リーガルエッセイ

公開 2022.11.25

Webテスト替え玉受験で逮捕!私電磁的記録不正作出罪とは?

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。

Webテスト 替え玉受験逮捕

先日、企業の採用試験の一環として行われるWebテストを、就活生の替わりに受験したとして会社員男性が逮捕されたと報じられました。
逮捕事実は、私電磁的記録不正作出罪、同供用罪です。

この私電磁的記録不正作出罪という犯罪、初めて聞いたというかたも多いのではないでしょうか。

私電磁的記録不正作出罪は、

  1. 人の事務処理を誤らせる目的で
  2. その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を
  3. 不正に作った

といえるときに成立する犯罪です。

電子計算機(パソコンなど)による情報処理の浸透により、紙でできた文書から電磁的記録に多くが転換されてきました。
これに伴って、これまで文書偽造罪で処罰されてきた類型について、同じ行為類型を電磁的記録について行われた場合の責任追及ができるよう新設されたのが、電磁的記録不正作出罪です。
誤解をおそれずにいえば、文書偽造罪の電子版というイメージです。

ここで「私」電磁的記録とは何かというと、文書偽造の場合の「私」文書偽造に該当するもの。
つまり、その電磁的記録が、公務所や公務員により作られるべきものである場合は、公電磁的記録不正作出罪が成立し、それ以外の電磁的記録については私電磁的記録不正作出罪が成立し得るのです。

いわゆる替え玉受験は、もちろん、替え玉となって受験する人だけでは成立しません。
替え玉を希望する人の存在が前提になります。
今回のケースでは、就活生。
この就活生には犯罪は成立し得ないのかと思われるかたもいるかもしれませんが、今回、替え玉受験を依頼した就活生についても、同じ被疑事実で、検察庁に事件送致されています。
現時点で逮捕されていないというだけであって、捜査機関は、同じ犯罪の共犯者であると認定して捜査を進めているようです。

報道によれば、このたび逮捕された男性は、Twitter上で堂々とWebテスト代行実績を掲げ、申し込みを募っていたとのことです。
掲げられていたという実績4000件という数字が真実であったとすれば、その背後に今回事件送致されたという就活生以外にも多くの学生たちの存在がうかがわれます。

そして、その中には、すでに希望する企業に就職して働いているかたも、希望通りの内定を獲得し、これからの社会人生活に胸を膨らませているかたもいるかもしれず、そのかたたちがこのたびの報道を見て、今、言い知れぬ不安を抱いていることも想像できます。

今まさに代行を依頼するかどうか迷っていたというかたもいるかもしれませんね。

入社目指して活動する過程では、焦りや不安などから、ついつい、その企業から内定をもらうこと自体が目的であるかのように視野が狭くなってしまうこともあると思います。
でも、これは言うまでもないことではあるのですが、場がどこであったとしても、その場で自分がどう生きるかということこそが大事なはず。
犯罪として発覚した場合にその会社で働き続けるにあたってリスクが生じるから、なんていう小さな話ではなく、そもそも、それが犯罪と評価されるかどうかは別として、生きる過程に「不正」や「だまし」の要素を入れてしまうのは、あまりにも自分の人生を軽んじることになってしまうように感じます。

一方で、そのような失敗をしてしまったらすべてが終わるなどということもなく、その失敗と向き合い、乗り越えるかを考え、行動すればいいだけの話であるとも思います。

同時に、企業側においても、このたび大きく報じられたWebテスト代行の実態を踏まえ、Webテストの採用過程での活用方法、テスト実施方法等について改めて考える必要もありそうです。

今後の捜査に注目します。

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