コラム

公開 2021.11.30

マンション管理組合への加入は義務?理事長・役員の役割と管理会社との違い

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マンションの管理組合とは

マンション管理組合の理事に選任されてしまったけれど、具体的に何をすべきかよくわからないという方は少なくありません。
管理組合の理事の担当について輪番制を取っているマンションも多いため、理事を担当することを望まない方が理事を担当するケースも多いようです。
では、マンションの管理組合とは、どのような組織なのでしょうか?

管理組合の定義

マンション管理組合とは、分譲マンションの区分所有者(各部屋の所有者)全員で構成される、そのマンションを維持管理するための団体のことです。
その役割は、マンションの管理規約を作ることや修繕積立金の管理、共用部分のメンテナンスなど、マンションの管理に関する全般にわたります。

マンション管理組合は、区分所有法という法律がその根拠となっており、区分所有者全員が構成員(組合員)となるものの、実際の運営は「理事会」を中心として行われることが一般的です。

そして、この「理事会」は、組合員の中から選出した代表者である役員によって構成されます。

管理組合への加入の義務

マンションの管理組合に加入しないという選択はあるのでしょうか?
区分所有法は、区分所有者が管理組合に加入することを、区分所有者の義務としています。
そのため、マンションを購入した場合、自動的にそのマンションの管理組合の組合員になると考えてください。
「面倒だから加入しない」というわけにはいかないのです。

マンション管理組合の役割

マンション管理組合の役割
では、管理組合はどういった役割を担っているのでしょうか?
ここでは、その役割や管理組合があることのメリットについて紹介します。

管理組合の役割

管理組合は建物やその敷地、附属施設の管理を行うことを役割とします。
マンションの場合、エントランスやエレベーターなど、住民が皆で共有し、皆で使っていく共有設備があります。
共有設備を管理する必要がありますが、その管理を行うのは管理組合となります。

その上で、これらの設備を適切に管理してくためには、それに付随する業務も生じます。
その中で、具体的にどのような業務をマンション管理組合が担うのかは、そのマンションごとに管理規約により定めていることが一般的です。
ここでは、国土交通省が公表している標準管理規約を利用しているマンションが多いと考えられるため、標準管理規約に基づくマンション管理組合の業務内容を記載してみます。

  • 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
  • 組合管理部分の修繕
  • 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
  • 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
  • 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
  • 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
  • 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
  • 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
  • 敷地及び共用部分等の変更及び運営
  • 修繕積立金の運用
  • 官公署、町内会等との渉外業務
  • マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
  • 広報及び連絡業務
  • 管理組合の消滅時における残余財産の清算
  • その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務

もっとも、すべてのマンションがここに記載している業務をするとは限りません。
国土交通省が公表している標準管理規約をそのまま使っているマンションばかりではないためです。
管理組合の中には、住民向けのレクリエーションを企画、運営している管理組合などもありますので、具体的な業務内容を知りたい場合、ご自身のマンションの管理規約を確認してみてください。

管理組合のメリット

管理組合があることにより、マンションの居住者にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
管理組合があることのメリットについて見てみましょう。

快適な住環境が維持されやすい

マンションの住環境が快適な状態に維持される点がメリットとして挙げられます。
管理組合が適切な計画のもとで修繕や清掃を行うため、管理が行き届いていることが多いです。

マンションの資産価値が下がりにくい

マンションの管理が行き届いているがゆえに、マンションの資産価値が下がりにくいこともメリットに挙げられます。
築年数が同じでも、設備が故障したまま放置されていたり、エントランスがいつも散らかっていたりするマンションと、管理が行き届いているマンションでは、どちらのマンションが良いかすぐにわかるでしょう。

所有者同士のトラブルが起きにくい

管理組合が適切に機能しており、区分所有者同士がコミュニケーションを取っていれば、区分所有者間のトラブルを予防することが可能となります。
また、管理組合が仲裁することで、区分所有者間のトラブルを最小限に抑えられる場合もあるでしょう。

マンション管理組合の理事長や役員の役割

マンション管理組合の理事長や役員の役割マンション管理組合の理事長や役員の役割

では、マンション管理組合の理事長や役員はどのような役割を担うのでしょうか。
具体的に解説していきましょう。

理事長や役員の役割

理事長とは、理事会の代表者であり、管理組合の代表者です。
一般的には、総会での報告や収支予算の作成、外部との業務委託契約の締結や未納管理費の請求などを行います。
マンション管理の総責任者だと考えるとイメージしやすいでしょう。

一方、役員とは理事会の構成員であり、管理組合の業務を担当します。
マンションの管理規約で定められた管理組合の業務を実行していく立場と考えると良いでしょう。
一般的に、役員は月1回程度開催される理事会への参加が必要になります。
マンションによっては、会計担当の役員や防災担当の役員といったように、役員ごとに担当する役割を分けている場合もあります。

理事長や役員になったらまずやるべきこと

マンション管理組合に理事長や役員になった場合、何をすべきでしょうか?
まず行うべきことは、次のとおりです。

情報の引き継ぎ

理事長や役員に就任したら、まずは前任の役員から情報を引き継ぐことから始めましょう。
事務的な事項はもちろんのこと、現在議論されている事項や今後起きうる懸案事項なども併せて引き継ぐ必要があります。

他の役員との連絡方法を確認する

理事長や役員に就任したら、他の役員との連絡方法も確認しておきましょう。
普段の連絡方法に加え、緊急時の連絡方法も確認しておくと安心です。

管理規約や使用細則を確認する

マンションの管理規約や使用細則を改めて読んでみましょう。
就任したら、できるだけ早い段階で行っておくべきだといえます。

マンションの状況を自分の目で確認する

マンションの現況を自分の目で改めて確認をしておくことも重要です。
マンション内を明るい時間と暗くなってからの時間とに分けて、ゆっくり観察してみてください。
そうすることで、例えば夜間の電灯が暗いなど、これまで気がつかなかった問題が見つかるかもしれません。

管理組合の役員以外の区分所有者の役割

マンション管理組合への加入は、管理組合のあるマンションを購入した時点で義務となります。
では、理事長・役員などではない組合員にも、組合員としての役割はあるのでしょうか?

多くの場合、理事長・役員などではない所有者には、日常的に行うべき組合業務はありません。
もっとも、マンションを良くするための理事会の意思決定には賛否を表明して、管理組合の運営に参加しましょう。

マンションの管理組合と管理会社との関係

マンション管理組合と似た言葉に、マンション管理会社というものがあります。
管理組合と管理会社はどう違うのでしょうか?

マンション管理会社とは

マンション管理会社とは、マンションの維持管理を専門に行っている事業者のことを指します。

マンションの維持管理を行うのは管理組合ですが、管理組合の役員はマンションの所有者であって、管理組合の業務を専門的に行っているわけではありません。
そのため、マンションの管理に関する知識を持っていないケースが多いです。
そもそも、管理組合の理事にはそれぞれのお仕事があることも多く、マンション管理にはなかなか時間を割けないという方がほとんどだと考えられます。

そのため、管理組合が担っている業務の大部分を管理会社に委託していることが多いといえます。
マンションを維持管理する責任はマンション管理組合にあるものの、実務的な部分は、マンション管理についての知識・技術を持った管理会社へ委託しているケースが多いです。

委託時の注意点

では、管理業務を管理会社に委託する場合には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
ここでは、2つの注意点を紹介します。

複数業者から見積もりを取る

管理会社を選定する際は、1社のみからではなく複数の管理会社から話を聞き、相見積もりを取るようにしましょう。

管理会社に委託する費用は、マンションの所有者全員が負担しています。
管理会社を比較せず、知り合いの業者に委託してしまうことなどは、トラブルの原因となりかねません。

そのため、必ず相見積もりを取った上で、金額や業務内容を確認し、比較検討すると良いでしょう。

契約書をよく読む

マンションの管理業務を管理会社に委託する際は、管理委託契約書をしっかりと読み、内容を理解するようにしてください。

例えば、管理会社が行う業務内容、管理業務費の内訳などがきちんと記載されているか、どのような場合に管理委託契約を解除できるか、管理会社の守秘義務が規定されているかなど、よく確認するようにしましょう。
契約書によっては、マンションの管理組合にとって不利な内容が規定されている可能性もあるからです。
契約書をきちんと読まずに契約してしまうと、委託費用でしてもらえると思っていた業務が、実際には委託費用とは別料金となっていたり、管理会社との間でトラブルが生じた際に管理組合から契約を解除できなかったりするという問題が生じるおそれがあります。

管理組合として契約書の内容を確認することが難しい場合、契約締結をする前に、弁護士に契約書の確認をしてもらい、内容について理解しておくと安心できます。

まとめ

マンション管理組合の役割、役員や理事長の役割、管理会社との違いなどについて解説してきました。
初めて管理組合の役員になった場合、何をすべきかわからず戸惑ってしまうこともあるかと思いますが、まずは前任者から話を聞いたり、マンションの管理規約をきちんと読んだりして、何をする必要があるか把握することから始めてみましょう。

マンションの管理組合の役員は、マンションの良好な環境を維持するために重要な役割を果たします。
役員の業務を大変だと感じてしまうことがあるかもしれませんが、役員の業務の重要性を認識して、ご自身の所有するマンションの環境維持に貢献しましょう。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

マンションの管理組合の業務内容の一部に問題が生じているが対処法に悩んでいる、管理業者との間で締結しようと考えている契約書の内容について確認してほしい、管理業者との間でトラブルが生じているがどのように対応すればよいか分からないなどの事態が生じた場合、お気軽に弁護士までご相談してみてください。弁護士からどのような解決策が考えられるのかご提案させていただきます。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。首都大学東京(現:都立大学)都市教養学部法学系卒業。首都大学東京(現:都立大学)法科大学院修了。不動産法務を中心に、離婚・相続などの家事事件、刑事弁護や被害者代理人などの刑事事件、ジェネラルコーポレート業務を中心とした各種の企業法務、交通事故をはじめとした一般民事事件など、幅広い案件を取り扱う。
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