リーガルエッセイ

「パパ活」という言葉を知っていますか?

「パパ活」という言葉を知っていますか?
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

パパ活

「パパ活」という言葉、知っていますか?
私は、少し前に報道を通して知りました。
最近の言葉なのかと思ったら、実は、数年前に「パパ活」という言葉そのままのタイトルのドラマがあったりして、この言葉自体はずいぶん前から使われていたようですね。
女性が、男性と食事をしたりデートをしたりしてその対価としてお金などをもらうということをそう呼ぶそうです。
SNSで調べてみると、「#パパ活女子」「#P活」などというハッシュタグがつけられた投稿やそれに対して「今日は可能ですか?」「DMします」などと返信する投稿などであふれかえっています。
「パパ活」で出会った男性から、こんなプレゼントをもらったとして写真が投稿されているものがあったり、出会った男性はみんないいひとばかりで、女性が嫌がることもしてこないし、月にもらうお小遣いもかなりのものなどと喜ぶ投稿があったり。

そんな投稿を見て、私は、おそろしい気持ちになりました。
ただ、それは、私が、昔から、常に、いろいろな事件と接しながら生活してきたからこその感覚であって、もしかしたら、この投稿を見た人の中に、「自分もこんなふうにお金を手に入れたい」と思い、パパ活を始める人もいるのかもしれません。

パパ活をするかたの中には、その背景にいろいろな事情があるのかもしれず、簡単に、「パパ活なんて」と批判するのも少し違うような気がします。
ただ、このような投稿を見て、パパ活にひそむリスクに考えが及ばないままに足を踏み入れる中高生や大学生がいるとしたら、やっぱり、弁護士として発信したいと思うのです。

パパ活という言葉、なんだかライトで明るいイメージがありませんか?
気軽に楽しみながらお小遣い稼ぎをする、そんな印象を受けませんか?
でも、私は、その実態は犯罪と隣り合わせのとても危険なものだと思っています。
まず、出会いの場。
いろいろな出会いがあるかと思いますが、その多くは、パパ活のためのマッチングサイトやTwitterなどのSNSだと思われます。
つまり、相手がどんな人かわからないということ。
相手の年齢も性別も職業も家族構成も、そして、相手がいったい何を目的としてこのパパ活の相手になろうとしているかも全くわからないはずなんです。
オンライン上では、食事や買い物を楽しむだけ、ということで同意していたとしても、その食事の席で、隙を見て飲み物に睡眠薬を入れられたら?
どこかで仲間が待機していて、無理やりどこかに連れ込まれたら?
車で知らない場所に連れて行かれてしまったら?
被害の状況を撮影され、それが拡散されてしまったら?
相手に身元がばれ、相手がストーカー化してしまい、つけねらわれるようになってしまったら?
いうことを聞かないと、パパ活をしていることをSNS上でばらすと脅されたら?
今から会おうとしている相手は、わいせつ犯、誘拐犯、そして命を奪う殺人犯などである可能性があるかもしれず、その場合、そんな犯罪を企む者が、計画を練りながら慎重に接触してきているとしたら、会って危険を感じたら帰ればいいなんて、そんなことは通用しないはず。

「手っ取り早く、リスクもなく、ちょっと会って短時間食事をするだけでお金がもらえたりプレゼントをもらえたりするといううまい話なんてない」と言いたい。
でも、そんなふうに一般論で注意されても、もしかしたら、パパ活の成功体験の投稿が放つ魅力と比べると、その耳には届きにくいかもしれません。
「そんなリスクが現実のものになるのは、ごく一部の人だけでしょう?」「人を見る目はあるから大丈夫。気を付けていれば大丈夫」とう思うかもしれません。
でもそんなことはありません。
報道でも、よく聞きませんか?
「まさか、自分の身近でこんなことが起きるなんて」「まさか、私の身にこんなことが起きるなんて思いもしなかった」という言葉。

パパ活に伴い、どんな事件が発生しているか、報道を調べてみました。
もちろん、すべてを把握できていませんが、私がそのリスクを感じているほどには事件発生の報道が少ないなと感じました。
実態はわかりません。
事件が発生していたり、捜査が行われていても、もちろんそれがすべて報道されているわけでもありません。
でも、想像すると、パパ活を通して性被害やその他犯罪被害に遭ったという事件の報道がそれほど目に留まらないのは、いざ被害に遭っても、相手が特定できないことが多いのではないか、仮に特定できたとしても、パパ活をきっかけにした被害ということもあり、もしかすると、パパ活をやっていることを家族や友達など周囲のかたに秘密にしている場合、被害申告をして大ごとになってしまうことをためらう気持ちから泣き寝入りするかたも多いのではないか、そんな一面もあるのかもしれません。

警察においても、パパ活に関するSNS上の書き込みを見つけると、投稿者に警告するメッセージを送るという活動をしているようです。
そして、そのメッセージを見ると、投稿者がメッセージを削除することもあるとのこと。
もちろん、それによって、今度はやりとりが水面下で行われるようになるということもあるかもしれない。
それでも、子どもたちや、そのリスクを自分事としてとらえられなくなってしまっている人にパパ活にひそむリスクを訴えることは、普段、社会で起きる事件と向き合って仕事をする者としての責任だと思います。
また、そのリスクについて、家庭や学校で会話することも大事なことですよね。
目に見える効果はなくても、そんな地道な活動が間違いなくだれかを危険から遠ざけることになると確信しているので、今後も地道に発信していきたいと思います。

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