リーガルエッセイ
公開 2020.03.25 更新 2021.08.13

公職選挙法における「連座制」「百日裁判」とは

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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広島地検が、ある国会議員の選挙戦をめぐり、議員の公設秘書による公職選挙法違反があったとして捜査中でしたが、3月24日、検察官が、国会議員の公設秘書らを運動員買収の罪で起訴したことが報じられました。

起訴にあたっては、公設秘書が連座制の適用対象の立場にあたると判断し、「百日裁判」を裁判所に申し立てたとのことです。

具体的な事件については、公判の推移を見守る必要がありますが、今回は、なじみのない「連座制」「百日裁判」とはどのようなものか見ていきたいと思います。

「連座制」は選挙の公正をめざすもの

「連座制」とは、候補者と一定の関係をもつ人が、買収などの悪質な公職選挙法違反行為をして一定の刑に処せられた場合には、たとえ候補者自身がそのような行為に関わっていなくとも、その者の当選という結果を否定したり、同一の選挙区からの立候補を5年間できなくしたりすることで選挙の公正を回復しようという制度です。

自分は法律違反をしたわけでないのに、せっかく当選した結果を覆されるのは酷だと思いますか?

しかし、候補者自身が公職選挙法に違反したわけではなくとも、その候補者の選挙に関わっている人が買収などをしていたという場合、その候補者の選挙運動が果たして法律に沿った公正な方法で行われていたのか?という疑問が生じますよね。

ですので、選挙の公正を徹底するため、候補者は、自分が公職選挙法に違反しないということにとどまらず、自分の選挙運動が法律に沿って公正に行われるように注意しなければならないのです。

「百日裁判」は、裁判所の努力目標

それでは、「百日裁判」の「百日」とはいったい何をさすのでしょうか?

それは、法律が、買収等の選挙犯罪に関する刑事裁判を担当する裁判所に対し、「判決まで100日以内で進められるよう努めるように」という努力目標を掲げていることを意味します。

刑事裁判は、判決に至るまでに1年くらいかかるということもあります。
刑事裁判に1年くらいかかり、ようやく、被告人について有罪判決が確定したとします。
その上で、その有罪確定を踏まえて、検察官が、候補者に連座制が適用されるとして当時の候補者の当選無効等を申し立てる訴訟を提起することとなりますが、前提となる刑事裁判であまりに時間をかけすぎていると、いつまでたっても選挙の結果が確定しないことになりますし、当選無効等の結論が出るころには、すでに議員としての任期が相当期間過ぎてしまっていて、当選無効等の厳しい効果を設けることで選挙の公正を図ろうとした趣旨を全うすることができないといえるからです。

つまり、選挙の結果を速やかに安定させるとともに当選無効等の制裁の実効性を確保するため、当選人や連座対象者の選挙犯罪に関する刑事裁判は100日以内に判決をするよう努めなければならないとされているのです。

今後の推移は、国会議員の当選の効果にも影響してきます。
今後は公設秘書の刑事裁判に注目していきます。

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