リーガルエッセイ
公開 2026.05.01

「2分で投稿」が招く、取り返しのつかないSNSリスク

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

2分以内の判断が取り返しのつかないミスになる

私は、個人としてFacebookやXに投稿することがあります。
数年前は、毎日のように投稿していたこともあったのです。
でも、ここしばらくは、なかなか投稿することができません。
どうしてかというと、1つの投稿をするのにかなりの時間がかかるから。
中身は、いずれも大した内容でないのです。
本当に、誰得情報なのかというものばかり。
それなのに1つ1つにかなりの時間がかかってしまう理由は、何十回と読み直し、本当にこの投稿をしても問題ないか、ということを何重にも検討しているからなのです。
そんなことをやっていると、だんだん投稿のハードルが高くなってしまい、発信が滞ってしまう。

読み直すにあたっては、いろいろな観点から検討します。
「だれかを批判するように読める内容になっていないか」
「一読して意味がわかる内容になっているか」
「主語に混同が生じないか」
「読み終えたとき、だれかが傷ついたり、悲しい思いになったりする要素はないか」
「写真に、自分や他人のプライバシー、仕事に関する内容等が映りこんでしまっていないか」

そして、夜中に書いた文章は、ときどき、なんというか、妙な温度感になってしまっていることもあり、念のため翌朝再度チェックしてから投稿。

最近では、Facebookも友達限定での投稿にしている。

そんな私は、1日の中で、急に通知が来て、「さあ、ここから2分以内に投稿せよ」というシステム下では絶対に投稿ができないと思うのです。
そもそも、仕事中は、そんな通知に気付くこともないはず。
もっとそもそもで言えば、特に内容もなく、今の自分のリアルを共有したい相手もいないし、私が今どんな時間を過ごしているかを知りたい人も皆無である自信がある。
だから、今回、BeRealというSNSにより、銀行や小学校に務める人による不適切投稿が発覚し社会問題になっているという報道を見たとき、まずは、何が何だかよくわかりませんでした。

1日1回ランダムに届く通知から、2分以内に撮影、投稿する即時性が特徴であるとのこと。
2分以内に投稿するという時間的プレッシャーの中、その投稿をする意味、影響を十分に検討することなどできるのだろうか。
一時期これをやっていたことがあるというわが子に聴いたところ、ミッションをクリアするような感覚が楽しかったし、とにかく周囲がみんなやっていたから当たり前のように自分も、という気持ちもあったとのこと。
「どうせ、見られる人は限られているし、気軽に投稿しちゃえ」という思いもあったとのこと。
投稿を見た人がスクリーンショットをとって他のSNSに拡散するということも十分想定できるのに、その点も「わざわざそんなことする意味もないだろうから、みんなやらないだろう」と安易に考えていたみたい。

そのような投稿のどこらへんに楽しさがあるのか、というところは、人によって感じ方はいろいろだと思うのでおいておくとして、やるからにはそのリスクをしっかり頭に置いておく必要があると思います。

写真に映りこんだPC画面、書類等に含まれる第三者の氏名、業務情報が流出した場合、個人情報保護法違反やプライバシー侵害に問われる可能性があるということ。
職業上の守秘義務を負う人が業務情報を含む投稿をした場合、法律が定める守秘義務違反に該当する可能性があるということ。
もちろん、社内での懲戒処分の可能性も。

こういったリスクがあることを念頭に、自分の投稿は問題ないのかということを、突然の通知から2分以内で判断するということは非常に難しいことなのだと思います。
万一判断ミスすることも考えると、少なくとも絶対に職場でやるべきことではないのだとも思います。

個々の従業員の良識に委ねるのではなく、会社としても、このようなSNSが存在することも踏まえたSNS教育を研修等に組み入れる必要もあるのかもしれません。
報道を見て「こんなことする人がいるんだ」ではなく、自分事として自分の行動を見直すことが大事だと思います。
その投稿、本当に2分後に後悔しませんか?
投稿の取り消しはできても、拡散した情報は消せません。
自分の投稿の先には、世界中の人たちがいて、その投稿を目にする可能性があるのです。
投稿にあたっては、その意識を常にもっていなければならないと改めて思いました。

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