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卒業式のお話
先日、ある中学校の卒業式で、学校に登校していなかった子どもたち6人に対し、椅子ではなく、平均台に座らせて列席させたという報道を目にしました。
学校側もその事実を認め、子どもたちと保護者に謝罪したとも報じられていました。
卒業式の光景を思い浮かべたとき、胸が苦しくなりました。
実は、わが子も中学校時代、いろいろな事情があってなかなか学校に行けませんでした。
でも、卒業式の日は、当日の直前まで悩みに悩んで、自分なりにひとつの区切りをつけたいと言って、出席したのです。
その学校では、先生方が、わが子のように、学校になかなか行くことができなかった子が卒業式に参加する可能性を探ってくださり、選択肢をくださいました。
午前中に行われる通常の卒業式に出席することもできる。
一方で、たくさんの子たちがいる卒業式に出席することが難しそうだったら、そのような事情を抱えた子たちのために、午後に、卒業式を開いてくださるから、そこに出席することもできる。
後者の選択肢を示していただき、わが子は、それなら出席してみようかなという気持ちになったようで、それでも悩みに悩みながら当日一緒に午後の卒業式に出席したのです。
正直、私は、卒業式とはいっても、正式なものは午前中に終えているのだから、午後は、列席者もほとんどいないようなかなり簡略化された形だけの卒業式だろうと想像していました。
とりあえず卒業証書だけを授与する時間になるのだろうと思っていました。
でも、行ってみたら、先生方がみなさん参加してくださっていて、来賓のかたのごあいさつなどこそなかったものの、はじめの言葉から始まり、最後は拍手でお見送りをしてくださり、帰る際には、先生方と子どもたちがお話したり記念撮影をしたりする時間までくださったのです。
見守っていた私も学校への感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そんなことを思い出していたら、今回、報道された件で、子どもたち、保護者のかたはいったいどんな気持ちだっただろうかと思い、胸が苦しくなってしまったのです。
私は、その子たちのことも、どのような背景があって学校に登校していなかったのかも知らないので、勝手な想像でしかありません。
でも、きっと、当日のぎりぎり直前まで、行くか行かないか、よく眠れないままに悩んでいた子もいたんじゃないかと思うのです。
「自分は学校に通っていなかったのに卒業式に参加していいのだろうか」
「他の同級生たちからどんな目で見られるだろうか」
「でも、もし出席したら、何かが変えることができるんじゃないか」
「欠席したら、いつか欠席したことを後悔してしまうんじゃないか」
「自分が欠席したら、親は悲しく思うかな」
そんなことをぐるぐると考えていたかもしれません。
そんないろいろな思いの中、式に間に合うように起きて、久しぶりの制服を着て、保護者のかたと学校に向かったのかもしれません。
学校の門をくぐったとき、どんな思いだったか。
そんな子どもたちが、会場の2階フロアに通され、そこで、座れる椅子がなかったからと、平均台に座るよう言われたというのです。
2階フロアに通されたこと自体は、もしかしたら、事前の連絡で、子どもたちや保護者のかたの希望を聴いた上での配慮だったのかもしれません。
でも、仮にそうだったとして、もし、学校側が、子どもたちがどのような思いで卒業式のためにこの日学校に来るだろうかと一瞬でも想像することができたら、子どもたちのための席は、式典に参加しているという気持ちがちゃんと感じられる場所に椅子が置かれていたのだと思うし、その席への誘導についても、子どもたちの心情に配慮して丁寧になされただろうと思えてなりません。
報道によれば、椅子自体は用意されていたものの、全教職員にそのことが伝達されていなかったために、椅子の存在を知らなかった教員が子どもたちを平均台に座らせたとのこと。そして、その場にも教員がいたものの、教員は、ビデオ撮影をしていたために、子どもたちが平均台に座っていることに気付かなかったというのです。
子どもたちは、久しぶりの登校で、長い時間座っていることに心身ともに慣れていなかったはず。
もし、このとき、そんな子どもたちの様子を気にして声をかけたりする役割の教職員のかたがいれば。
どうしても、私は、子どもたちやそのような子どもたちを見守っていた保護者のかたの立場でこの報道を見てしまいます。
でも、ふと、自分がこれまで関わってきた学校の先生方の顔を思い出したとき、もしかしたら、この報道を、ただただ「学校側の配慮が足りなかった」という問題としてだけ捉えていたら、これからもこういったことが起きることを避けることは難しいのかもしれません。
子どもたちが抱える問題は、言うまでもなく、学校に通えない、通わないということにとどまるわけではなく、学校に通っている子どもたちだって、その背後にいろいろな事情を抱えているわけです。
もしかしたら、ひとりひとりの教職員のかたは、それらに必死で取り組まれており、あまりに忙しく、また対応すべき事態が複雑で多岐にわたり、すべてに十分な時間と労力を避けることができずにもどかしい思いを抱えていらっしゃるということもあるのかもしれません。
そのような中で、こうした出来事が起きてしまうこともあるのかもしれません。
でも、そうはいっても、子どもたちひとりひとりにとっては、二度と戻ることのできない学校生活。
学校で起きたあるひとつの出来事が、その後の子どもたちの人生で支えとなって、つらいときに温かく包み込んでくれることがあるかもしれないし、一方で、消えることのない傷として残り続けることもあるのかもしれません。
そう考えると、やはり、学校側で現体制では多様化する子どもたちのニーズに応えることができないという事情があるのであれば、早急に、それぞれのニーズに必要なサポーターを配備していく必要があるのだと思っています。
始まった新生活。
そろそろお子さんの心や体に疲れが出始め、「あと2週間がんばれば連休だから、もう少しがんばって」などと声をかけている保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。
お子さんが新しいクラスになじめず、嫌な思いをしたりして、学校に行けない日々が続き、毎朝、学校に欠席連絡することがつらいと感じている保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。
不登校の状態にあるお子さんについて、学校にどのような関わりを求めるか、学校に行きたいと思っているお子さんについては、それを実現するために、学校にどのようなサポートを求めるか。
そのようなお悩みをお持ちのかたは、ぜひ一度、お気軽に弁護士までお声かけください。
学校とのやりとりに関しお手伝いすることもできます。
気温も安定せず、体調を崩すかたも増えているようです。
保護者のかたが、抱えているご不安を一度外に出して、心身が元気な状態になれますように。
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