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悩みを外に出すということ
先日、知人と話していたとき、知人が税金に関わることで悩んでいることがあると言っていたのを聞き、「お世話になっている税理士さん、紹介するよ。私のほうから税理士さんに話を通しておくから、日程調整は自分でできそう?」と言いました。
すると、知人が「とんでもない!そんな状態でないからそんな連絡しないで」と言うのです。
私は、何を慌てているのか状況が見えず、「『そんな状態でない』とは?」と尋ねました。
知人は、それに対し、「だから、そもそも、税理士さんに相談すべき状況かどうか、また、相談するとしても今のタイミングなのかをちゃんと判断してからじゃないと。あと、問題となっていることについても、自分の中できれいに整理できていないから、今は相談するときじゃない」とのこと。
私は、その知人の話に少し驚いてしまいました。
知人は、税金に関することについて、まったくの素人。
そんな知人が、自分が今抱えている問題は、果たして、「問題」なのか、仮に検討すべき問題だとして、どの程度の緊急性があるのか、自分が認識していないもっと大きな問題があり得ないか、そのようなことについて、時間をかけて自分であれこれ考えたところで、答えなどでないことは明らかじゃないかと思えたからです。
そもそも、その「問題」について、もう2年くらい悩んでいるとのこと。
「もしかして、そうやって『問題だわ。悩むわ』って言っているその状況をあえて楽しんでいたりするの?」と質問したら、さすがに「ばかにするな」と怒られましたが、でも、私には、そのようにしか見えなかったのです。
もちろん、自分が何を悩んでいるのかということを整理すること自体は必要なことなのだと思う。
でも、そこはある程度ざっと書き出した上で、さっさと専門家のもとに相談に行った方が解決が速いことは間違いないのでは?
「だって、よく調べもせずに税理士さんに相談に行ったとしても、大した問題じゃない可能性もあるでしょう。大した問題じゃないってわかったら、恥ずかしいし税理士さんに悪い」と言うのです。
恥ずかしい、というのは、だれにどう思われることを指してそう思うのか?
「税理士さんに『相談に来たこの人は、全然税務をわかっていないのだな』と思われることが恥ずかしいの?でも、税務をわからない人にとってこそ税理士さんは存在意義を発揮するわけで、むしろ、そういうかたに喜んでもらえることを税理士さんはうれしく思うのでは?百歩譲って、『税務について全然わかっていないやつ』として見られることが恥ずかしいことだと前提に立ったとして、面識のない専門家からそのように思われたとて、そんなことどうでもよくない?」と畳みかける私。
それでも彼の決意を変えることはできず、彼は、今後も彼の抱えるその問題を寝かし続けることを選択したのでした。
「せめて、自分が何を悩んでいるのか、今の時点でノートにでも、データ上にでも、最悪私に対するメッセージという形としてでもいいから、見える形にしてみるのもいいかも。そうすることで気づくことがあるかもしれないし、外に出すことで、頭の中に空スペースが少しできるかもしれないし、将来いよいよ税理士さんのもとに行くときに手持ち資料としても役に立つかもしれないからね」と追い打ちをかけたのですが、それに対しても、「いざ書こうとすると、なんて書けばいいかわからないんだよね。時間がかかりそうだから、時間ができたらやってみる」との返答。
たしかに、相談の時間をいただいておきながら、案件のご依頼につながらなかったら申し訳ないなという思い自体は少しわかります。
でも、結論として悩む必要がなかったことをこの先何年ももやもやと頭の中で悩み続けることの無意味さ。
仮に、今の時点ではすぐに着手すべき問題がなかったとして、きっと専門家である税理士さんは、状況を確認した上で、「いつか~という状況になったら、そのときは相談に来てください」というご案内もしてくれるはず。
先の見通しを立てることもできるし、そうなったときに真っ先に、よくしてくれた税理士さんのことを思い出して、しかるべきタイミングで案件として依頼することもあるかもしれない。
どうしても不安なのであれば、最初に、「すぐに依頼につながるかわからないが、問題点を洗い出すという目的で一度相談させてもらえないか」と質問し、税理士さんの判断を仰ぐことだってできる。
頭の中身を外に出して書きつけるだけでも、頭の中が少しすっきりしたり、書くことで、前に進めるきっかけを得られたりなんてこともあるだろうに。
私の中では、どうにももどかしく、そんな会話をしたことで、私の方が頭の中にもやもやを抱えるに至ったという出来事でした。
そうはいっても、いろいろな考え方があるのだと思うから、私自身の考えを押し付けて勝手にもやもやするのもよくないことなのだろうなとも思う。
彼にとっては、彼が言うようにタイミングじゃなかったんだろうな。
ただ、これって、税務の問題だけではなくて、弁護士が扱う法律業務に関してもやっぱり私自身は同じ意見なんです。
頭の中に、常に「この件、考えなくちゃなあ」という問題が潜んでいるのって、ちょっと気持ち悪くないですか?
私は、そういうものが頭の中にあると、頭の中のスペースをその問題にもっていかれてしまい、すっきりした状態でものを考えることができないし、そんな中で新しい発想と出会えたり、何かにチャレンジしようと前向きになったりすることがとても難しく感じてしまいがちです。
ここは、私自身も最近見直す必要があるのかなとも思っているところで、生きていれば、簡単に解決できない問題もきっとあって、自分がコントロールできないことだってある。
そういうものがすっきり解決しない状態を許容しない、というのでなく、何らかの問題や悩みを共存しながらも気持ちよく過ごすということも自分には必要な発想なんだろうなとも思うのです。
でも、その問題の専門家に相談すれば解決する可能性が高い問題に関しては、さっさと相談してしまい、すぐに解決してしまうとか、すぐに解決できなくても、今後の見通しを明らかにしておくとかすることを全力でおすすめしたいなという思いはやはり変わらず。
問題を放置しているうちに、当時は芽だった問題が大きくなってしまってこじれてしまったために解決が難しくなってしまったりすることも。
あっという間に11月になり、年末も見えてきました。
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