リーガルエッセイ

公開 2022.06.22

離婚後の共同親権について思うこと

離婚後の共同親権について思うこと
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

共同親権について思うこと

先日、法務省が、法制審議会の部会に、離婚後の共同親権の導入を提案する方針を固めたことを受け、部会が、民法改正の中間試案を8月をめどに取りまとめる予定であると報じられました。

この報道が、離婚問題に直面している女性に与える影響の大きさを実感しています。
報じられたその日から、私のもとにも、離婚を考えているという知人何人かから連絡が入ったからです。
いずれも、この報道を受けて不安になったという声でした。

まず、大前提として、共同親権については、まだ、何かが決定したわけではないことを認識する必要があります。

そして、決定していない以上、今後どうなるということを明らかにすることもできないのですが、少なくとも、報道によれば、法務省が提案する内容は、父母の話し合いや裁判所の判断で共同親権を選択できるようにするというもの。
離婚した夫婦が100%共同親権になるという案ではないようです。
あくまでも選択肢が増えるというイメージのように読めますね。

このような不確定な話であるので、先々のことを不安に思い、いろいろよくない事態を想像しては暗い気持ちになるという必要は全くないと思っています。
それに、今お子さんがおいくつかにもよると思いますが、法改正がスタートしたころには、すでに18歳成年になっている可能性もあるでしょう。

なので、私は、知人らに対しては、まずは、今、何かを心配したり、今のうちに何か対策を立てておいたりなどということを考えず、自分と子どもの毎日に集中するようにと伝えました。

そうは言っても、報道を見て、いろいろ思うところもあるのです。

記事の中に、離婚後の養育費の不払いや親子交流の断絶が社会問題化していることも共同親権が議論される背景にあるとの指摘がありました。

この点、どう思われますか?

私は、養育費の不払いや親子交流の断絶それ自体が問題であるという視点は持っているものの、共同親権の制度がその解決に資するとは到底考えられずにいます。

また、共同親権を選択した場合、子どもの進路や治療方針などについて父母が共同親権に基づき決めることになると思いますが、そういった、夫婦として一つの意思決定をしなければならないという局面で互いの価値観の相違が浮き彫りになり、折り合うことができずに離婚に至った当事者が、離婚後に至っても、共同で一つの意思決定をしていかなければならないとなると、子どもに関する重要な意思決定がなされないままに、離婚前のような父母間における紛争がまた延々続くことになりはしないかとも思うのです。

そもそも、子の父母として、子に責任をもって関わり続けようという意思のもと、協力体制を維持できている父母については、単独親権であっても、子に関する意思決定を協力して行っているとも思うのです。

逆にそれができないということは、たとえ、制度としての共同親権がスタートしても、やはりその運用には無理があるし、子のための親権行使が実現されないのではないかとも思うのです。

まだ私自身が共同親権の何たるかをしっかり理解できていないのだとも思います。
この点、離婚問題にかかわる弁護士として注目していきたいと思います。

もし、これを読んでいただいた方の中に、今離婚を考えており、親権についてご不安があるという場合は、早めにご相談ください。
また、共同親権に関し、ご不安があり、「この点はどうなるのだろう」などと思われる点がありましたら、ぜひご質問をお寄せくださいね。
可能な限り、こちらのエッセイでご質問への回答などをお話ししていきたいと思います。

離婚・男女問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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