではありません。
一般的には、その工事にあたって通常必要とされる工程を意図的に省略したり、材料の数を減らす・材料の質を落とすなど意図的に工事の質を低下させたりすることを指すことが多いでしょう。

たとえば、契約とは異なる安価な材料を用いることや鉄骨・断熱材など必要な建材を減らすこと、必要な下地処理を省くこと、施工にあたる職人の数を不相応に減らすこと、経験不足の職人に十分なフォローのないまま施工せせることなどがこれに該当します。

手抜き工事の原因はさまざまであるものの、施工会社側がコスト削減のために行うことが多いようです。

なお、原則として施工の「過程」について問題があっても、結果的に問題点がなくなっているのであれば、責任を追及することはできません。
たとえば、経験不足の職人が問題のある施工をしたとしても、その後実績豊富な技術者がその問題点に気付き、自らの責任において手直しをしたうえで引き渡しているのであれば発注者に不利益はないため、責任追及は難しいということです。

手抜き工事で相手方に生じる主な責任

手抜き工事と思わしき原因によって発注した工事に問題が生じている場合、発注者は相手方に対してどのような責任を追及できるのでしょうか?
ここでは、手抜き工事によって生じる主な責任について解説します。

  • 民法の契約不適合責任
  • 品確法の瑕疵担保責任

民法の契約不適合責任

手抜き工事によって目的物が契約内容に適合していない場合、民法上の契約不適合責任の追及が検討できます。
契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約内容に適合しないものである場合に追及できる責任です(民法562条、559条など)。

「契約内容に適合しない」の典型例は、たとえば「フローリングを無垢材で施工される取り決めであったのに、それよりも安価な複合材で施工された」など、契約で定めた仕様とは異なる施工がされるケースでしょう。
また、一定の耐震性能を満たす旨が契約書や仕様書に記載されているにもかかわらず、鉄骨の数を省くことなどでこの性能を満たしていなければ、これも契約不適合に該当します。

また、手抜き工事などにより通常求められる施工水準に達していない場合にも、契約不適合責任を追及できるものと考えられます。
なぜなら、あえて契約書や仕様書に「皺なくクロスを張る」や「塗りむらなく外壁塗装をする」などと記載していなくても、一定の特殊なケースを除き、これらは契約の前提として合意していると考えられるためです。

品確法の瑕疵担保責任

工事の対象物件が新築住宅であり、「構造耐力上主要な一定の部分」または「雨水の浸入を防止する一定の部分」に構造耐力または雨水の浸入に影響する不具合(「瑕疵」といいます)がある場合には、品確法上の瑕疵担保責任の追及も検討できます(品確法94条)。

品確法の正式名称は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」です。
品確法の瑕疵担保責任の内容は民法上の契約不適合責任と同じであるものの、責任を追及できる期間について民法よりも厚遇されています。

手抜き工事に対して請求し得る主な内容

手抜き工事があった場合、具体的にどのような請求ができるのでしょうか?
ここでは、手抜き工事に対してできる可能性のある主な請求を紹介します。

  • 追完請求
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約解除

なお、これらはいずれか1つを選んで請求するものではなく、必要に応じて複数の請求をすることもできます。
具体的な状況に応じた適切な請求をご希望の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

追完請求

1つ目は、追完請求です(民法562条)。
追完請求とは、手抜き工事の結果問題が生じている箇所の施工をやり直したり修繕をしたりして、契約に適合する目的物の引き渡しを求めるものです。

たとえば、「フローリングを無垢材で施工される取り決めであったのに、それよりも安価な複合材で施工された」場合に、該当部分の床を無垢材に張りなおすよう求めるものなどがこれに該当します。

代金減額請求

2つ目は、代金減額請求です(民法563条)。
代金減額請求とは、手抜き工事の結果問題が生じていることを踏まえて、代金の減額を求めるものです。

たとえば、「フローリングを無垢材で施工される取り決めであったのに、それよりも安価な複合材で施工された」場合に、複合材と無垢材との差額相当分の減額を求めるものなどがこれに該当します。

ただし、代金減額請求ができるのは原則として、追完請求をしたにもかかわらず一定期間内に相手方がその履行をしなかった場合に限られます。
また、追完が不可能である場合や相手方が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したときにも、代金減額請求が可能となります。

損害賠償請求

3つ目は、損害賠償請求です(同564条、415条)。
損害賠償請求とは、相手方の契約違反(「債務不履行」といいます)や不法行為によって生じた損害を金銭の支払いで償うよう、相手方に求めるものです。

たとえば、手抜き工事により雨漏りが生じて家具や家電などが損傷した場合に、その家具や家電の買い替えに必要な費用を相手方に請求することなどがこれに該当します。
また、不具合を修繕する期間、一時的に他の物件を借りる必要が生じる場合に、その賃借費用などを請求する場合もあります。

契約解除

4つ目は、契約解除です(同564条、541条、542条)。
契約解除とは、一度成立した契約を契約時に遡って消滅させることです。

相手方が催告をしても履行を完遂しない場合や、債務の全部の履行が不能であるなど一定の場合には、契約の解除が選択肢に入ります。
ただし、契約解除は重大な影響をもたらすため、不履行(債務不履行)の程度が社会通念上軽微である場合には行えません。

手抜き工事に対して損害賠償請求をする流れ

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手抜き工事が発覚した場合、相手方への損害賠償請求はどのような流れで行えばよいのでしょうか?
ここでは、手抜き工事に対して損害賠償請求をする一般的な流れを解説します。

  • 手抜き工事について証拠・記録を残す
  • 弁護士に相談して具体的な請求内容を検討する
  • 相手方に損害賠償請求などをする
  • ADRで解決をはかる
  • 訴訟で解決をはかる

手抜き工事について証拠・記録を残す

はじめに、手抜き工事により不具合が生じている現状について証拠や記録を残します。
たとえば、問題のある箇所について写真や動画を撮影したり、不具合の状況や相手方からの対応について詳細なメモを残したりすることがこれに該当します。

証拠がなければ、手抜き工事による不具合があると主張しても相手方に取り合ってもらえないかもしれません。
また、訴訟では証拠が重視されるため、証拠がなければ不利となる可能性があります。

弁護士に相談して具体的な請求内容を検討する

手抜き工事について証拠や記録を残したら、早期に弁護士へ相談します。
弁護士へ相談することで、具体的な状況に応じた損害賠償請求の可否や損害賠償の適正額などの想定が可能となり、その後の具体的な対応を検討しやすくなります。

弁護士は、施工不良などへの法的対応実績が豊富な事務所を選択するとよいでしょう。

Authense法律事務所は、手抜き工事での損害賠償請求などについて豊富なサポート実績を有しています。
手抜き工事への法的対応について豊富な実績を有する弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

相手方に損害賠償請求などをする

弁護士に相談して具体的な請求内容が決まったら、相手方に追完請求や損害賠償請求など具体的な請求を行います。
穏便な解決を希望する場合、これらの請求は自分で行うことも可能です。

一方で、自分で相手方に請求をすることに不安がある場合や、相手方に直接請求したものの誠実な対応が得られなかった場合などには、弁護士が代理で請求します。
弁護士からの請求は、内容証明郵便の送付によって行うことが多いでしょう。

内容証明郵便とは、「いつ、いかなる内容の文章が誰から誰に差し出されたか」を日本郵便株式会社が証明するサービスのことです。

内容証明郵便を出すことで、請求をした証拠が残るほか、相手方にプレッシャーを与えることにもつながります。
また、この内容証明郵便の送付をもって、請負人に対する通知(民法566条)をしたこととすることができます。下記で述べるとおり、通知をしなければならない期限が決まっているため、早急に準備をする必要があります。
内容証明郵便は、訴訟の準備段階で用いられることが多いためです。

ADRで解決をはかる

裁判外では交渉がまとまらない場合、ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決手続)を申し立てて解決をはかります。

ADRには調停やあっせんなどがあり、第三者が意見を調整することで当事者の合意をはかる制度です。
訴訟とは異なり裁判所が結論を下すのではなく、成立させるには当事者の合意がまとまる必要があります。

訴訟で解決をはかる

ADRを経ても合意が得られない場合や、そもそもADRでは解決に至る可能性が低いと判断した場合には、訴訟を提起して解決をはかります。
訴訟では、契約内容や手抜き工事によって生じた不具合の内容などを踏まえ、法令の定めを拠りどころとして裁判所が結論を下します。

裁判所が出した結論に不服がある場合には、判決の送達から2週間以内に控訴をするほかありません。
この控訴可能期間が経過すると判決が確定し、確定した判決には当事者双方が拘束されます。

手抜き工事で損害賠償請求ができる期限

手抜き工事への損害賠償請求には、期限があります。
ここでは、手抜き工事を理由に損害賠償請求ができる期限を解説します。

原則

手抜き工事について追完請求や損害賠償請求などをするには、発注者がその不適合を知った時から1年以内にこれを相手方に通知しなければなりません(同566条)。
また、「権利行使ができることを知ってから5年」または「引渡し時から10年」を経過すると時効によって消滅し、請求できなくなります(同166条1項)。

なお、これは民法上の原則であり、契約でこれとは異なる定めがされている場合もあります。
契約に異なる定めがある場合は原則として契約の定めが優先的に適用されます。

ただし、相手方がハウスメーカーなどの事業者であり自身が消費者である場合には、消費者にとって不利な定めを無効化できる可能性があります。
そのため、諦める前に弁護士へご相談ください。

品確法の適用がある場合

品確法の適用がある新築住宅の一定の瑕疵である場合、民法の規定に関わらず、引渡しから10年間は追完請求や損害賠償請求が可能です(同94条1項、95条1項)。
また、これに反する特約で発注者(買主)に不利なものは無効となります(同2項)。
なお、品確法の適用があっても、発注者がその不適合を知った時から1年以内に相手方に通知をする必要がありますので、いずれにしても早期の対応が必要にはなります(同3項)。

手抜き工事の損害賠償請求に関するよくある質問

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最後に、手抜き工事の損害賠償請求に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

手抜き工事の損害賠償請求などの相手方は誰?

手抜き工事について損害賠償請求をする場合の相手方は、直接の契約相手です。

たとえば、注文住宅であれば元請である工務店やハウスメーカー、建売住宅であれば売主である不動産会社などです。

手抜き工事の修補で追加工事の費用を求められたら支払うべき?

手抜き工事の修補(追完)を求める場合、その追加工事の費用の支払いを求められても、原則として支払う必要はありません。
齟齬によるトラブルを避けるため、手抜き工事の追完請求をする際は、工事費用の追加負担はないことを事前に確認しておきましょう。

手抜き工事によって生じている問題を解消するための工事について費用の支払いを求められてお困りの際は、Authense法律事務所までご相談ください。

まとめ

手抜き工事に対して追及できる責任や主な請求内容、手抜き工事について損害賠償請求をする流れなどを解説しました。

手抜き工事がある場合、相手方に対して追完請求や代金減額請求、損害賠償請求をすることなどが検討できます。
これらの請求をしたい場合には、まず不具合があることの証拠を残し、弁護士にご相談ください。

弁護士に相談することで、具体的な不具合の内容に応じた的確な請求内容などの検討が可能となります。
手抜き工事に対して損害賠償請求などで法的責任を追及できる期間には制限があるため、早期に対応に取り掛かることをおすすめします。

Authense法律事務所は、手抜き工事などを原因とする損害賠償請求について豊富なサポート実績を有しています。
手抜き工事について損害賠償請求をしたいとお考えの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。法政大学デザイン工学部建築学科卒業、慶應義塾大学法科大学院修了。大学では建築学を学び、理系的な論理力と冷静な対応力を活かして企業法務・不動産法務・広告審査・スポーツ法務を中心に取り扱う。建築分野の法的課題にも意欲的に取り組む。合理性だけでなく、依頼者の感情にも寄り添うバランス感覚を大切にしている。
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