リーガルエッセイ

公開 2022.06.14

「チャンスだ!」と感じた自分のセンサーに狂いはないか?

「チャンスだ!」と感じた自分のセンサーに狂いはないか?
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

「チャンスの女神には前髪しかない」に注意

最初に、だれからも求められていないのに、私自身の話をしたいと思います。
もう5、6年前になりますが、当時、恋愛で世紀の大失敗をしたんです。
私は、自分の人生に「失敗」という文字はなく、「失敗」のように見えるものは、成功に向かう単なる通過点であるという信条で生きていますが、そんな私でも認めざるを得ないような大失敗だったんです。
いい加減自分が嫌になって、暇な知人数名を招集し、どうしたら、二度と同じような失敗をしないで済むかという再発防止策を講じるための緊急会議を開催しました。
その際、暇な知人の中の一人が、「お前はどうやって相手を選ぶのか」と尋ねてきたのです。
私は、「何も考えていない。すべて私の中のセンサーに従う。私は、あれこれ頭で考えるのでなく、センサーに従うことが一番いいと思っている」と答えました。
それを聞いた、別の暇な知人が「そのセンサーは、ちゃんと機能しているのか」と質問してきたのです。
「センサーに従うのはいい。でも、前提として、その従うセンサーが完全にいかれていたら、そのセンサーに従うことで誤った事態に陥るのではないか。センサーが故障しているのであれば、そのセンサーに従うのでなく、自分がそのセンサーでこうだと思ったのとあえて逆の選択をするという方法でポンコツセンサーを利用する必要があるのではないか」と。
あまり期待もせず、単に、一人で時間を費やすのがしんどくて招集したような会議でしたが、私にとっては目の覚めるような思いがしたのを昨日のことのように思い出します。

なぜこんな痛い話を思い出したかというと、先日、消費者白書の記事を読んだからでした。
その報道によると、ここ数年、若者によるSNSトラブルが急増しているとのこと。
具体的には、SNSを通じて持ち掛けられた副業などのもうけ話や美容に関する話に端を発した消費者相談が多いということなのです。
そして興味深いなと思ったのは、そのような消費者相談が多いという10代後半から20代の若者に共通する傾向として、「チャンスだと感じたら逃したくない」という質問に対する答えにyesと答える割合が7割を超えていたということ。

どんなアンケートなのかわかりませんし、仮に「チャンスだと感じたら逃したくないか」という質問だとしたら、それに対し、あえてNoを選択することもないのかなとも感じますが、それにしても、7割を超えるのは、この年代に特に多い傾向のようです。

たしかに、そのような報道を見た上で、SNSで高額コンサルや動画教材を販売する投稿を見ると、「チャンスの女神には前髪しかないよ!」とか「少しでも気持ちがウキウキしたら、それはgoというサイン!」とか「残1名様!このチャンスを獲得する未来の成功者はだれだ?」などという言葉であふれているようです。

まさに、「チャンスだと感じたら逃したくない」という気持ちにさせるような仕掛けづくりがされているように感じます。

そんな言葉を見て心が動いたときは、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

それは、「チャンスだと感じるその自分のセンサーに狂いはない?」ということ。

私も、つかむべきチャンスはあると思うし、「今はタイミングじゃないから」ということを言い訳につかめたはずのチャンスをみすみす逃すべきではないとも思います。

でも、「チャンスの女神には前髪しかない!」という言葉にあおられて、自分の頭の中で鳴るアラームを自らかき消してしまうのは危険だと思います。

自分が今つかもうとしている話について、具体的に、いくらを払うことにより、どのようなサービス提供を受けられるのか、そのことがきちんとどこかに明記されているのか、話が違うとなったときに解約等したいという場合の手続きはどうなっているのか、そんな大事なことをしっかりと確認しないままに焦って飛びつかなくては逃してしまうものは、「チャンス」ではない。
そこにあるのはリスクだけだと思います。

「これはチャンスだ!」と感じたときこそ、そう感じる自分のセンサーは、十分に機能しているのか?第三者のセンサーを使って、検証する必要があるのではないか?などと立ち止まって考えることが大事だと思います。

特に、SNSトラブルは、一斉広告に飛び込むことにより発生するというより、SNS上で知り合いになった人からの勧誘に乗って「チャンス」をつかもうとして起きることも多いです。
SNS上の知り合いは、実は本名などを全然知る間柄でないのに、メッセージのやりとりにより、信頼できる相手になってしまう傾向があり、そのような人からの勧誘について疑いの目で見ようとするセンサーが狂いがちだからです。

成年年齢引き下げに伴い、この問題は、より差し迫ったものになっていると感じます。

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