リーガルエッセイ

公開 2022.04.13

自宅で顧問弁護士が遺言書を開封するのは法律違反?ドラマ「元彼の遺言状」第1話

自宅で顧問弁護士が遺言書を開封するのは法律違反?ドラマ「元彼の遺言状」第1話
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

「元彼の遺言状」第1話 ~自宅で顧問弁護士が遺言書を開封することの是非~

「元彼の遺言状」第1話を見てのコメント第2弾。
 
森川氏の自宅と思われる豪邸のリビングで、家族や親せきと思われる人たちが集まる中、顧問弁護士の男性が、金庫の中から遺言書を取り出し、「それでは開示します」などと言って遺言書の中身を読み上げていく場面。

これ、よくドラマで見る場面ですよね。
顧問弁護士から読み上げられる驚きの遺言書の内容に、その場に居合わせた家族らが「そんなばかな!」「なんであいつに全財産を!」などと言い合う、あのおなじみのシーン。

この顧問弁護士の行為、実は、法律に違反している可能性があります。

遺言書をどう取り扱うべきかについては、民法にルールが定められています。

遺言書を保管している人や、遺言書を発見した相続人は、被相続人が亡くなり、相続が開始したことを知ったら、遅れずに、遺言書を家庭裁判所に提出し、検認を請求しなければならないとされているのです。

そして、封印してある遺言書は、家庭裁判所で相続人やその代理人の立ち会いがないと開封することができないとされています。

例外はあります。
遺言書が、公正証書による遺言である場合です(あとは自筆証書遺言書が法務局に預けられていたケースもありますが、ここでは割愛しますね)。
ドラマのケースではそこは定かではありませんが、自分を殺害した犯人に全財産を相続させるというような遺言書を公証役場で公証人がOKしてくれるとは到底思えず、おそらく、森川氏が自分で作って、ひそかに金庫で保管していた自筆証書遺言であると想像します。

だとすると、やはり、その遺言書については、家庭裁判所に提出され、「検認」という手続きを経る必要が出てくると思います。

検認ってあまり知られていないですよね?
知られていないからこそ、冒頭でお話ししたようなドラマの場面がよく見られるのだと思うのです。
 
検認の手続きは、簡単に言うと、遺言書の正式な開封の儀式のようなもの。
 
家庭裁判所に、検認の申立てをした人、法定相続人たちが集まって、そこで、裁判官が、「こんな遺言書が存在します」「中には、こんなことが書いてあります」と詳しく確認して説明していくのです。

何のためにこんな手続きをやるかというと、検認時点での遺言書の状態を明らかにし、それ以降の遺言書の偽造などを防ぐためです。
裁判所で内容を確認し、その内容は記録として残るわけですから、それ以降に遺言書を書き換えてしまったらばれてしまうわけです。

一方で、この検認の手続きは、遺言書の有効性を保証してくれるものではありません。
検認を経たとしても、その遺言書自体が何者かによって偽造されたものであるという可能性は排斥できません。
検認された遺言書が偽造されたものだという疑いをもって争いたい場合は、検認とは別の司法手続きで争う必要があります。
 
では、この検認手続きを経なかったらどうなるのか?

手続きに支障が出たり、ペナルティがあったりします。
たとえば、検認手続きを経ていない遺言書をもとに不動産の登記をしようとしてもできないとか、検認手続きを経ないでそのまま遺言を執行したり、開封したりしたら5万円の過料になるとか。
遺言書があることを知っているのに、検認手続きを経ず、ほかの相続人たちに遺言書の存在を隠していたりしたら、遺言書を隠匿したとして相続人としての資格に関わるリスクもあります。
いずれにしても、相続に関し、さまざまなトラブルのもとになるリスクがあるといえるでしょう。

まとめます。
公正証書遺言など一部の例外を除き、遺言書については検認手続きが必要です。
あんなふうに、勝手に自宅で開封の儀を執り行ってはなりません!

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