リーガルエッセイ

公開 2022.06.23

SNS上にあふれる「闇バイト」について

SNS上にあふれる「闇バイト」について
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

闇バイトで逮捕

ここ最近、「闇バイト」で犯行に加担したというニュースが報じられました。

スーツ姿で90代男性の家に行き、銀行員であるとうその身分を名乗り、キャッシュカードをだましとって、ATMから50万円を引き出したという女性が逮捕された件。

80代男性の家に行き、100万円を受け取ったという20歳男性が逮捕された件。

指示どおりに男性を車で連れ去るなどしたとして実行役5人が逮捕された件。

報道によれば、いずれも、SNS上でのいわゆる「闇バイト」に応募したという点が共通しているようです。
うち2件については、それぞれ、報酬が5万円、3万円であったなどと報じられています。

これらの件、いずれも逮捕されて間もないため、捜査は始まったばかりですから、今後の捜査に注目したいと思います。

それにしても、これまでに、闇バイトについて報じるニュースがこれだけありながら、いまだに後を絶たないことに驚きを感じます。

SNS上でも、これまで以上に、警察が闇バイトに加担することへの警告メッセージを流し続けています。

そこには、闇バイトを募る際によく使われる「スーツ姿でキャッシュカード預かるだけ」「簡単!」「安全!」「絶対捕まらない!」「短期・高収入」などというワードを示しながら、「バイトではありません。それは犯罪です」「一度報酬を受けたら脅され続けて抜け出せない」「逮捕されなければ解放されない」などという警告をしているものもあります。

ただ、一方で、SNS上には、「高額バイトありませんか?」と紹介を求めるメッセージや、それに応えて「あります!DMします!」と返信するメッセージ、「闇」や「裏」などという言葉を使わずに、非常に割のいい1日で数十万稼げる仕事があるなどと募集する投稿も散見されます。

もちろん、闇バイトに関する報道や警察による警告などにより、闇バイトに一歩踏み出すことを阻止できているケースもあるのだと思うのです。
でも、まだまだ、抑止力が足りないからこそ、こうして、いまだに闇バイトに応募して、犯罪に手を染めてしまう人が後を絶ちません。

ただただ、やっていけないことだからやっていけないのだという話はあまり効果がないのだと思います。

闇バイトに手を出す人の動機が「自分で自由に使える金を手に入れたかった」「効率よく収入を得たかった」などというものにある以上、闇バイトが、全く割に合わないものであることを伝えることはなによりも重要なことだと思います。
実行役として、もっとも逮捕の危険にさらされている立場で犯罪に加担し、得られる報酬は3万。
しかし、その報酬だって、現実に得られる保証など全くなく、その前に、逮捕されて、起訴されて、刑務所に行く可能性が具体的に存在しているわけです。
そして、この犯罪をいつ辞めるかということが自分でコントロールできるわけではない。
いったん加担したら、組織から脅され、「ここらへんで必要なお金が手に入ったからやめておこう」などということはできるはずもなく、結局、犯罪を辞められるチャンスは、逮捕されたときである可能性が大きいのです。
服役したら終わりというわけでもありません。
もちろん、いつからだって、人は生きなおすことができるのだと思いますが、過去に自分が犯罪に加担したという事実は、ほかでもない自分自身の中に残り続け、それによって失ったものを後悔する気持ちに苦しみながらの日々になるかもしれない。
そんな割に合わない話、私はないと思うのです。

もしかしたら、それをわかっていてもなお加担してしまう人もいるかもしれません。
それは、ほかに、正しくお金を手にする方法がたくさんあるのだということを知らないからなのかもしれません。
自身の学生生活を思い出しても、お金を増やすことに関する教育が圧倒的に欠けていると感じます。
私自身、10代のころは、お金を手にする方法について、会社で働いてお金を頂く、ということ以外、現実のものとして想像もできませんでした。
闇バイトに加担することとの関係性は少し薄いようにも思えますが、ただ、無関係でもないように思います。
今、金融庁は、中高生に向けて、お金についてわかりやすく説明する資料を公開しています。
長期的な視点では、今後、こうした教育がより根付いていくことも重要だと思います。

SNS上にあふれる闇バイト募集や応募の投稿を見ていると、無力感でいっぱいになってしまうのですが、弁護士としての自分、大人としての自分にできることを考え、たった一人でも、こんな犯罪に加担してしまおうとするその一歩を阻止する力になれるよう、地道に活動していきたいと思います。

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