リーガルエッセイ

公開 2022.07.19

カフェでスマホを充電したら窃盗? ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」

カフェでスマホを充電したら窃盗? ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、上場会社の社外役員を務める。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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カフェでスマホ充電したら窃盗?
「石子と羽男」―そんなコトで訴えます?―

先週の1回目放送、リアルタイムで視聴しました。

普段、テレビドラマはあまり見ません。
特に、恋愛ドラマは、あえて避けるようにしています。
恋愛ドラマを見てしまうと、普段、固く心を閉ざしてストイックに仕事に打ち込んでいる、その心に隙ができてしまい、それが仕事の隙となって表れてしまうような気がして恐ろしく思うからです。
特に、自分が好きな俳優さんが出演するドラマは厳禁。
心の隙が生じやすくなるからです。
私は、このドラマで弁護士役を務める中村倫也さんが好きです。
昔、恋愛要素はないだろうと軽く考えて見てしまった中村倫也さん出演のドラマ(凪のお暇というドラマです)をうっかり見てしまい、心に生まれた隙を排除するのに苦労した経験がありました。
二度とあんな目に遭いたくないので、今回は見ることを決める前にドラマ内容について入念にリサーチしました。
結果、このドラマでは、中村倫也さんがあのドラマで言われていた「メンヘラ製造機」的雰囲気は漂わせず、熱血パラリーガルとともに1つ1つの案件に向き合う様子を少しコミカルな視点で描くリーガル要素の高いドラマだと判断しました。
弁護士にスポットをあてるドラマは多くありますが、今回のドラマは、ちょうどHEROが検察事務官の仕事にもスポットをあてたように、弁護士が仕事をする上でいなくてはならない存在であるパラリーガルにもスポットをあてたドラマとしても興味深いと感じました。

そんな仕事の一環として視聴できるドラマであると感じ、1回目の放送をリアルタイムで視聴したのです。

1回分の放送の中に、たくさん触れたい部分が出てきたので、何度かに分けて取り上げてみたいと思いますが、1回目の今回は、番宣でも取り上げられていた「カフェでスマホを充電したら窃盗になるの?」という点を取り上げてみたいと思います。

そういえば、昨年のことになりますが、ある裁判所で、刑事手続きが行われた際、弁護士が、PCの電源確保のため裁判所に設置されているコンセントを利用しようとしたところ、裁判官から「国の電気である」として制止され、それが弁護活動の不当な制限にあたるのではないかと裁判所で争われた報道も思い出されます。
ドラマの中では、店主が、カフェで充電をしていた男性に対し、電気代及び慰謝料として100万円を請求したということになっています。
そのような内容が記載された警告書が届いて驚いた男性が、弁護士のもとに駆け込むという内容でしたね。
まず、ちょっとこの点とは関係ないのですが、こうして飛び込みで事務所にいらっしゃるのはあまりお勧めできません。

あらかじめ事務所にお電話頂き、ご予約頂くことをお勧めします。
もちろん、お急ぎのこともあると思います。
その場合でも1本お電話して頂いたほうが確実です。
当日でのご相談をお受けできることもあります。
せっかく貴重なお時間を使っていらしていただいても、弁護士は、常に事務所に待機しているわけではなく、外出して打ち合わせをしていたり、裁判期日に出頭していたりで不在にしていることも多いので、事前のご予約があったほうがスムーズだと思います。

そして、話を元に戻します。
結論として、カフェでスマホの充電をしたら、その行為が窃盗罪になる可能性があります。

もちろん、カフェによっては、カフェでお仕事をする人がいることを想定し、充電できるように各席にコンセントがあるところもありますよね。
その場合は、お店が充電を許可しているといえるので、窃盗罪にはなりません。

でも、コンセントが各席に設けられているわけではなく、建物の構造上、たまたま客席から届く範囲ではあるというコンセントなどは注意が必要です。
お店によっては、「充電禁止」とか「コンセント利用禁止」などと書かれているところもあるかもしれませんし、書かれていなくとも、コンセント利用による電気代はお店負担なわけですから、明らかに使ってよいということが、貼り紙やそのコンセントの設置態様からわかる場合以外は、原則として、勝手に使ってはいけないという認識を持つべきだと思います。

判断がつかないときには、お店の方にきちんと確認することをお勧めします。

そもそも、電気って、手に取れるものではないし、窃盗罪の対象なのか?という疑問もわくかもしれません。
でも、ここはドラマでも説明されていたとおり、刑法には、窃盗や強盗の罪との関係で、電気を財物とみなす、という条文が定められており、窃盗罪の対象になるのです。

「コンセントを使うことくらい・・・」と軽く考えられがちな行為ですが、電気は、窃盗罪等との関係では、あくまでも「財物」と位置付けられているのであり、法的トラブルに発展することもあるので、注意が必要です。

もっとも、実際に、警察が、店側の被害申告を受けて捜査する事案というのは、そのコンセント利用が1回あたり長時間にわたり、また、お店側が注意してもなお常習的に繰り返すような悪質なものに限られるように思います。
不注意から1度利用してしまったことをもって窃盗罪であるとして被害申告されたり、それを受けて警察が捜査に着手したりといったことは少し考えにくいかなとは思います。

今回、カフェでの充電行為について取り上げましたが、私がこの1回目の放送を見終わったとき感じたのは、「ああ、うらやましいな」という思いでした。
その思いに関しては、長くなってしまいそうなので、また改めてお話ししてみたいと思います!

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